謎の探究者
> うちの冒険者の子たちも何度か会いに行ったことはあるらしいけれど。
> 結果はあまり芳しくなかったそうよ。
> 好きなことしか喋らないんだから当然ね。
> でも知識と発想力は――本物だそうよ」
ありがとうございます、とアンネさんにお礼を言い、グラディウスさんに声をかける。
「早速ですみませんが、ご一緒いただけますか?」
特にどんな用があるというわけでもないけれど、まあ、用心棒代わり、というところかしら。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
訪ねた部屋は、一目見て趣味人のものとわかる部屋だった。
部屋の主がぐるりと椅子を回して振り返る。
> 「それで、僕に用とはいったいなんだろうか、お嬢さん?」
「プリアーシェと申します、モーリスさん。
こちらは七色の調べ亭の冒険者のグラディウスさん」
ひとまず自分とグラディウスさんの名を告げ、さてどう本題に入ったものか、と言葉を切ったところで、彼が続けた。
> 「おそらく何か調べているのではないか?
> それで、どこかの噂で私のことを聞いて――訪ねてみたってところだろうか。
はい、と頷く。
> 君はたぶん、コンチェルティアの冒険者じゃないな?
この言葉にも。
> 「君が調べていることは例の事件についてだろう。
> 考えるまでもない、他にこの街に謎の出来事などないのだから。
もう一度。
> ――そうだな、私を訪ねる前に君は幾つか既に調べたことがあるのではないかな。
更にもう一度。
> 「――そこでだ。よかったら君の思うところを聞かせてもらえないか。
> 犯人は男だと思うかな、それとも女か?
> 単独か、それとも複数か。
> 動機はなんだと思う?なぜ四人も殺されたんだ?
> そして、この先どうなる可能性が高いだろうか。
> 事件は終わっているのか?まだ続くのか?
> 正当性などいらないさ、君の妄想でも構わない。
> 概して推理とは......芸術とはそういうものであろう?」
推理が芸術、という彼の言葉には少々賛同しかねる部分がある――私は芸術でなく技術だと思っているから――けれど、少なくとも今彼が私の推論に興味を持っていることは事実だ。
乗らない手はなかった。
では、と前置きして話し始める。
「犯人像について、確たる情報はありません。
遺体の状況で解っていることは、刺傷が致命傷であることくらいです。
遺体の状況がもう少し解れば、新しいなにかが見えるかもしれません。
防御創の有無で殺害されたときの状況は変わってきます。
私は、防御創は無いのではないかと考えているのですが――例えばそうですね、私が今ここであなたを刺そうとしたとして、急所を突くまでに声を上げさせないというのはおよそ不可能と言っていいでしょう。
人は危機を察したとき、本能的に急所を庇おうとするものですし、当然のように抵抗もします。
最も手っ取り早い抵抗の方法は、大声を上げることでしょう。
街中ですから、近所に人は多いはずです。襲撃に気付き、急所を庇えるような状況であれば、目撃者が一人二人出ていても不思議はありません。
しかし、現実問題として目撃者はおらず、生存者もおりません。
つまり、気付かれずにほぼ一撃か、あるいはそれに近い状態で致命傷を与えうる腕前の持ち主であるという可能性がひとつ。
今一つ、何らかの、即効性の高い無力化の手段を持っているという可能性もあります。例えば眠りの魔法やそれに類するもの」
「動機については、ある程度信憑性の高い情報があります。
ある邪教の教団――無限の探究者絡みであると。
彼らは、己に不利益を及ぼしうる存在を排除しようとしています。
現状、事件が止まっているのは、当面の不利益が排除されたか、あるいは次の標的を見つけられていないか、いずれかでしょう。
前者であれば事件は沙汰止みとなる筈ですが、教団の内情に通じた者によれば、まだ続く可能性が高いということです」
「ここからは推測ですが、被害者の共通項――つまり、占術を生業とし、それを予言と称する者――が、無限の探究者に不利益を及ぼす者、ということなのではないかと。
であれば、次の被害者、あるいはその候補は、同様に、未来を知る能力のある者、ということになるでしょう。
現状、この街で、予言者として名乗りを上げる者がいるとも思えませんが、そういった能力を持つ者がいないとも限りません。
もしいるのであれば、そのような能力を持つ者を無限の探究者に先んじて見つけ出し、その者の身辺を警護することが解決への糸口となる可能性は高いように思います」
言葉を切り、モーリスさんに視線を向ける。
私のカードは晒してみせた。
「あなたは、この事件をどのようにご覧になりますか?」
ならば、あなたは、どんな手を見せてくれるのですか?
■PLから
おしゃべりたーいむ!
- 犯人の性別はわかんないけど、結構な手練れor即効型の無力化手段あるんじゃないかな
- 動機と背景は無限の探究者絡み。たぶんまだ続く。
- 次のターゲットを先に見つけて網を張れれば勝つる?
というあたりで。
当り障りのないことしか言ってませんね!(''