【B3-4】交わる道と分かれ道
>「こんなところで同じ店の方とお会いできるとは思いませんでした。
> プリアーシェといいます。仕事の話で来たのですが、ひどい有様ですね」
七色の調べ亭を訪れたプリアーシェは目聡く二ェストルとフィンの姿を見つけ、軽く挨拶をする。
>「あ...、こんにちは」
>「あ、ええと、フィン・ティモシーといいます。えと、お察しのとおり、僕も【火竜の手羽先亭】所属の冒険者です。コンチェルティアには観光で来たんですけど......」
フィンはプリアーシェの言葉に返してからその流れで、
>「この子は、コンチェルティアに住んでいる地元の子です。街の案内をしてくれています」
アポロの背中をぽんぽんと軽くたたく。
アポロはちょっとうるさそうに体を揺すりながらも。
「おれ、アポロって言うんだ。フィンの友達だぜ!
ネス兄ちゃんの案内もしてやってんだぞ」
どこか偉そうな態度で自分の名前を名乗ってくれる。
銀色の髪のこの少年がアポロだということをプリアーシェの頭脳は記録できるだろう。
フィンは何故ルキスラの冒険者であるプリアーシェがコンチェルティアに仕事に来ているのかが気になったようだ。
一番考えられるものは――アポロの話にあった事柄。
>「ねえアポロ、さっき言ってた、『この前ここであったこと』って何?何があったの?」
「おれ、そんなこと言ったっけ?
ま、いいや......この前ここで何かあったっていうかさ。
この店の冒険者が事件の犯人らしいって噂があったんだ、やばいよな!」
アポロが知っているのはこの店の冒険者が殺人事件の犯人だという噂があることくらいらしい。
3番街に入った時の冒険者らしき者共の違和感。
この店に初めて入った時の状態。
少なくともそのような噂があったことは事実なのだろう。
* * *
>「いたたたた、痛い痛いアポロ!」
フィンの耳を力強く引っ張っていたアポロの耳を。
>「うーん...ついて行きたいのはやまやまだけど、今夜の宿を
> 取らないといけないからねぇ」
二ェストルはやんわりと引き剥がした。
>「あ、ありがとうございます、ネスさん。...アポロ、僕のこれは耳だからね、きみだって耳をひっぱられたら痛いでしょ。そんなこと、しちゃダメだよ」
耳の付け根を摩りながらフィンはアポロに注意する。
「だってさ、掴みやすかったんだもん。
悪かったよ......ごめん」
アポロはしゅんとした顔で俯いた。
>「さぁ、これはプレゼント選びの練習だ
> アポロが考えるとびっきりのお土産を頼むよ?」
そんなアポロの手にそっと二ェストルは銀貨を握らせる。
つまりは大人から子供へのお駄賃である。
「ありがとう――ネス兄ちゃん!
やっぱネス兄ちゃんは大人だぜ、フィンとは大違いだな!
よーし、これ持っていこうぜ、早くー!」
不憫なフィンである。
アポロは店のドアの前でぴょんぴょんと跳ねている。
フィンが早くこっちに来るのを待っているようだ。
フィンはアポロを遠目に見ながら、自らの使い魔であるポチを二ェストルに託す。
いざという時は交易共通語の文字表を利用して連絡を取るつもりだ。
一通り話を終えたあとフィンはアポロの手を掴む。
「わ、なんだよ!おれ子供じゃないんだぜ!」
思いっきりぶんぶんと腕を降るその姿はまさしく子供のそれであるが。
それでも流石にタビットとはいえ、思いっきり引き剥がすほどの力はない。
>「お菓子屋さんって、ここから近いの?」
「ちょっと歩くけど同じ3番街だし、遠くはない。
安くて美味しいお菓子がいっぱいあるんだぜ、超いいだろ?」
アポロおすすめの駄菓子屋はここからは数分歩いた程度にあるようだ。
駄菓子屋なので大したお金もかかることもないだろう。
>「......『人を襲う事件』が起こってる、ってさ、僕、コンチェルティアについたばっかりなのに、街のひとから聞いたんだ。アポロ、お家のひとから何か聞いてる?子どもだけで出歩いちゃいけないとか、どこかに近づいちゃいけないとか、言われてない?」
「ホント迷惑な話だよなー。
おかげで昨日まで勝手に出歩いちゃダメってうるさいんだぜ。
こっそり出ようとしたらアイリに見つかって、すぐチクられてめっちゃ怒られたし。
今日からやっと外で遊んでオッケーって言われたばっかなんだ」
どうやらアポロは家から出てはいけないと言われていたようだ。
勿論律儀に守るアポロではないが件のアイリはそれを見越して動いてるらしい。
フィンとぶつかった時に無駄に急いでいたのは、久しぶりに遊び回れる喜びが大きかったかもしれない。
>「アポロのお家はどのへん?5番街かな?」
>「いつもおすましのアイリって、アポロよりもお姉さんなの?」
「おれは5番街に住んでるぜ。
うちの近くにはちっちゃいスペースがあってさ。
そこでいっつもボール蹴ってんだ」
アポロの住居は5番街にあるそうだ。
すぐ側には小さな空き地があるという。
「アイリは確かにおれより一個上だけど......。
だからって俺より偉いなんて認めてないからな!」
アイリは確かにアポロよりも年上らしい。
たった1歳の差ではあるが。
>「ねぇ、さっき言ってた『大人にみつからない場所』に、僕も行ってみたいな。いいな、そういう『秘密基地』みたいなの。かっこいいな。アポロとアイリだけが知ってるんだよね?」
「うん、まあ確かにそうだな。
あとでアイリに会いに行って許可を貰えたら教えてやるよ!」
フィンがアポロを家まで送る時に、アイリに許可を取ってくれるらしい。
許可を取れればすぐに、秘密基地まで案内してくれるだろう。
「楽しみだなー、へへ」
アポロはもう頭の中にはお菓子のことしかないらしい。
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あんみつ@GMより
とりあえず各PCが分かれるまでの簡単な処理を(*´∀`*)
続きは次のカテゴリで行いますね!
二ェストルは5~15Gで適当な額でアポロにあげてください。
もし何か返しがあればここに記載しておいてください。