彩あふれる街並み

 フィン(雪虫) [2015/10/03 23:02:02] 
 

 「すごいねぇ、ポチ...」

 左肩にとまったポチに思わず声をかけた。ポチは僕の肩のうえでくるっと首をかしげながらまわりを見ている。
 "花開く街"コンチェルティア。いちど来てみたいと思っていたんだ。僕の頭のなかにあった、6つに区画分けされた抽象的な街の図が、色と音楽と人のざわめきでにぎやかに彩られていく。

 僕は、【お風呂好き同盟】の盟主、タビットのヴェンさんとユーレリアまで「温泉旅行」に行った帰りだった。
 旅行はとてもとても楽しかった。僕にとっては、あんなに遠くまで出かけることじたいはじめてだった。それに、「温泉に入りにいくことが目的」の旅行ができることがすごく新鮮だった。めずらしいものもたくさん見聞きできたし...。ヴェンさんが僕に買ってくれたちいさな人形のお守りは、さっそく腰のベルトに結びつけていた。

 せっかくルキスラから遠出した機会だったし、どうしてもコンチェルティアが見てみたくて、ルキスラの手前の街道で僕はヴェンさんと別行動をとっていた。

 おおきな南門をくぐって、目の前の通りをまっすぐ北に歩いてみる。ふつうのお土産屋さんにまじって、骨董屋さんや楽器屋さんが目にとまった。やっぱり、ルキスラとは街の雰囲気がちがう。 
 占いの道具もならんでる。カードやオーブは知っているけど、何でできてるのか、何に使うのかよくわからないものまであった。
 精巧な宝石細工のお店もある。とても高くて買えないけど......。最近、アクセサリーをほしがるようになったらしい、実家の上の妹の顔をちょっと思い出した。


 「あらぁ、そこのかわいいタビットのぼっちゃん。
 よかったら、お菓子買っていかないかしら?」

 「は、はいっ?」

 まわりを見あげながら歩いていたところに急に声がかかったから、僕はいっしゅんびくっとした。
 そっちを見ると、女のひとが露店の奥でにこにこしていた。色とりどりのキャンディがならべられている。その種類といったら、ちょっと見たことがないくらい。思わず、ととと、とそちらへ引きよせられた。
 そうだ、せっかくだから、コンチェルティアについたばかりだけど、ここのキャンディをうちのチビたちへのおみやげにしよう。

 「えと、こんにちは...。僕、ルキスラから観光に来たんです。あ、ユーレリアからの帰り道に立ちよったんですけど......。とても華やかな街ですね」 

 僕はちいさなかごを手にとって、あざやかな色のキャンディをあれこれと選びながら、お店のひとと話をした。こういう、なんでもない世間話にも、ずいぶん慣れた。ちょっと前までだったら、どうしていいかわからなくなってこそこそ立ち去ったりしただろうな、なんて思う。

 透明なガラス瓶に僕が選んだキャンディをつめてくれる手を見ていたけど、ふと目をあげて気になったことをたずねてみる。

 「あの、通りのこっちとこっちで、ずいぶん街並みがちがうみたいなんですけど...。コンチェルティアはたしか6つの街に分れてるんですよね。区画によってちがいがあるんですか?」

 それから、キャンディを受けとりつつもうひとつ質問。

 「こっちの街、劇場みたいな建物がいくつかありますね。僕、ルキスラでも、劇場や舞台がこんなに集まってるところなんて知らないです」

 【冒険者の店】があるから冒険者が成り立つみたいに、きっと「劇場」があるから舞台に立つ人たちもやっていけるんだろう。それにしても、たくさんの劇場がいつも何かを上演してて、それをみんなが見に来てるなんて、ちょっとすごいことに思えた。

 「コンチェルティアでは、芸術にかんすることをなにか......。どう言ったらいいのかな、えと、誰かが守ったり、推し進めたりしてるんですか?」

 ルキスラで冒険者が国からいろいろと保護されてるみたいに、コンチェルティアでは芸術家が大切にされてるのかもしれない。いくつか集まっている劇場を見ながら、ふと、そんなことを考えたんだ。
 
 僕はお店のひとにお礼を言って、背負い袋にガラス瓶をしまいこみ、手をふって、また通りを北へと歩きはじめた。

――PLより―――

みなさま、どうぞよろしくお願いします。

ヴェンさんといっしょにユーレリア地方の温泉地まで旅行に行き、帰り道にコンチェルティアに立ち寄ってみた観光客なフィンです。
花開く街を、いつも以上にきょろきょろしながら歩いています。目に映るもののうち、芸術の街っぽいところに興味をひかれた模様です。

フィンもネスさんとおなじく、【まっすぐ行く】を選択しますー。

>GM
どうぞよろしくお願いします。
お店の人とお話をしつつ、露店のキャンディをひと瓶買いました。おいくらでしょうか?


>飛龍頭さん
2人旅(+2匹)ですねー。どうぞよろしくおねがいします。
まずは合流をめざします。ネスさんの普段着はおとなしめなんですね。(アクセサリー屋さんから声がかかったけど...)
ネスさんの目的地は、いましがたフィンがキャンディを買ったあたりの区画な気がしてきました。