お菓子屋さんでのひととき
すこし緊張しながら、でもそれがけっしてアポロに伝わらないように気をつけつつ、僕は手をつないで3番街の街並みを歩きはじめた。
>「ちょっと歩くけど同じ3番街だし、遠くはない。
安くて美味しいお菓子がいっぱいあるんだぜ、超いいだろ?」
お菓子屋さんは【七色の調べ亭】から近いんだ。それならよかった。
「殺人事件」のことに触れてみると、アポロは思いきり眉をしかめた。
>「ホント迷惑な話だよなー。
おかげで昨日まで勝手に出歩いちゃダメってうるさいんだぜ。
こっそり出ようとしたらアイリに見つかって、すぐチクられてめっちゃ怒られたし。
今日からやっと外で遊んでオッケーって言われたばっかなんだ」
やっぱりお家のひとも心配してたんだ。それにしても、こっそり出かけようなんて、この子は......。
アポロの家はどこかと聞くと、
>「おれは5番街に住んでるぜ。
うちの近くにはちっちゃいスペースがあってさ。
そこでいっつもボール蹴ってんだ」
と目をかがやかせた。でもアイリのことを聞くと、
>「アイリは確かにおれより一個上だけど......。
だからって俺より偉いなんて認めてないからな!」
って、むきになる。
「あはは、うん。そうだよね」
アポロは、ほんとに見たままのふつうの家のふつうの男の子みたいだ。アイリもきっと、ふつうの女の子。
でもこれくらいの時期の1歳違いって、ずいぶんと差があるんだよね...。女の子のほうがおませだしなぁ。
最後に「秘密基地」のことを聞いてみると、アポロはこう言った。
>「うん、まあ確かにそうだな。
あとでアイリに会いに行って許可を貰えたら教えてやるよ!」
「うん、楽しみにしてる」
案外、ほんとにほほえましい、「アポロとアイリだけの秘密基地」なのかもしれないな。まわりの大人たちもちゃんとそのことを知ってるような...。そのことをたしかめたら、すこしは安心できるよね。
僕はにっこりして、アポロの右手をぎゅっとにぎった。
しばらく歩いて、アポロは一軒のお店のまえで立ちどまった。
>「ここの焼き菓子が美味しいんだー。
ネス兄ちゃんにも買って行ってやんないとな」
つないだ手をぐいぐいとひっぱる。
僕は手をひかれるまま、お店の戸口から中へはいった。
「こんにちは......」
ルキスラでも見かける高級菓子店ではなくて、カラフルなお土産屋さんともちがって、なんていうか、ここは「駄菓子屋さん」っていう種類のお菓子屋さんだと思う。
「お菓子屋さん」の存在だけでも田舎から出てきた僕には衝撃だったけど、さらにいろんな種類があるんだっていうことを知ったのはつい最近だ。
素朴なお菓子がたくさんならんでいて、どこか居ごこちがよかった。
>「フィンは何食う?
これとかおすすめだぜ!」
ひょいと鼻先に差しだされたのは、ミルクの甘い香りがする焼き菓子だった。おいしそう。
「僕、これにする」
あんまりお店は広くない。つないだ手をはなして、アポロはお菓子選びに夢中だ。僕はアポロが選んでくれた焼き菓子をひとつかごに入れて、ネスさんへのお土産をさがした。
アポロも選ぶだろうけど、一応、僕からも。マシュマロはちがう気がする。ビスケットとか、クッキーとか...かなぁ...。
いろいろ見てまわると、量り売りのコーナーにビターな色合いのチョコレートがあった。なにも中にはいっていない、シンプルなチョコレートだ。備えつけのおおきな匙で、ひとすくい3ガメル。これにしよう。
あと、大好きなショートブレッドもあったから、ついかごに入れてしまった。これは自分用のおみやげ。明日にでも食べようかな。
ふたりでお菓子を選んで、お会計をすませ、店内の窓際のベンチに並んで座った。ここで、買ったお菓子を食べてもいいみたいだ。
僕は焼き菓子の包み紙をひらいて、ひと口かじってみた。さくっという音がして、はちみつとミルクの甘みがひろがった。
「アポロ、これ、おいしい!」
さすが、おすすめなだけはある。僕はしあわせな気分でふた口目をかじった。
「......アポロさ、今日から外で遊んでいいってお家のひとに言われたんでしょ?どうしてだか言われた?犯人がつかまったとか、聞いた?」
お菓子を食べながらアポロのようすを見ていたら、ふと気になることが思いうかんだ。
どうして「今日から」アポロは外で遊べているんだろう。
もし犯人が確保されているのなら、心配はない。でも、さっきの【七色の調べ亭】でのようすを見るに、どうもそうじゃない気がする。
アポロの保護者のひとは、どうしてこの子を外に出せると判断したんだろう。街のひと達は、なにかを知っているんだろうか。
心配ないって、思える理由が、なにか。
とはいえ、気がかりなのはそれくらいで、僕もアポロものんびりとお菓子を食べた。僕のほうが先に食べおわって、ゆっくりとアポロを待つ。
「アポロ、今日はありがと。これ以上おそくなると、お家のひと達が心配するね。いったん【七色の調べ亭】にもどってネスさんにお土産をわたしたら、ふたりでアポロを5番街まで送っていくよ」
ちょっと待ってね、と僕はアポロにことわり、ふかく息をはいて遠くはなれたポチと意識を同調させた。
ざわざわとしたたくさんのひと達の声が聴こえる......。
ポチの目を通して、にぎやかな場所で楽器を手にしているネスさんの姿が見えた。どこにいるのか、何をしているのか、よく観察してみたかったけど、アポロが心配だ。
ぱさっと羽ばたき、ネスさんがこちらに気づいたのを確認して、広げられた表のうえを移動しながら、文字をくちばしで指していった。
『こ・れ・か・ら・も・ど・り・ま・す』
伝わったかな?ネスさんの表情を確認して、五感を自分のもとへもどした。
「さ、いこっか」
もういちどアポロの手をにぎり、僕はそう笑いかけた。
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PL(雪虫)より
アポロといっしょにのんびりお菓子を食べます。
店内でポチと視界共有。ネスさんにそろそろ戻ることを文字表で伝えます。
このあとは
・【七色の調べ亭】へ戻る
・ネスさんといっしょに5番街のアポロの家へ。アイリに会う。
・「秘密基地」へ案内してもらい、危険がなければそれでよし
【各PCの位置】
現在、【黒銀の鍵盤亭】(か広場)にネスさん(すぐにフィンと合流予定)、
広場にはクーガさんも向かい、プリアーシェさんも5番街に移動予定ですよね?
フィンはネスさんとともにアポロを連れて5番街へ移動する予定です。
【お買いもの】
焼き菓子2ガメル+チョコレート3ガメル分+ショートブレッド3ガメル
計 8ガメル分のお菓子を買いました
所持金合計 38ガメル→30ガメル
【ダイス結果】
21:55:59 雪虫@フィン ≫ 予備ダイス1 2d6 <Dice:2D6[5,5]=10>
21:56:12 雪虫@フィン ≫ 予備ダイス2 2d6 <Dice:2D6[5,1]=6>