【B1-4】森は木の中、木は森の中

 GM(あんみつ) [2015/10/19 20:18:26] 
 

川の向こう側――森の奥側。
光の見える場所に誘われるように。
オレットはその先を目指そうと言う。

>「確かめてみないとわからないよね!
>向こうへ行ってみようよ
>なにかあれば対処してみせる。そのために来たんだから」

> 『みんなまだ余力があるみたいなんで森の奥に進んでみませんか?』

>「では、行きましょうか」

――無論、同道する冒険者たちの気持ちは一つであった。

   *   *   *

冒険者たちの行く手を阻むのは少々面倒な川。
ヴェンデルベルトは自らが使役するゴーレムに跨って渡る。
他の冒険者たちは濡れることなど気にせず先へと進む。

>「もちろん。―よければ、一人向こうへのせていくよ」

ティキの言葉もあり、同じように川を歩いて渡ろうとしていたオレットであったが、
ニコデムスの背中に載せてもらい運んでもらうことにした。

「幾つかいろんなものは見て回ったけど、竜の背中に乗るのは初めてだよ。
 楽しみでもあるけど少し怖いね......振り落とされたりはしないかい?」

彼はニコデムスの真正面に立って、少し眺めたあとティキの方に顔を向ける。

   *   *   *
 
川を渡り終えて、少し体を乾かした後で冒険者たちは更に奥へと向かう。
未だ森の奥はエメラルドグリーンに染められたままだ。
よく耳を澄ませてみると、奥の方から何か聞こえてくるだろう。
女性の声。誰かが歌っているのだろうか。

奥の方に進めば進むほど光の彩りは強くなり。
歌声のメロディーもはっきりと耳に捉えられるようになる。
その歌に詞はなくただ透き通る乙女の声色だけが楽器のように旋律を運ぶ。

「......なんだろう。
 この感じ、何処かで聞き覚えがあるような。
 懐かしい気がする――たしか」

わかりやすく覚えやすく、そして歌いやすい。
どこかから聞こえるこの歌の特徴――ザルツ地方に伝わる童歌だ。
作られたのは魔法文明時代以前と云われる、古い古い伝承歌。
作者の名は――。

   *   *   *
 
そして彼らがたどり着く。
目の前にあったのは他に比べて幹が太く、背の高い樹木。
一面に広がる桃色の花々の中にたった一本だけ、そこにあった。

そこには明らかに不可思議な箇所があった。
大樹の幹の中腹。
そこにちょうど円形に浮かび上がっているのは、森の絵。
絵の中の木々は、葉も枝も幹も根もすべてが翠色の水晶で作られていた。

絵のある方に手を伸ばせば――風を感じる。
コンチェルティアの森全体から、この木の幹の中へと流れ込んでいる。
もしそのまま手を伸ばして触れようとしても......本来あるべき樹皮の感触がなかった。
何も描かれていない樹皮の方に触れれば、そこにはざらついた触り心地があった。
むしろこの先に何か続きがあるような、そんな違和感。
体をくぐり抜けさせてみれば、何かそこにあるのであろうか。

もう一度耳を澄ませれば、間違いなく理解できる。
先程から聞こえ始めてきた歌の発生源はこの中だ。

もし、頭だけ絵の方に突っ込んでみれば。
――絵に描かれているのと同じ世界が広がっていた。
エメラルドの森だ。顔に風を感じるだろう。

「思い出した」

オレットが呟いた。
大樹に描かれた森の絵を記憶を辿るように見つめながら。

「コンチェルティアの森の歌。
 ......ううん、本当の名前は妖精の森の歌。
 さっきから聞こえてたのはそのメロディーだったんだ」

一歩、大樹の方に近づいて。

「"森は木の中 木は森の中"――つまりこういうことだったのかもしれない」

妖精の森という名前の歌の一節と同じ現象がこの場所で起きている。
それが意味することは何であろうか。
大樹は十分に大きく、そこに描かれた絵自体も樫の木の獣よりも十分に大きい。
もっとも流石にニコデムス程となると、一度体を小さくせねばくぐれないだろうか。


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あんみつ@GMより

川については普通に渡って行ってください。
オレットはニコデムスに運んでもらいますね。

聞き耳判定で目標値13を出せば最初の段階から歌が聞こえます。
失敗しても、さらに奥に行けば聞くことができるようになります。

【妖精の森の歌】について見識判定が可能です。
目標値は15。成功すれば『出立の曲目』に記されたことがわかります。

大樹に触れるなどをすることでわかる結果については、
実際にその行動をした場合のみ、結果としてわかります。

皆さんは次の行動を決定してください。
主な選択肢は2つです。

・木の絵の向こうへ行ってみる。
・一旦戻る

PCとオークハウンドはそのまま進むことができますが、
ニコデムスは一度何らかの方法で縮小させねば通れません。
他に起こしたい行動がございましたら、そちらでも構いません。