交渉成立
> 「あ、ええと、フィン・ティモシーといいます。えと、お察しのとおり、僕も【火竜の手羽先亭】所属の冒険者です。コンチェルティアには観光で来たんですけど......」
私が声をかけた冒険者の二人組、そのタビットの方が丁寧に挨拶を返してくれた。
観光にはいい場所だと思う。賑やかで華やか、というのが街の印象だった。
フィンさんのお仲間はネス――ニェストルという名であるらしい。
ここで会って、この店には宿を求めて来た、という彼の話を、相槌を打ちながら聞く。
> 「この子は、コンチェルティアに住んでいる地元の子です。街の案内をしてくれています」
名はアポロ。見ず知らずの冒険者を案内するというのだから、物怖じしない、あるいは人懐こい子なのだろう。
表情から、なんとなく、前者かな、と当りをつける。
話が一区切りついたところで、私は仕事の話のために――ここへ来た目的のために、店のカウンターへ向かった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
> 「その話、俺にもやらせてくれよ。
> いいだろ、アンネ姉さん」
アンネさんにお話をしているその最中、後ろから声がした。
振り向くと、さきほどの2人のうちのひとり――グラディウスさんが立っている。
> 「俺はグラディウスだ。
> 実はルキスラの冒険者にも知り合いがいてな――あんたは知らん奴かもしれんが。
> まあ俺は頭とか働かないけどな、体力だけはあるぜ」
「プリアーシェです、グラディウスさん。
頼りにさせていただきますね」
頭がどうかは仕事をしてみなければ解らないけれど、確かに、体力や戦う技術は人一倍だろう。
> 「わかったわ、グラディウス。
> この件はあなたに任せるわね。
> それで構わないかしら――プリアーシェさん?」
ひとり腕利きを貸してくれる、という話であれば断る道理はない。
「お力添えに感謝します、アンネさん」
私はそう言って頭を下げた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
エンブレムの件は、現物から追うということはどうやら不可能なようだ。
まあそう簡単な話ではないか、と頭を切り替える。
そもそもその程度の話なら、街で最も大きいという店の冒険者が頭を悩ますような事件でもない。
しかし逆に、番号の刻印が削られているというのであれば、やはり犯人はこの店の冒険者ではない、と考えてよさそうだ。
番号を削り落とすほど周到な人物が誤って現場にエンブレムを残すということは考えにくい。
つまり、故意に落とされたもの、ということだ。
この店の冒険者であれば故意にエンブレムを残す理由はない。外部の人間。
捜査の誤導を狙ったか、あるいは店の評判を落としたかったか、その両方か。
いま考えても結論は出ない。
いったん棚上げして別のことを考える。
花の夜想曲にはクーガさんが出向いている。
冒険者の店からは助力を得ることができた。
グラディウスさんと、それからルキスラの冒険者ふたりについても、何かあれば謝礼は出す、という提案だ。
悪くない結果と言っていいだろう。
当面の目的は達成できている。
フィンさんとネスさんはどこかへ出て行ったようだ。
今夜の宿を求めたということだから、いずれ戻ってくるだろう。
あとは――そうか。
「アンネさん、ひとつお聞きしたいことがあります。
あともうひとつ、お願いが」
「カイルさんから、5番街にこういった事件の調査を独自に行う方がいる、と聞きました。
もしご存知であれば、お名前と、どちらにお住まいかを教えていただけませんか。
もう1点、さきのおふたりが――あのタビットとシャドウの二人組が戻られたら、私はヴォルディーク邸に泊まっているので、何かあれば連絡してほしいとお伝えいただけますか。
例の事件について、解決のために動いてくれるのであれば店なりヴォルディーク家なりから謝礼が期待できる、ということも含めて」
こちらは、と金貨を2枚ばかりカウンターに置く。
「片付けが済んだら店にいる方になにか振る舞ってあげてください」
■PLから
すみません遅刻しました!
寝かされた(、、
◆やりたいことなど
- アンネからの助力として、グラディウスを受領いたします。腕利きヤッター!
- アンネに、5番街の変人について情報を求めます。
- フィン&ネス宛てに伝言を頼んでおきます。
- 協力と情報その他のお礼として100ガメルばかり、店にいる皆様に奢っておきます。
- 今後は、アンネから5番街の変人の情報が得られればそちらへ、得られなければヴォルディーク邸に一旦戻ってここまでの状況を報告する予定です。