【D1-1】割れる世界
>「...歌っていいなら...そうしてみようかな」
>「―~~♪、~~♪♪、♪♪―」
タタラはそう言って歌を歌う。
それはタタラの心に残った賑やかな記憶をもとに。
小さな声ではあるが、とても明るく。
「あなたが自分でどう思っているかはわからないけれど......。
私はあなたのこと素敵だと思うわよ。
――何より楽しそう」
リナリアの微笑みはまるで母親のような慈愛に満ちていた。
外見は別にして恐ろしい程の時間を生き続けているのだから。
そう感じても不思議ではないのかもしれない。
* * *
タタラを残して、冒険者たちは進む。
リナリアから受け取った花の効力で阻む風の威力も落ちる。
それは冒険者たちにとっては心地よい風に過ぎないであろう。
先頭を歩くニコデムスも気持ちよく風を浴びれるはずだ。
「あれは......」
風を通り抜けた後、翡翠の木々で彩られていた森の中から視界が一気に開けていく。
――そこは不思議な場所であった。
先程まで風の音でかき消されていたが、重厚なオーケストラの演奏が聞こえる。
幾つもの楽器が自動で動いているようだ。
他にも彫刻や絵画が宙に浮かんでいる。
見渡す限り素晴らしい芸術品の楽園である。
そしてその奥。
純白の大理石を主体にエメラルドや翡翠で飾られた祭壇の上に......。
一人の女性のような姿があった。
背中には薄緑色の巨大な羽根。
羽根の先は竜巻のようにカールしている。
若葉のような鮮やかさを持つ長い髪をくるくると指で回しながら。
彼女は大きな口で欠伸をする。
明らかに退屈そうである。
『あれ、あんたたちリナリアの客じゃなかったの?
こんなところまで来るなんて思ってなかったな』
彼女が話したのは妖精の言葉である。
オレットはどうやら内容をりかいできているようだ。
『この世界はね、基本的に呼ばれなきゃ来れないの。
あたしはあんたたちを呼んだ記憶なんてないし。
だって......正直全然興味惹かれないしなぁ』
ふわぁ......と大きくまた欠伸。
どうやら彼女はオレットたちにあまり関心がないようである。
『あなたがテン――』
オレットが彼女の傍に行って、その正体を訪ねようとしたとき。
――パリンと世界が割れる音がする。
上を見ればまるで宝石にヒビが入るようにそらに割れ目が出来ていた。
「え?
いったい――何が起きてるんだい?」
オレットは数歩足を後退させる。
無意識に冒険者たちのいる場所に近づいているようだ。
『言ったでしょ?
ここには基本的に呼ばれなきゃ来れないって。
もし無理やり来ようとするといろいろと問題があるの。
......はあ、めんどくさいな』
つまりこの空の異変が示すのは――冒険者とオレット以外の何者かがここに入ってきたという事実。
目の前の妖精がかのテンペストであれば侵入者を追い返すことなど容易であろう。
もっとも本人はあまり気乗りしないようであるが。
* * *
世界の異変はタタラとリナリアのいる池の傍でもすぐわかるだろう。
「あら、誰か来たみたいね。
珍しい......無理やり入ってくるなんて。
もしかしてあなたたちの入った後、扉は閉じきっていなかったのかしらね」
リナリアの台詞からタタラは望まぬ侵入者が訪れたことを悟るだろう。
「まあ、テンペストに任せておけば一瞬ね。
私たちは歌の続きでもしましょうか。
――それとも、あなたには他にやりたいことでもあるのかしら?」
タタラにできること。
タタラだからできること。
――なんであろうか。
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あんみつ@GMより
こちらはヴェンデルベルトとティキの探求者《Seekers》のおふたりと、
タタラとプラリネ用の新しいカテゴリです。
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【テンペスト】を『演者の一覧』に登録しておきます。
テンペストが使用しているのは妖精語です。
ただ、交易共通語なども喋れるので話しかけることは可能です。
テンペストについて冒険者レベル+知力Bで判定を行えます。
目標値は15です。成功すればテンペストが強大な力を持っていることがわかります。
古代種妖精に分類されるためフェアリーテイマー技能の効果はありません。
ヴェンデルベルト、ティキ、プラリネは次の行動を選択してください。
主な選択肢は2つです。
・侵入者の方に向かう
・テンペストに全部任せる
オレットは何も言わなければ、テンペストのもとに留まります。
また、テンペストのもとから離れる際は生命抵抗は必要ありません。
タタラは次の行動を選択してください。
主な選択肢は2つです。
・侵入者の方に向かう
・リナリアと歌を続ける
他に起こしたい行動があれば
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