【D2-10】身も心も折りながら
>「さて、暗殺者さん」
エミールに案内された地下室でプリアーシェは男を椅子に縛り付ける。
椅子の周りを何気なく歩いていたような彼女だったが。
>「先ほどお話したとおり、これからあなたにお話を伺います。
> ――と、その前に、」
さりげない仕草の中、銃で顔面を殴り飛ばす。
そして銃口を男の口にねじ込んでさらに歯を折っていく。
男は涙と血でドロドロであった。
その体は痛みと恐怖に震えている。
プリアーシェが男に対して残酷な言葉を投げかけた後。
>「――あなたが寝たときに起こすための水を汲んでおかないといけませんね」
忘れ物――水の存在に気づきこの場をエミールに託し庭に上がっていく。
その際プリアーシェがクーガにバケツは手渡されたのだったが。
>「エミール、水汲んできてくれ。俺はこいつとお話しすっから。」
そのままエミールに手渡して自らはこの場所にとどまることを選んだ。
「わかったよ」
そう言ってエミールは受け取ったバケツを持って地下室を後にした。
残されたのはクーガと赤髪の男。
* * *
>「さて、俺は優しいから最初に言葉の暴力でアプローチしてやるよ。
>まぁ長い時間になるとは思うがお付き合い頼むぜ"捨て駒"くん。」
クーガはまずは目の前の男を捨て駒と称した。
痛みに震えていた男であったが。
その言葉に対しては若干思うところがあったらしい。
口には出さないが――目が語っている。
>「ふぅん、"捨て駒"じゃねぇと思ってるみてぇだな。そうかぁ?じゃ、面白い劇を見せてやろう。」
そんな男に対してクーガは的確に彼の尊厳を踏みにじっていく。
男は教団と教主に対し全幅の信頼と信仰を寄せていたのに対し。
向こう側は単なる駒の一つとしてしか捉えていなかったのではないかという疑惑。
歯の折れて痛む口を精一杯動かし。
男がその語る言葉、声の響きの素晴らしさを語っても。
>「それってまったく知らんてことじゃねぇか・・・なら、予言者ってのがそっちにいるのは知ってんだろ?」
クーガはその男が姿を見たことがない点を見抜き、受け入れがたい真実を指摘する。
それは予言者――セシリアについても同様だった。
彼が語るのはコンダクターに聞かされた事実のみ。
それをただ信じているだけで――男自身は何一つ見ていない。
クーガは確信する。
この男は何一つ知らない。
ただ信じていただけなのだ。
そして信じていただけだからこそ、裏切られ捨てられたのだ。
* * *
目の前の男に対してだいぶ興味がなくなったクーガであったが。
>「コンダクター様の情報とか構成員の集まる場所とかしらねぇか?せめてそこらへんの捨て駒よりは多少格上げしてくれよ。」
机の上に足を乗せながら横柄に聞く。
教主の素晴らしさや予言者の噂についてなら話した彼だったが。
致命的になりうる情報については語らなかった。
――まだ男は信じているのだ。
されどその内側では疑惑の年が渦巻いている。
そしてクーガ、さらにプリアーシェらに対する怖れも。
心の弱そうな男である。
陥落するのは時間の問題であろう。
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あんみつ@GMより
こちらもエンディング前にちょこっとだけ。