なすべきこと、立てるべき顔

 プリアーシェ(Lain) [2015/10/14 23:51:54] 
 

> 「さらにシスコンのお前に言われるとひとしおだな。
>  さっきから姉さん姉さんってよ・・・
>  一人立ちのために俺が合法的に奪ってやろうか?」

 ああもうそこは触れずにおいたのに、と頭を抱えたい気分になった。
 なんでわざわざ挑発に乗るのかしら。男のひとはみんなこうなの?

> 「......んなっ」

 カイルさんの激発を心配したけれど、そこはどうにか抑えたようだ。
 心の中で胸を撫で下ろす。

 ひとまず、次は足を踏んで止めよう、と決めた。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 事件について、調査の方法、協力関係を結べそうな相手。
 カイルさんから得られた情報は、だいたい想定の通りだ――ひとつ意外といえば意外なのは、10日前を境に事件が途絶えていること。

 これは何を意味するのだろう。
 ほかの情報が揃ったときにでも考えてみる価値はありそうだ。

 動かすとしたらどこだろう。
 優先順位としてキャピレット家は外せない。
 それに、カイルさん自身にももう少し積極的に動いてもらわねばならない。
 少々おせっかいではあるかもしれないけれど、自分の影響力をあまり低く見積もってもらっても困るのだ。

 ほかに今知っておく必要があることは――

「もうひとつ、よいでしょうか。
 現場に落ちていたというエンブレム、どこの何という店のものかはご存知ですか?」

 返答を聞いた私は、エミールさんとミハイルさんの話を聞くために、席を外した。

「お二方にお話を伺ったあとで、また参ります。
 今後の方針についてはそのときにでも」


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 エミールさんとミハイルさんのお話を聞いて、すこし事情が察せられた気がした。
 おそらくこの2人、過去に何らかの形で例の教団――無限の探究者とかかわりがあったのだろう。

 だから内情を知っていて、しかも同席を要求したクーガさんもそのことを知っている。

 行方不明というセシリアさんの件にもかかわっていた可能性が高い。
 カイルさんは姉君を慕っていたようだから、この2人を屋敷に置いておくことについて心穏やかではないかもしれない。

 ともかく、2人の話は重要な示唆を含んでいる。

 無限の探究者たちの行動の方針についてだ――当面の危険が取り除かれたと判断したか、あるいは次の的を狙っているか。
 事実はさておいて、後者と仮定して動いたほうがよさそうだ。

 となれば、どうするべきか。

 しばらく考えて、私はひとつの結論を出した。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「キャピレット家に協力を依頼すべきです」

 カイルさんのもとに戻り、単刀直入に私は切り出した。

「事件の解決を望まれるのであれば、味方が多くて困ることはありません。
 それに、キャピレット家の側でも、あなたの――カイルさんの行動を見ておられる筈です」

 貴族であればその筈だ。
 危機にどのように対処するのかは、その人の能力を示すもっともわかりやすい指標たりうる。

「独力で解決を試みるのか、それとも適切な相手に協力を請い、準備を整えるのか。
 私があなたに近い貴族の当主であればそういったことを見る機会と捉えるでしょう。
 それは、キャピレット家があなたをどれだけ信頼するかということと同時に、あなたがキャピレット家をどれだけ信頼しているかを示すことにもなります。
 あなたが本心のところでキャピレット家に信頼を置いているかどうかを、こういった事件を通じて見通そうとする筈です」

 そのような状況にあって、連絡すら取らないことがどれだけの不利益を招くかは想像に難くない。

「少なくとも現状を伝え、現状に対するあなた自身の解釈を伝え、今後の方針を伝えるべきです。
 そして、必要があれば協力を求めたい旨も伝えておくべきだと思います。
 それが、敢えてあなたに近い立ち位置を取り続ける貴族の一家への、最低限の礼儀と考えるべきでしょう」

「もう1点、キャピレット家とあなたの間に、定期的な情報のやり取りはありますでしょうか。
 なければ、せめて今回の事件が解決するまでの間だけでもそういったやり取りを行うほうがよいと思います。
 とはいえ、一々人をやったり来させたりでは目立ちますし、手間も時間もかかります。
 通話のピアスを一組お返ししますので、それを使われてはいかがでしょうか。
 キャピレット家への使者は、ミハイルさんが適当だと考えます――お家の相談役が立場の近い別の貴族の家へ出向くのは特に不自然さもありません」

「直接的な援助でなくとも、たとえば、カイルさんが今しようとしていることをそれとなく周囲に伝えていただく、といった形でもよいと思います――むしろ今後のことを考えれば、その方がよいかもしれません。
 あなたがしばらく前から手を打っており、ルキスラから冒険者を招請したということ。
 事件は一時止んでいるだけで、いずれ次の事件が起きうるということ。
 次の事件を防ぐための手立てをあなたが整えていること。
 そういったことを、あなた自身が言うのではなく、周囲に、つまりキャピレット家からそれとなく流してもらう、というのはいかがでしょう。
 これだけの事件です。後々何もしなかった、手をこまねいていたと非難されるような要因は、消しておくのが上策です。
 そのためには、後になって悪い噂が立ってからそれを否定するよりも、今まさに動いているのだと、そういう印象を残しておくべきかと存じます」

 ひとつ息をついて自分の言葉への反応を確かめる。

「また、冒険者を――それも、外から冒険者を雇った理由としては、エンブレムの件を出さずにおいてください。
 この街の冒険者が疑わしいからではなく、もっと別の――たとえば、ザルツ地方で暗躍する邪教の教団が相手であるから、といった理由を付けておいていただければと。
 あなたがこの街の冒険者を疑っていないということにしていただいた方が、冒険者からの協力を得やすくなる、と私は考えています。
 いま、件のエンブレムの店は、自分たちの店に降りかかってきた火の粉を払いたいと考えているでしょう。
 逆に、事実として冒険者が関わっていたのであれば、まさに自分たちで始末をつけたいと考えている筈です。
 こちらから協力を依頼し、かつ協力を申し出ることで、その店の力を借りることができる、と私は考えます。
 わかりやすく言い換えるならば、情報を提供することで、店の名誉を取り戻す機会を与える、ということです」

「そのようなわけですから、私は、冒険者の店へ協力の依頼をしに出向こうと思います。
 できれば、私の身元を保証し、店との交渉を任せる旨の一筆をいただけませんでしょうか」


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


> 「残りは美人ちゃん持っててくれよ。俺が持つよりいい。
>  あと前金だが俺が800でそっち1200な、それで手持ちがおなじくらいになるだろ?」

 出発前、前金の分配の段になって、クーガさんがそんなことを言い出した。

「いいえ、私よりもむしろ、情報料としてクーガさんが多めに持って行っていただくべきかと思います」

 スカウトのギルドのことはよく知らないけれど、裏社会の話であれば何がしかの手土産は入用な筈だ。

「こちらはそうお金が入用とも思えませんし、そうですね、500も頂ければよいかと」

 手持ちと合わせて1000ほどにはなる。
 もともとお金でどうこうという交渉をする気はないし、そのくらいで当面は十分だろう。

> 「で、花の夜想曲って何処にあるんだ?」

「ああ、それでしたら――」

 一通り説明をし終えてようやく気付いた。

 このひと、なんで私の懐の中身を知っていたんだろう?


■PLから

 長いですサーセン!


 諸々情勢判断とカイルさんに注文など。

  • キャピレット家とはすぐ連絡取ってください。味方は多いほうがいいです。必要ならピアスも使ってください。
  • 援助を依頼するしないは別として、今何をしようとしてるかは知らせといてください。味方への最低限の礼儀です。
  • 興味ないとか突っ張ってないで解決のために動いてることをアピールしといてください
  • アピールは本人がやるより周囲からそれとなくやったほうが効果あると思うんでキャピレット家にそこを依頼してください。
  • そのへんを伝える使者はミハイルさんを使ってください。相談役だし、適任のはずです。
  • 冒険者の店の顔は潰さずにおいてやってください。
  • 顔を潰さず、かつ情報を渡すかわりに解決に協力しろ、という形で冒険者の店に話を持っていきます。信任状ください

 こんなかんじです。わあ図々しい!


◆当面は

 冒険者の店にまいります。


■ダイス

Lain@プリアーシェ ありばど見識判定:花の夜想曲 2d6+8 Dice:2D6[4,2]+8=14
Lain@プリアーシェ ありばど見識判定:キャピレット家 2d6+8 Dice:2D6[3,5]+8=16
Lain@プリアーシェ ありばど宝物鑑定:通話のピアス 2d6+8 Dice:2D6[2,3]+8=13
Lain@プリアーシェ 割るほどでもないな教えてもらえるし(''