【B3-3】集う先には
>「ありがと、アポロ。アイリって、アポロの友達?」
アイリと言う名の人物。
自分の秘密基地を教えるほどなので、そこそこ親しい間柄であろうが。
「アイリ?......あんなの友達じゃねーよ。
おれのとなりに住んでるから仲良くしてるだけだって。
いつもすましてやがるんだから、ほんとムカつくぜ」
口ではこう言ってるが――いわゆる素直になれないお年頃なのだ。
* * *
コンチェルティア3番街で突如巻き起こる混乱。
幼き少年の好奇心とは抑えの効かないものである。
フィンと二ェストルの隙をついて、アポロは建物の中へと転がり込んだ。
>「待ちなさい!
> あぁ、仕方ないな......」
>「わかりました。アポロを、つかまえなきゃ」
そんなアポロを追いかけて、二ェストルとフィンの二人も店内へ飛び込む。
一方、ヴォルディーク邸を抜けてきたプリアーシェも3番外でこの騒動を目にするであろうか。
* * *
店の内部はひどい惨状だった。
料理を出すための机と椅子がひっくり返っている。
床には割れた皿とグラスの破片が散乱している――先ほどの音の原因はこれか。
店の中央には仁王立ちの男。
拳をわなわなと震わせている彼は、少々この街には似つかわしくない様相だ。
骨太の高身長で筋骨逞しい肉体、その太い腕は大剣でも易易と扱えるだろう。
優美だが無駄な飾り気など決してなく、最低限のみの服装。
よく見れば、その頭には穢れを意味する角が見える。
「つまり、このまま放っておけっていうことかよ?
この店の中に犯人がいるかもしんねえのに、黙って見過ごせってか?ああ?」
憤りの詰まった大きな怒声。
投げかけられた先にいたのは、金色の髪をした優男だ。
おそらく、目の前の男につき飛ばされたのだろう。
彼は弱々しく、その腰を持ち上げた。
「違うよ、君は間違っている。
たまたまこの店のエンブレムが現場にあっただけで、それが事件と関わっている証拠はない。
――それに、あの事件はもう終わりかけているじゃないか。
静まりかけている事件を今になって掘り起こす必要はないだろう?」
突き飛ばされた彼も簡単に退くような男ではないようだ。
対照的に優美に飾り立てた姿でありながらも、芯の通った強さがある。
それは、自らに対する自信からくるものであろうか。
「だから、言ってんじゃねえか。
俺だって、何でもかんでも疑ってるわけじゃねえ、むしろ信じてんだよ。
だからこそ、犯人探しを徹底させろっつってんだ。
もしお前が依頼人だとして、殺人犯がいるかもしれない店に頼めんのか?
ごまかしてほっといたって、それは単純に先送りにしてるだけだろうが」
再度、男が掴みかかろうとしたところを......。
「あんたたち、いい加減にしなさいな。
これ以上暴れるなら店の外――いや、街の外でやりなさい」
凛とした声色は力強いわけではないがよく通る。
気がつけば、三人が入ってきたドアから、一人の女性が姿を見せていた。
「私はあんたたちに大喧嘩させるために店番を頼んだわけじゃないのよ」
ずかずかと店内に入り込んだ彼女が一直線に目指すのは――掃除箱だ。
「はい、散らかしたなら後片付けなさい――勿論、二人共よ」
「でもよぉ、アンネの姉さん」
逞しい男の方が何かを言おうとする前に、間髪入れずに。
「グラディウス、黙ってやるのよ。
リオン、勿論貴方もよ」
アンネと呼ばれた女性が店内に入ると、荒れていた店内の空気も徐々に収まっていく。
確か、この店の女主人の名はアンネと言ったはずだ。
つまり、今この場を収めた彼女こそ――七色の調べ亭の店主なのだろう。
アンネはひと仕事終えたあとで、カウンターに着く。
プリアーシェが話を振りに行くのであれば、ちょうどいい頃合だろうか。
* * *
店内の様子をぼうっとみつめていたアポロであったが。
「なんつーか、つまんなかったな。
こんなところはもういいからさっさと行こーぜ!」
入ったらすぐに飽きてしまったようで、大きな欠伸をしていた。
「3番街にさー、うまいお菓子を売ってる店があんだよ。
そっち行こうぜ、そっち!」
アポロは二ェストルの裾とフィンの耳を引っ張った。
結構力が強い......というよりは遠慮がない。
* * *
プリアーシェが店内の様子を改めて探ると、
銀色の髪の少年を連れたシャドウとタビットの姿があった。
もしかしたらルキスラで彼らの姿を見たことがあるであろうか。
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あんみつ@GMより
七色の調べ亭は喧嘩の真っ最中でした。
プリアーシェは好きなタイミングで登場できます。
【アンネ・セプティア】について演者の一覧に登録しておきます。
【グラディウス・ボーグ】について演者の一覧に登録しておきます。
【リオン・ルシフェレス】について演者の一覧に登録しておきます。
フィンと二ェストルは次の行動を決定してください。
主な選択肢は大きく分けて2つです。
・アポロと店を出る
・もうちょっとこの店にいる
店を出るならどこに行きたいか明言しておいてくださいませ。
例)どっかの宿屋、お菓子屋、2番街など
七色の調べ亭にもう少しいるならば何をするか明言しておいてくださいませ。
例)アンネ(グラディウス、リオン)に話しかける、今夜の宿を取るなど
他に何かしたいことがあればそれでも構いません。
プリアーシェはフィンと二ェストルの二人とは、
知り合いとしても初対面としていただいても構いません。
もし判定するのであれば冒険者レベル+知力で目標値12を超えると、
少なくともルキスラで見たことがある冒険者かな、とはわかります。
プリアーシェは協力を取り付けてすぐ店を出るだけなら、
次の行動をお書きくださいませ。
勿論たくさん話してくよ!とのことであればそれでも構いません。