【B2-3】調査開始の前準備

 GM(あんみつ) [2015/10/11 22:44:48] 
 

>「いくつか、質問があります」

カイルの話を聞き終えたあとプリアーシェが切り出す。

――まず、一つ目は事件についてだ。

「事件は四件。残念だが、生存者はいないな。
 最初の事件はちょうど二週間前、被害者の名前はウララ......だったか?
 年齢とかは詳しくは知らないが、女だ。
 噂だと、恋愛や結婚に関してカリスマとして若い女たちの間で人気だったそうだ。
 現場は店があった6番街の一角だ、行けばわかるだろう。
 ――まあ、興味はないな」

口ぶりでは興味がないと言ったカイルであったが、本の少しだけ間があった。

「次の事件はそれから二日後、被害者はナイシャ、同じく女だ。
 なんでも一度描いた絵と同じ出来事が起こって以来、未来を描く女だと自称していたらしい。
 殺された場所は同じく6番街のアトリエだ」

第二の事件で殺されたのも同じ6番街に住んでいた女性であったそうだ。

「第三の事件が起きたのはその翌日。
 被害者はヨヨ......グラスランナーの男だ。
 現場は4番街の一角。場所が場所である以上、事件が起きたのは深夜だろう。
 ふざけた予言ばかりする男であったらしい」

第三の被害者はグラスランナーの男性。
彼はその前の二人とは現場が違ったという。

「第四の事件はその更に翌日だ。
 殺されたのはゲシャ。シャドウの女予言者だそうだ。
 こういうのもなんだが......この中では一番まともで腕の立つ占い師だったそうだ。
 貴族たちも時たま訪れていたらしいな。
 殺された場所は5番街の自宅だそうだ――俺が話せるのはこれくらいだな」

第四の被害者のシャドウの女性を最後に事件自体は起こっていないらしい。

「人物像から伺える共通点としては、この町に住んでいる占い師であることだけだな。
 もう一つ共通する箇所を挙げるとすれば、皆刺殺であったらしいということくらいか。
 小ぶりの短刀である可能性が高いそうだ」

共通点は被害者の職業と殺害法だけであるらしい。

   *   *   *
 
――二つ目は調査法について。

「調査自体は公にやってもらっても構わない。
 ただ、捕らえた際は一通り聞き出すまで隠し通して欲しい。
 その際の対処はなんとかさせてもらう。
 あと、あんたたちに頼みたいのは情報の入手だ。
 それに生かしておいた方があとあと上手くやりやすい」

調査自体は公にしていいということは、勿論衛兵などに直接話をつけてもいいということだ。
また、今回の依頼についてやはり捕縛が大前提であるようだ。
生かしておいた方があとで衛兵に引き渡す際も多少スムーズになるだろう。

「この件について調査を始めているのには、街の冒険者がいるが......。
 正直なところ協力を求めるのはやめた方がいいだろう。
 実は第四の事件の現場に、冒険者の店のエンブレムが落ちていたようでな。
 内々で酷い揉め事になっているらしいな」

衛兵以外に街の冒険者たちも調査をしているようだが、色々と問題もあるらしい。
カイルがクーガたち街の外の冒険者に依頼した理由の一つが、これであろう。

「それとおそらく情報を求めるためという意味では、"花の夜想曲"の連中は動いているはずだ。
 もっとも、協力可能かどうかはわからんがな」

――花の夜想曲。
コンチェルティアに拠点をもつ盗賊ギルドの名前である。

「あと一人、この街の5番街に住んでいる変人も動いているんだろうな。
 自らの技を芸術である捉え、謎や事件を追いかけている男だ」

もう一人、フリーで動いている5番街に住む男がいるらしい。

   *   *   *
 
――最後に協力者について、だが。
この話になるとカイルの表情は曇った。

「俺たちの一族に起きた二度の事件のせいで、正直なところ協力を結べる相手はいない。
 少しずつ以前のような交流こそ増えてはきたものの正直まだ俺とは関わりたくないようでな。
 内々で話を進められるよう協力関係を結ぶのは難しいだろう。
 まあ......一応誰もいないというわけではないが......」

言おうか言わまいか迷っている様子の彼であったが。

「一応紹介だけはしておく。
 ここの2番街に住むキャピレット家の者たちであれば、不可能ではないだろう。
 ......ただ、この件にあまり巻き込みたくはないんだ」

上流階級のものたちから情報を引き出してくるのは難しいようだ。
まだ若く、導き手となるべき者もいない現状、金や一族の名誉はあれども。
力量としてはなんとか衛兵に話をつけるだけでも精一杯なのだろう。
キャピレット家はヴォルディーク家とも繋がりが強く、令嬢とカイルは親しい仲であるという。
だからこそ、あまり協力は頼みたくはないのであろうが。

また、プリアーシェが話し終えたあとで、

>「手段を選ぶ必要がねぇてのはありがてぇ。
>そんでだな、犯人に襲われるとか戦闘になって魔法や魔動機を使って
>衛兵にしょっ引かれました。は、お互いに困るよな?
>そこは融通利かせてくれ。」

クーガは一言付け加える。

「わかってる。
 無関係な住民を被害に合わせたとかがなければ、その辺りはなんとかなるようにしておく」

流石に、住民に怪我を負わせるなどの自体になれば問題ではある。
その場合は全て穏便に......とは行かない場合もあるであろう。
ただ、それ以外の面については保証してくれるようだ。

>「後でミハイルとエミールにも聞きてぇ事がある。別室に呼んでくれ。」

クーガは聞き終えたあと、エミールとミハイルを呼ぶように言う。
同じく彼らの"過去"を知るカイルは、表情一つ変えず、

「わかった。
 別の部屋で待たせておこう」

そう言って、二人を呼びに行かせる。

   *   *   *
 
「それで、最後に報酬についてだが――5000ガメル支払う。
 その分の1000ガメルを前金として、準備に使用してくれて構わない。
 それと、これも使ってくれていい」

カイルが二人の前に持ってこさせたのは、計2000ガメルと真っ黒なケース。
中には3対のピアスが入っている。

「通話のピアスだ。
 まあ使い方はわかるとは思うが、これで連絡をとることができる。
 ピアスの振り分け方はあんたたちで決めてくれ」

――そうして一通り話がついたところで、

>「ところで、バカだと思ってんのは分かってんだが、改めて言われっとムカつくな。オイ?」

クーガはカイルを睨みつける。
そんなクーガをカイルは紅茶でも飲んで軽く受け流そうとしたが......。

>「さらにシスコンのお前に言われるとひとしおだな。
>さっきから姉さん姉さんってよ・・・
>一人立ちのために俺が合法的に奪ってやろうか?」

「......んなっ」

クーガの突然の発言にカイルの手が滑り、ティーカップを絨毯の上に落とす。
高そうな絨毯に茶色い染みが広がるが、奇跡的にカップは無事だったらしい。
カイルは一度下を向いて、次にクーガの方を向いて何かを言おうとしたが――飲み込んだようだ。
ただ、非常に鋭い目で睨みつけたあと。

「――必ず成功させて帰って来い」

結局、それだけ言うに止めた。
簡単に言えばセシリアを助けるために――続きはあとだ、ということらしい。
これが、カイルという男である。

   *   *   *

クーガとプリアーシェが別室に行くと、そこにはつい先ほど顔を合わせたミハイルが。
――そして、もう一人銀色の流れる髪をした人間の男性がいた。

「はじめまして、エミールといいます」

彼は優雅にプリアーシェに一礼して名乗る。
その所作から、芸術に親しんでいるのだろうとわかるはずだ。

「僕たちにようなんだろう?
 ......まあ、だいたいは予想付いているけどね」

クーガの要件。
エミールとミハイルに答えられること。
それは、全て"無限の探求者"に紐づいている。

「僕たちにはもう何も情報が入っていないから、あまり答えられることはないんです」

ミハイルはうつむきながら、ぼそぼそとつぶやく。

「でも、なんとなくわかることはあるよ。
 今回の人殺しは、最後の事件から期間が空いているだろう?
 もし、これが奴らの仕業なのだとしたら、この期間の開きが意味することは......。
 間違いなく予言が変わったんだろうね――勿論セシリア様の」

エミールは言う。
頻発して起きていた事件が一度なりを潜めたその訳は――。
囚われの令嬢セシリアの見る予知内容が変わったのだと。

「セシリア様の見る夢の特徴のひとつは、見る度にビジョンが詳細になっていくことだ。
 きっと新しい情報が入って、一度計画を練り直しているはずだ。
 そして、もう一つ――セシリア様の見る夢は高確率で現実のものになる。
 その内容が、好ましくないものであれば奴らは必ず仕掛けてくる。
 僕たちから言えるのはそれだけだね」


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あんみつ@GMより

カイルとエミールらからの回答はだいたいこの通りです。
カイルたちも全て知っているわけではないので、
詳細なデータをこれ以上求めるのは難しいです。

【エミール・シルヴィアン】について演者の一覧に登録しておきます。

【花の夜想曲】について見識判定が可能です。
目標値は14。成功すれば『出立の曲目』に記されたことがわかります。

【キャピレット家】について見識判定が可能です。
目標値は14。成功すれば『出立の曲目』に記されたことがわかります。

通話のピアスについて宝物鑑定判定が可能です。
目標値は14。セージで成功すれば詳細がわかります。
わからなくとも、カイルが教えてくれています。

クーガとプリアーシェは次の行動を決定してください。
主な選択肢は7つです。

・衛兵に会いに行く
・キャピレット邸に行く
・冒険者の店に行く
・花の夜想曲に会いに行く
・5番街の男に会いにいく
・事件現場に行く(どれか一つ)
・街を適当にうろつく

他に起こしたい行動がございましたら、そちらでも構いません。
クーガとプリアーシェで別れて行動していただいても構いません。

また通話のピアスは3セットずつあります。
その配分についてもご決定ください。