【C1-1】翠深き杜で
タタラが様々な感覚を用いて、目の前に立つ木の不思議を確かめてみようとするも。
特に他の一般的な木々に比べて異質な点は存在していなかった。
――だからこそ、木の中腹にある謎の現象が際立って見えるのだ。
ヴェンデルベルトは木の周辺に咲き誇る桃色の花々に目をつけた。
それは花弁がハート型になっている花であった。
それゆえ、押し花にしてお守りにすると恋が成就するという話もあるそうだ。
目の前に聳え立つ不可思議な現象。
それを前にして冒険者たちが己の好奇心を抑えられるはずもなかった。
「うん、そうしよう。
くぐり抜けてみよう。
――あとからついていけばいいかな?」
オレットもそれに従う。
ティキがニコデムスを彫像化させた後。
冒険者とオレットは樹木の中へと自らの体を埋めていく。
――体が軽い。
重力を感じない。
これは、落下していく感覚?
いや、浮遊感だ。
視界は薄緑色に染められて。
聴覚は風の音に満ちていく。
もはや何もわからなくなる。
その先に――待っていたのは。
* * *
「ここは......」
そこは明らかに今までの世界とは違っていた。
まず、何よりも空気が美味しい。
風が澄んでいて綺麗なのだ。
その綺麗さはタタラのような穢れを帯びた者にとっては多少居心地が悪く感じるかもしれないが。
「とても幻想的な風景だね。
これが妖精の力なのかな」
オレットは周囲の壮麗さに息を漏らす。
翡翠や翠玉でできた木々。
それらに近づけば風の囁きを感じることができるだろう。
力を入れてみれば枝や葉がぽきりと折れる。
手で触り、目で眺めてみればやはり宝石の質感だ。
だが原石ではなく研磨された様子であるのはこの世界の魔力の仕業であろうか。
宝石の木々や草花のなか、不自然に人が通りやすく整えられた道らしき空間がある。
ちょうどそれらの道は左右に二手に分かれている。
左手の方からは歌が聞こえてくるのが分かるであろう。
「歌声はあっちから聞こえてくるね。
向こうに誰かいるのかな」
オレットの耳にもその歌声は届いているようである。
それなりの大きさで聞こえているのだから、誰でも聞こえるものだ。
逆に右の方の道からは特に音も聞こえない。
ただ風が流れてくる音がするだけだ。
これらの道は何処までも続いているように見える。
森に煌く緑色の輝きが、正常な感覚を狂わせているのだろうか。
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あんみつ@GMより
こちらはヴェンデルベルトとティキの探求者《Seekers》のおふたりと、
タタラとプラリネ用の新しいカテゴリです。
ここからの4人のPCの日記はこのカテゴリにご記載ください。
桃色の花が欲しければレンジャー+器用度Bで目標値10の判定に成功すれば、
綺麗に花を摘むことができます。
4人+αは妖精の森に到着したところです。
森の入口付近には現在危険はございません。
ニコデムスは好きなタイミングで元の大きさに戻していただいて構いません。
皆さんは次の行動を決定してください。
主な選択肢は2つです。
・左の道へ行く
・右の道へ行く
他に起こしたい行動がございましたら、そちらでも構いません。
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