【C2-2】カーブで攻めて
――あなたの魅力を見せて欲しい。
デイジーの言葉を受けて、クーガはタバコを咥えて文字を記す。
>「安心しろ。煙草吸ってる姿が俺のいいところだなんて言わねぇよ。」
「でも、なかなか似合っているわよ」
それは、お世辞か、真か。
* * *
>「悪かったな。待たせて。」
「いいえ、特に待っていないわ。
時間はたっぷりあるもの」
人とエルフの時間感覚の差か。
それとも、クーガとデイジー個々の差か。
少なくとも、気分を害された様子はないようだ。
>「で、俺のいいところを見せろ?」
>「そいつは無理だ。」
しかし、クーガがデイジーに突きつけたのは"不可能"の三文字。
デイジーは決して表情を動かすことはなかった。
そこにはまだ綺麗な微笑みが浮かんでいる。
>「まぁ、最後まで話聞けって。
クーガが後に続けたのは、ストレートな回答ではなく、一種の変化球。
>「アンタが見つけてくれ。相手から見せてもらうのも飽きたろ?
それは、ある意味では回答を丸投げする行為にも等しいものであったが。
「......なるほどね」
デイジーの綺麗な微笑みが少し歪む。
それは喜びから来る歪みだ。
彼女は――少なくとも満足したのだろう。
「よくわかっているじゃない。私があなたに望む魅力は――""行動"よ。
コンチェルティアという舞台の上で、多くの演者たちによって作り上げられるストーリー。
それを見るのが、ここ最近で一番の楽しみなの。
はっきり言って見栄えと金払いがいいだけの"観客"には興味がないわ。
あなたの未来にベットする方が楽しいの」
デイジーは右手でクーガが丸めた羊皮紙を受け取り、
その場で広げてちらりと眺める。
「クーガ......あなたの聞きたいことはよくわかったわ。
でも、私は答えそのままは渡さない。
だって、別に脚本家になりたいわけではないもの」
羊皮紙を再度丸め直して、視線をクーガの瞳に戻す。
* * *
「殺された人たちのことが聞きたいの?
過去になんか目を向けている暇があるなら一秒先を見据えていて欲しいわ。
彼女たちはこの街の有象無象に過ぎないわ。
私と同じ、この街でただただ生きる者――運命のスポットライトには照らされない。
少なくとも、彼女たちはね」
被害者の情報についてはさして興味がないようである。
詳しいことを教えるつもりもないようだ。
「現場の状況?
どうやら綺麗なままだったそうよ......聞いただけだけれど。
綺麗といえば、ドアの鍵も壊された様子はないそうね――不思議。
傷自体はすべて心臓を一突きらしいわ、手際がいいわね」
現場には争った形跡はないようだ。
被害者が皆占い師であるという共通点を除けば、バラバラのプロフィールだ。
全員に共通する知人でも装っていたのだろうか――それとも単純に不意を打ったか。それ以外か。
「目撃者なんてものがいるのなら消されてるんじゃないかしら?普通ならね」
連続で四件も事件を起こしている犯人だ。
さらに、手際もよく極めて計画的である可能性が高い。
腕も頭もあれば、万が一目撃者と遭遇した場合――速やかに処理するであろう。
「そういえば、最近うちに入ったグラスランナーの子がいるの。
私のことを慕ってくれる"かわいい"子よ」
かわいい――その言葉にはいろんな意味がこもって聞こえた。
「いつもお昼は奏での広場のベンチの上でひなたぼっこしてるそうよ。
かわいいでしょう?
それに、その子ったら物凄い弱点があってね」
意味のない世間話のように続けられる言葉。
デイジーはごくごく自然体である。
『力よりも、理屈よりも、まずは杯を』
――だから最後の言葉だけはあまりにも浮いて聞こえた。
冒険者であれば耳にしたことはあるだろうか。
酒幸神サカロスの格言である。
「それじゃ、私そろそろ時間なの。
あなたと話せて楽しかったわ。
私、この後別の酒場にいるから時間があったら会いに来て。
――もしかしたらもうその時には結末を迎えてるかしら?」
デイジーはひらりと席を立つ。
この時点ではお開きらしい。
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あんみつ@GMより
クーガに対するお返しをー!
ストレートではなく変化球で返してくるスタンス。
非常にベターであると感じました(*´∀`*)
なので、回答もストレートじゃなくて変化球気味で (・∋・)
サカロスの格言は知っていても構いません。
ダイスで決めたいなら目標値11の見識判定でどうぞ。
クーガは次の行動を決定してください。
主な選択肢は3つです。
・プリアーシェと合流する(冒険者の店へ行く)
・酒場に行く(デイジーを追いかける)
・奏での広場に行く
他に起こしたい行動がございましたら、そちらでも構いません。
また途中に買い物や寄り道などちょっとした行動ならついでにやっていただいていいですよ。