まずは依頼を
「これはこれは、可愛らしい」
周囲に咲く花の花弁はハートの形をしており、そこから恋のおまじないとしてお守りにする場合もあるようだ。
知り合いにそれに悩んでいる人物は居ただろうか。話のタネに渡しても良いかもしれない。
タタラ嬢が巨木に取りついている間に桃色の花冠に手を伸ばす。風になびくそれは可憐だ。
「ええと、確か......」
ごそごそと荷物を探り、目的のものを取り出す。小型ナイフと白紙の本。
背伸びをしてプツリと幾つか茎を切り、本の半ばに形を整えて挟み込んだ。
「これでよし、と」
帰ったら羊皮紙に挟みなおして重しをしておこう。数日たてば綺麗な押し花が出来上がることだろう。
しおりにすれば普段使いも出来るし、悩んでいる知り合いにあったならあげても良いかもしれない。
>「うん、そうしよう。
くぐり抜けてみよう。
――あとからついていけばいいかな?」
「えぇ、そうしてください。万が一があってはいけませんから」
オレット氏の言葉に皆のところへ戻り、そうしてその現象と向き合う。さぁ、何が待っているのだろうか。
◇ ◇ ◇
「ほうほう、これはこれは興味深いですね」
投げ出されたような感覚を覚えながら、周囲を見回した。
これはどういう事であろうか。そろそろ冬毛に生え変わり始めている毛がふんわりとなびいている。
分かるのは薄緑の光と、強くなる風の音。しかし、私はのんびりと構えていた。何故なら危険を感じないからだ。
◇ ◇ ◇
ぱちくりと瞬きをして、信じられない光景に目を凝らす。ほてほてと心のままに近寄ったそれは、翡翠や翠玉でできた木々や草花であった。
風の妖精の力であろうか、何かの声が聞こえてきそうなほど美しい。
しゃがみ込み足元のそれに触れてみると存外強度があることが分かり、力を入れて手折ってみることにする。
ポキリと折れた感触は植物のそれではなく、鉱物の硬さで。
私はそれを布で包み込み袋へ仕舞うと、使命感と共に今度は実のなっている木の枝に手を伸ばした。
「む、これは中々手ごわい」
ぐいぐいと力を入れるがしっかりした翠の枝は硬く、先ほどと同じようには行かなかった。
体重をかけるが私の微々たるそれでは如何ともしがたく。私は少しの間格闘することになったのだった。
◇ ◇ ◇
>「歌声はあっちから聞こえてくるね。
向こうに誰かいるのかな」
分かれ道は左右に続いている。歌声は左手からだ。逆側からは何も聞こえてこない。
これが純粋に探索目的出来ているのなら、何かありそうな左より先に
右を調べるところではあるのだが...。
「目的は妖精の力を借りることですから。誰かいるようならそちらの方が良いのではないでしょうか」
まずは、オレット氏の依頼を達成しなければ。探索はその後でも出来るだろう。そうだと良いと思う。
と言うわけで左に1票投じておきます。翡翠の枝と格闘するお爺ちゃんを手伝ってくれても良いんですよ!ですよ!
18:42:11 柑橘 桃色の花採取 2d+3 Dice:2D6[6,4]+3=13