【D2-2】知の交換
>「アポロ、あのね。アポロにもちょっとお仕事手つだってほしいんだ。僕たちといっしょに、やってみない?冒険者のお仕事」
>「そしたら僕たち...友達なだけじゃなくて、冒険をいっしょにした、『仲間』だよ」
ヴォルディーク邸に行くのを若干渋るアポロに対してフィンはお兄ちゃんらしく声をかける。
冒険者のお仕事――それはアポロの子供心を十分以上に揺さぶったようだ。
「え、ほんとに?
おれ、冒険者の仕事できるの、ほんとに?」
ぱぁっとアポロの表情は明るくなる。
それはまるで太陽のように。
>「がんばろうね」
「がんばるぜ!」
その頷きは今までのどれよりも素直であった。
実に子供らしいことである。
* * *
プリアーシェとクーガにカイルが進捗状況と新たな顔について尋ねると。
>「順調です。
> こちらは新たな協力者と関係者で――」
プリアーシェが一人一人順番に紹介する。
また、アポロの扱いについては。
> ああ、大勢の大人に囲まれていても気詰まりでしょうから、彼に別室でなにかお菓子でも。
> エミールさんにお相手をしていただいてもいいかもしれませんね」
別室でエミールに見張らせてはどうかと提案する。
「俺は別に構わないが......いや、まあいい。
エミール、頼めるか?」
「勿論ですよ。
......ほら、こっちにおいで。
お菓子を出してあげよう」
カイルは理由は深く尋ねずエミールにアポロのお守りを任せる。
すぐさまエミールはそれに応じ、アポロを連れて行こうとするが。
「え、フィンは?
フィンは来ないの?あとネス兄ちゃんとか......」
一人、いや正確には独りではないが。
フィンたちと離れるのは若干不安なのだろう。
>「アポロ、あとでね。あっちのお部屋で待ってて?すぐに行くから」
ただ、フィンがアポロに向けてそんな言葉を投げかけると。
「や、約束だぞ!すぐに来いよな!
すぐに来なかったらフィンの分も全部食べちゃうからな!」
不満そうな顔をしながらもおとなしく従う。
おそらくこうした方が冒険者の仕事的にいいのだと思っているのだろう。
* * *
>「...あぁ、そうだ
> 君に確かめてもらわなくちゃいけない事があったんだ」
二ェストルはまるで何かを思い出したかのようにエースに声をかける。
「......んあ?
まさか――酒の味?それならやる!やるぜ!」
ぼけっとした顔で振り返るエースには、若干不安を感じなくもない。
>「何処の某よりも はっきりした情報の方が
> "君の女神さま"は喜んでくれるんじゃないかな?」
「なんだよー、酒じゃねえのかよー。
......まあ暇だから聞いてやるぜ。
オレ様にマジ感謝しな!」
――それから、エースが内容を少し確かめてみると。
「あれ、オレこの声聞いたことあるな。
ちょっと前にどこだっけ――どこだったかな。
どっかで誰かと話してるのを聞いたようなそうでないような......」
エースが気になったのは二ェストルが通りですれ違った黒髪の女のものである。
彼女についてはフィンから楽譜をたくさん持っていたという情報もある。
エースは残念ながらはっきりは思い出せないようだが。
なんとなく怪しいところがあるかもしれない。
* * *
アポロが別室へと移った後。
冒険者たちの間で情報の交換が行われる。
主たる情報はアポロについて。
彼が預言者であること、そしてだからこそ彼を守る必要があること。
そして、ここに来て出てきたアンデッドの目撃情報について。
>「アポロは当面、この家に置いて守ります。よろしいですね。
プリアーシェの方針についてカイルは。
「俺は構わない。
この家の中にいる限り、俺が必ず守ってやる。
――同じ失敗は二度と繰り返したりはしない」
アポロを守ってやることに賛同してくれた。
おそらく過去の体験もあるのだろうか、その言葉には強い意志がこもっている。
* * *
アポロを守るため。
犯人を捕まえるため。
今なにができるのか。
それは、人それぞれである。
>「そのようなわけですので、よろしければ冒険者の店に渡す報酬の前金を。
> それから、神殿への紹介状を書いていただけますか」
アンデッドの出現の噂を聞いたプリアーシェはまずは神殿に赴くようだ。
「ザイアの神殿ならば、俺も割と顔が利くからな。
わかった、すぐに用意しよう」
冒険者の店への前金もすぐに用意できるという。
やはり貴族であるということなのだろう。
>「そんじゃ、衛兵への協力要請もかねてアンデットの調査は俺が行く。たぶん治安維持で衛兵が出張ってんだろ、
>カイル、親書を一筆くれ。それと、アンデットの調査だが俺には向いてねぇから頭いいやつが一人ほしい。」
「衛兵についてはザイアの神殿に連絡を入れれば問題はほとんどないはずだが......。
事が事だ......念を入れるに越したことはないだろうな」
また、クーガとフィンはミハイルが向かったというアンデッドの調査へ赴くことに決めたようだ。
クーガにもプリアーシェと同様、カイルからの親書を受け取れるだろう。
一方の二ェストルはまず自らの楽器の弦を直すことに尽力するようだ。
優れた詩人である彼にとっては大切な相棒であり、大切な武器である。
* * *
>「よろしければ、少々まじないのようなものを――占瞳といいますが、差し上げておきましょうか?」
皆が外出する前に、プリアーシェはカードとオーブを取り出す。
占瞳――占い師の技術である。
それはフィンと二ェストルに対してひらめきの幸運を授けると共に。
水晶玉の中に得られるべきであったビジョンを映し出す。
見えるのは、黒髪の女がコンチェルティアの門から立ち去る姿。
フィンや二ェストルに尋ねれば、おそらく彼らが出会った女性で間違いないだろう。
ただ、彼女の手元に大きな黒い荷物は存在していない。
彼女は立ち去っている姿が見えた以上――もうこの街にはいない可能性が高いだろう。
* * *
出発前、フィンは約束通りアポロのいる部屋を訪れる。
>「僕、ちょっとのあいだ出かけてくるから、ここでみんなといっしょにいてね。ネスさんがアポロのそばにいるから」
アポロは頬をクリームで汚しながらも実にご満悦の表情だ。
だが、フィンが一人でどこかに出かけてくるといえば。
「えー、おれも行きたい!
おれも行きたい!」
またまた不満そうな表情だ。
けれど、そんなアポロにフィンはポチを託す。
>「この子はポチっていって、僕の使い魔。魔法使いにとってはとても大事な分身だよ。この子をアポロにあずけるから、いっしょにいてあげてくれる?アポロになら安心してあずけられるんだ」
>「もしも僕が帰ってくる前にポチが自分で動いたら、すぐにまわりのだれかに知らせてね。それが最初に、アポロにおねがいしたい冒険者のお仕事」
アポロにやって欲しいことを頼めば。
それも冒険者の仕事として、ということを強調して頼むと。
「しょうがないな、わかったよ。
おれこいつの面倒見といてやるから......早く帰ってこいよな」
なんとか機嫌を直してくれたらしい。
そしてポチのことをちょっとビビリながら撫でようとしている。
「この子のことは僕に任せて」
部屋を出ていくフィンに向けてエミールが言葉を投げかけた。
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あんみつ@GMより
ちょっと長くなりすぎたのでイベント発生シーンを【D2-5】に変更し、
一旦記事をここまでで分割しております。
カイルやエースやアポロやエミールからいろいろ返答。
あとは占瞳なども。
何か忘れてる気がしますので、何かあれば教えてください!(・∋・)