【B3-2】響く不協和音
>「フィン。フィン・ティモシーだよ。この子は友達のポチ。ありがとう、よろしくね、アポロ」
まず、アポロにフィンが挨拶し。
>「私はニェストル、見ての通り旅の者」
>「...落し物を拾ったお礼に街を案内してもらえると嬉しいな」
続いて二ェストルがそれに続く。
その手には先ほどアポロが落としたガラス玉を持ちながら。
「あ、それおれのだ!
拾ってくれたの?――ありがとー!」
アポロの二ェストルへの態度は先程までと大きく変わっている。
子供というものは基本的に現金なものである。
「んで、ネス兄ちゃんも案内して欲しいの?
しょーがないなー、案内してあげちゃうぜ!」
いつの間にかフィンに習ってネス――しかも兄ちゃん呼びである。
子供というものは基本的に可愛いものである。
二ェストルが実はガラス玉を隠していたことなど全く気付いていないようだ。
* * *
一方のフィンはというと店のおばさんから聞いた殺人事件の噂が気がかりらしく。
>「ね、アポロ。どこか、ぜったいに大人に見つからない、いい場所を知らない?じつは僕、今とってもめずらしいおいしいお菓子を持ってるんだ。でも少ししかなくて......。子どもだけで、こっそり内緒で食べちゃおうよ」
アポロがどこかに隠れて作っているという秘密基地。
その所在を確かめようと、ゆさぶりをかける。
「んー、知ってるっちゃ知ってるけど......。
おれ、あそこアイリにしか教えてないしな。
アイリが教えていいって言ったら、教える」
アイリというアポロと親しい人物に許可が取れれば、教えてくれるそうだ。
少なくとも、今はまだ言えないらしい。
「それよりさ、ふたりとも泊まるところ決まってるの?
3番街には色々といい店あるぜ!
連れてってやるよ!」
そう言い終わった瞬間には、アポロは走り出していた。
まさしく猪突猛進なタイプである。
「おーい、フィン!ネス兄ちゃーん!
早く来ないとおいてくぜー!」
* * *
コンチェルティアの3番街は先ほどフィンがちらっと見えたものとは少しだけ雰囲気が違っていた。
すぐ近くで眺めて見ると、気がつくのは深刻な表情、苛々とした表情、苦々しい表情。
それら皆――冒険者らしきものたちの顔つきである。
「最近ここら辺ちょっと空気悪くてさー。
かんべんしてほしいよなー」
ぷくっと一瞬だけ頬をふくらませてからアポロはずんずんと街の中を進んでいく。
「安く泊まりたいなら、啄木鳥の三弦亭とか。
美味しいものいっぱい食べたかったら、桃色の子豚亭とかあるよ。
黒銀の鍵盤亭はいい宿だけどめっちゃ高くて泊まれないんだ」
歩きながら説明するアポロだったが、一件の宿の前で止まる。
「あ、ここは七色の調べ亭。
そういやフィンって冒険者なんだろ?なんかすごいことしたことある?
ここは冒険者の店でもあるから、冒険者いっぱいいるぜ!」
七色の調べ亭。
コンチェルティア最大の冒険者の店である。
一般客用にも部屋は開かれているので、二ェストルたちが泊まることもできる。
「でもさー、ちょっと聞いた話なんだけどこの店で......」
――瞬間。響いたのは何かが割れる音。
そしてドタバタと何かが暴れているかのような異音。そして怒声。
音の発生源は3人の目の前にある七色の調べ亭だ。
周囲には何事かと人がぞろぞろと集まってきて。
「うわー、すげえ音。なんだろ。
ケンカかな?
――おれ、見てくるよ!」
アポロはささっとドアを開け、店の中へとするっと入っていってしまった。
取り残されたのはフィンと二ェストル。
そして、使い魔やペットたち。
近くに見えるのは、アポロがおすすめしてくれた宿だろうか。
看板の名前を読み取ると、そのようである。
人の注目が七色の調べ亭に集まっている今ならばカウンターで予約も取りやすいかもしれない。
もっとも、アポロは既に店の中であるが。
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あんみつ@GMより
コンチェルティアの3番街に到着しました。
アポロは今は秘密基地を教えてくれないようです。
【七色の調べ亭】について見識判定が可能です。
目標値は14。成功すれば『出立の曲目』に記されたことがわかります。
フィンと二ェストルは次の行動を決定してください。
主な選択肢は2つです。
・アポロを追う
・宿をとりに行く
他に起こしたい行動がございましたら、そちらでも構いません。