飽きるには時間が足りぬ
私の質問にリナリア嬢は1つ1つ答えてくれる。
>「このハープが気になるの?
壊さなければ手にとって見ても構わないわ」
何とハープまで持たせてくれたのだ。失礼をしてしまった相手になんとも寛大な態度である。
「ふむふむ、これは不思議な。加工された跡が見受けられないと言う事は、やはり人の手によるものではないのですか」
しげしげと緑のハープを観察し、撫で、そっとその弦を爪弾く。
「ううむ、やはり私には音楽の才能は無いようですねぇ」
音が鳴る、と言う事と音楽を奏でられると言う事は全く別なのである。
>「あなたたちが本当に美しくあるのであれば、私の歌など必要ないはずよ」
「そうですね、全くその通りでした」
テンペストに気に入られる資質を、オレット氏が備えていればよいのだが。
リナリア嬢の歌についてはいつでも歌ってくれると言う言葉を貰ったことで満足しておこう。
>「テンペストはね、風の妖精。
> 退屈しちゃったというよりかは、簡単に言うと飽きちゃったの。
> もうこの世の美しいものはあらかた見ちゃったって。」
「それはそれは。羨ましいことですね」
長く生きているのだろう風の妖精。世界に飽きることがあるとは思わなかった。
時間をこの老い先短い爺に分けてほしいくらいである。
>「――ところで、美しいものと聞いてあなたたちは何を思い浮かべる?」
思い浮かんだのはあの森の中の小屋だ。私と『彼』が暮らしたあの場所。冬は寒く、夏は暑く、住み心地は決して良いとは言えないのに、思えだせる記憶はいつも優しく、美しいものだった。
リナリア嬢が上げていくものは私にとっても美しいと思えるものだ。戦いの美しさはその戦果だったり、犠牲者の数であったりするのだろう。
つまり、私は『美しい』と感じる心こそが美しいのではないかと、考えるのである。
◇ ◇ ◇
リナリア嬢への態度を、流石に見とがめたのだろう。ティキの声が上から振ってきた。
>「―さすがに失礼ですよ」
「......ですね。申し訳ありません。重ねて謝罪いたします」
こういう時にきちんと言葉をかけてくれる関係と言うのは良いものだ。
そのすぐ後にニコデムス君が暴走していたのでティキにお礼を言い損ねてしまった。
>「......色々と失礼しました。美人に目がないんです、こいつは......」
どうやら彼は面食いらしい。ドラゴンの美的感覚は、そう人と変わりないと言う事なのだろうか。
◇ ◇ ◇
プラリネ君の真っ直ぐな気性は大変に好ましい。間違っているものは間違っていると言える気質は世間を知らぬ無知から来るものか。是非ともこのまま成長して欲しいものである。
◇ ◇ ◇
オレット氏の望みは探し人の救出らしい。それならば風の妖精の情報収集能力は役に立つのではないだろうか。
彼がテンペストに気に入られることを願うばかりである。
◇ ◇ ◇
タタラ嬢の選択はここに残ると言うものだった。宿での発言と言い、彼女はまだ自分に自信がないのだろう。
今の自分の力を把握し、出来ることを模索する事は自己の成長にとって必要不可欠は事だ。
ならば、私はそれを見守ろう。そうして彼女がいつか結論を出せたらしいと思う。
「では、また後で」
私には、立ち止まっている時間の余裕は無く、なればこそ前に進むしか無いのだ。
◇ ◇ ◇
>「奥に進むのならこれを付けていくといいわ。
テンペストが好きな花なのよ。」
「ありがとうございます。いただきますね」
渡された桃色の花をフラワーホールに差し込む。普段は何もつけないが、やはりこういうものがあると華やぐのだろうか。
>「うわ......!」
「......あれ?」
分岐点まで戻り、もう一方に進もうとすると、突風が吹きこんできて、すぐに止んだ。
いや、違う、これは直前で弱まっているのだろうか。原因は恐らく、リナリア嬢に貰ったこの花であろう。
ならば、この順番で尋ねるのが正解だったと言う事だろうか。
「大丈夫の様ですね、進みましょうか」
パタパタと耳がはためく程度は、許容範囲内である。
パックは知ってたけど弱点抜けなかった(U´・ω・)
お爺ちゃんの垂れ耳が風でパタパタしてるよ!
23:58:21 柑橘@ヴェン パック 2d+11 Dice:2D6[4,3]+11=18
00:08:27 柑橘@ヴェン 生命抵抗 2d+9 Dice:2D6[5,1]+9=15