油断した!
ネスさんがガラス玉を見せたとたん、アポロの顔がかがやいた。
>「あ、それおれのだ!
拾ってくれたの?――ありがとー!」>「んで、ネス兄ちゃんも案内して欲しいの?
しょーがないなー、案内してあげちゃうぜ!」
僕はちょっとだけがくっと力がぬけた。ネスさんにびくびくしていたのは、ほんとに単に知らない男のひとを警戒してただけだったみたい。
隠れて作っているという「秘密基地」に連れていってもらえないかなと思って、お菓子のことを持ちだしてみたんだけど、
>「んー、知ってるっちゃ知ってるけど......。
おれ、あそこアイリにしか教えてないしな。
アイリが教えていいって言ったら、教える」
と、すぐには教えてくれなかった。ほんとに、あぶないことをしてなければいいんだけど...。
「アイリ」がいいと言ったら教えてくれるらしい。
「ありがと、アポロ。アイリって、アポロの友達?」
どんな子なんだろう。どんなひと、かもしれないけど。とりあえず、秘密基地のことはあとまわしになりそうだった。
>「それよりさ、ふたりとも泊まるところ決まってるの?
>3番街には色々といい店あるぜ!
>連れてってやるよ!」
アポロはそう言うなり、かけ出す。
>「おーい、フィン!ネス兄ちゃーん!
>早く来ないとおいてくぜー!」
「ま、待ってよアポロー!」
僕、かけっこは苦手なんだけど...!
>「はいはい そんなに走らないくても宿屋は逃げたりしないよ」
落ちついたようすのネスさんといっしょに、ひょいひょいと人波をさけて走っていく銀色の髪の毛を追いかけた。
いそいで追いながらも、ネスさんにアポロの「秘密基地」のことを説明する。
「アポロは、街のどこかに、大人に隠れて、『秘密基地』を作って、いるそうです。アイリ、っていうひと、だけが、出入りしてて...。事件のことも、あるし、あぶないこと、してなきゃいいんですけど...」
息をきらせながら、ようやくのことでそう伝えた。
※ ※ ※
さっきヴォルディーク通りからながめたときは気づけなかったけど、3番街はずいぶんぴりぴりした雰囲気につつまれていた。
冒険者とおぼしきひとたちが、みんな一様にいらだち、神経をとがらせているみたいだ。
>「最近ここら辺ちょっと空気悪くてさー。
かんべんしてほしいよなー」
アポロが言うに、この雰囲気はここ最近にはじまったものらしかった。
>「安く泊まりたいなら、啄木鳥の三弦亭とか。
>美味しいものいっぱい食べたかったら、桃色の子豚亭とかあるよ。
>黒銀の鍵盤亭はいい宿だけどめっちゃ高くて泊まれないんだ」
アポロが何件かの宿を紹介してくれる。どんなところがいいかな......。ちょっと思案していると、ふとアポロが一件の宿の前で足をとめた。
>「あ、ここは七色の調べ亭。
>そういやフィンって冒険者なんだろ?なんかすごいことしたことある?
>ここは冒険者の店でもあるから、冒険者いっぱいいるぜ!」>「でもさー、ちょっと聞いた話なんだけどこの店で......」
と言いかけたとたん、ものすごい音がひびいた。それから人のどなり声。この宿のなかで、何かあったんだ。
おもわずおどろいて間口をのぞこうとしたとたん、銀色の髪の毛がするっと目の前を通った。
>「うわー、すげえ音。なんだろ。
ケンカかな?
――おれ、見てくるよ!」
「アポロ!」
ひきとめようとしたけど、間に合わない。
>「待ちなさい!あぁ、仕方ないな......」
ネスさんが足早に店内に入った。僕も急いで転がりこむ。
もう、これだからちいさい子は油断しちゃいけなかったんだ。アポロみたいな子はとくに。
僕は必死になって店内を見回した。どうしよう。ネスさんに呼びかけようようとしたとき、耳元で前を向いたままの彼の声がきこえた。
>「...これでこのまま話ができるよ」
妖精魔法だ。僕はびっくりしたけど、
「わかりました。アポロを、つかまえなきゃ」
緊張しながら、そう返した。
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PL(雪虫)より
フィンの次の行動も、ネスさんと同じく【アポロを追う】です。
アポロには「アイリ」についてたずねています。
ネスさんとアポロの「秘密基地」について情報を共有します。
【判定結果】
見識判定 七色の調べ亭 2d6+8 <Dice:2D6[3,3]+8=14>