【C3-1】手と手を合わせて
フィンとアポロが七色の調べ亭を去ったあと、二ェストルはカウンターについたアンネの元へ向かう。
>「...バタバタしているときに申し訳ないのだけれど
> 今夜 こちらに部屋の空きはあるかな?
> できればシングルを二部屋がいいのだけれど 難しいかな?」
「ええ、まだ空いているわよ。
事件があってからはちょっと、ね......。
一応聞いておくけれど、うちで平気なのかしら?」
大丈夫、という問いかけは間違いなく事件のことであろう。
人の噂とは客商売については最重要項目の一つである。
いい噂、悪い噂――それぞれの影響は計り知れないところがある。
わざわざ予め確認した理由はあとあと問題になることを防ぐためであろう。
「もし問題がないようならば......お部屋お取りさせていただきますね」
アンネは二ェストルに向けて営業スマイルで微笑んだ。
* * *
一通り二ェストルの手続きを終えたあと歩み寄るひとつの姿。
プリアーシェ――彼女である。
その手に握るのは、カイルの記した委任状だ。
>「この店の御主人はあなたでしょうか。
> 仕事のお話があります。ヴォルディーク家からの――カイル・ヴォルディークからの要請です」
「ええ、私で間違いないわ。
彼から来るなんて――珍しいこともあるものね」
プリアーシェから委任状を受け取って差出人だけ確認して彼女の傍に置く。
独りで封の中身をわざわざ見るような無礼な真似はしなくとも、
今目の前にいるプリアーシェとの対応で十分だということだろう。
>「用件についてはおわかりでしょう。
> コンチェルティアを騒がす事件の解決について、です。
少しして、プリアーシェは本題を切り出す。
勿論内容はこの店に大いに関わる連続殺人事件についてである。
自らの素性を明らかにした上で、プリアーシェが要請するのは七色の調べ亭の協力である。
情報を入手するためには一番有効な方法――それは手数を増やすことである。
「そうね、それなら――」
アンネが話し始める前に。
「その話、俺にもやらせてくれよ。
いいだろ、アンネ姉さん」
気がつけば後ろに立っていたグラディウスが名乗りを上げた。
「俺はグラディウスだ。
実はルキスラの冒険者にも知り合いがいてな――あんたは知らん奴かもしれんが。
まあ俺は頭とか働かないけどな、体力だけはあるぜ」
実際プリアーシェが見てもあまり頭が働くようなタイプではない。
それに武器を敵に当てる力はまだしも、細やかな作業も苦手そうではある。
だが見ただけで明らかに鍛え抜かれた肉体と頑丈さはうまく使えば使い道はあるだろう。
グラディウスの会話をカウンター越しに聞いていたアンネであったが。
「わかったわ、グラディウス。
この件はあなたに任せるわね。
それで構わないかしら――プリアーシェさん?」
一応プリアーシェにも決定権はあるようだ。
勿論拒否したところで次の代打がすぐに来るかはわからないところであるが。
* * *
一区切りついたあと、プリアーシェは幾つかの質問を投げかける。
まずはエンブレムについてである。
「そうね、この店のエンブレムはヴァイオリンと虹のモチーフを組み合わせたものよ。
一応通し番号での管理はしてあるわ。
ただ失くした子には同じ番号を渡しているから複数ある可能性があるものもなくはないし。
何よりも、落ちていたエンブレムは番号の部分が削られていたらしいわ。
......だからこそ、何とも言えない状況に置かれているのだけれど。
本当にそこにナンバーがあったのかもわからないし、何しろここは芸術の街だから。
二つ目の質問については、残念だけどいないわね」
現場に落ちていたエンブレムはナンバーの部分が削り取られていたらしい。
だから本当にこの店の冒険者が落としたのか、他の者が落としたのか。
――そもそもこの店で配ったものなのかもわからないらしい。
そして、最後にプリアーシェが付け加えたことについては。
「それって、ついさっきカウンターに来てたシャドウの彼のことかしら?
ただの旅芸人ではないとは思ったけど――そういうことなのね。
ただ、私から彼に仕事を頼むことはないわね。私はグラディウスに託しているから。
もっとも調査に協力してくれて成果を出してくれたならお礼はさせてもらうわ」
少なくともアンネ自身から依頼するつもりはないらしい。
プリアーシェが二ェストルに話を振り、協力し結果を出した場合は礼をするらしいが。
* * *
フィンとアポロは仲良く3番街の駄菓子屋の前までたどり着いた。
ほのかに甘い匂いが漂ってきて少しお腹がすいた気分になる。
「ここの焼き菓子が美味しいんだー。
ネス兄ちゃんにも買って行ってやんないとな」
散売りのクッキー、ビスケット、キャンディ。
さまざまなタイプのお菓子類が売られている。
アポロはどれを買おうか悩みながらうろちょろしているようだ。
店内で手をつないで歩くのはちょっと難しいかもしれない。
「フィンは何食う?
これとかおすすめだぜ!」
アポロがおすすめするのは、ミルクの匂い仄かな焼き菓子である。
今のところフィンが心配するようなことは何も起きていない。
アポロと楽しくお菓子を買って食べることができるだろう。
穏やかでのんびりした時が流れていく。
お菓子を食べたらアポロは満足するだろうか。
そろそろ帰路についてくれるかもしれない。
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あんみつ@GMより
こちらは二ェストルとフィン用の新しいカテゴリです。
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またプリアーシェも引き続きこちらにどうぞ。
二ェストルは泊まるのであれば予約を取ってください。
プリアーシェはグラディウスを調査仲間に引き入れるかご決定ください。
引き入れる場合は何をやってもらいたいか記述していただければ、
その通りにグラディウスを動かします。
また二ェストルを調査仲間に引き入れるかもご決定ください。
こちらについてはどちらから切り出していただいても構いません。
フィンはお菓子を買うのであれば、5~15ガメルほどで任意のダイスをお支払いください。
食べないのならガメルを使用されなくても構いません。
またフィンは2D6の予備ダイスを2回お振りください。
二ェストル、プリアーシェ、フィンの3人はそれぞれ次の行動をご決定ください。
様々な行動が取れると思いますので、お任せいたします!
基本的には何していただいても問題ございません!
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