【D2-3】安心は足で稼げ
プリアーシェはザイアの神殿へと向かった。
それはコンチェルティア1番街の一角にある。
ザイアの神殿はあまり大きくなく、その横に併設された衛兵の詰所の方が若干大きいくらいだ。
神殿の中を覗いてみれば、衛兵らしき装いの人物が何人もいるのがわかる。
「ようこそザイアの神殿に。
どのような御用ですか、お嬢さん?」
プリアーシェに話しかけてきたのは透き通るような水晶の体を持つ人物。
鉱石の体を持つフロウライトだ。
「それとも......このお嬢さんに何か用があるのではなく......。
もしかすると本当に彼女に用があるのは私ではないのだろうか」
プリアーシェに話しかけた彼であったが、いつの間にか彼自身は彼の世界に入り込んでしまったようだ。
ただその身を包む鎧や携帯される武器などから、彼の実力自体は相当高いものであると受け止められるだろう。
ちなみに彼の身につけたマントの模様はザイアの印だ。
* * *
クーガとフィンは3番街の外れを訪れる。
そこはアンデッドの出没情報があり、また現在ミハイルが調査に出てきているはずの場所だ。
ミハイルは探せばすぐに見つけられるだろう。
衛兵らしき姿の男性と何やら話し合っているらしい。
「あれ、クーガさん。
もしかしてカイルさんに話を聞いて?」
ミハイルがふとクーガたちの方に視線を送れば、あちらもすぐに認識したようであった。
「アンデッドは今ここにはいませんよ。
ただ少し興味深いものを見つけました。
......これなのですが。
見たところ不死者を召喚する曲ですね」
ミハイルがクーガたちの方に向けて差し出したのは一枚の羊皮紙。
そこに記されていたのは五線譜と音符記号。
つまるところ――これは楽譜である。
だが、ただの楽譜ではない。
この楽譜に記されているものは――不死者を召喚する忌まわしき歌だ。
だとすれば、噂のアンデッドもまた本当にこの場所にいたのかもしれない。
「つまり、不死者が本当にこの街の中に現れた可能性が高いということですか。
参ったな......こんなことならもう少しうちの子に家から出ないように言っておくべきだったか」
衛兵は軽く頭を抱えながら心配そうな顔をする。
親というものはそういうものなのであろう
「いや、うちの息子アポロって言うんですが。
そういう年頃なのかこれがなかなかわんぱくな子でして......手がかかるんですよ」
銀色の髪をした衛兵が、恥ずかしそうに笑う。
* * *
「もうやだ、飽きたー!」
二ェストルの耳に聞こえるのはアポロの嘆き声。
壁越しに聞こえる辺り結構限界なのかもしれない。
アポロには冒険者の仕事を任せるのは早かったということであろうか。
現状にアポロが飽きてしまった以上、またなんか突飛な行動を起こすかもしれない。
エミールがアポロを見張っている以上安心であるだろうが。
もしも......ということがあるかもしれない。
一方カイルは一旦応接室をあとにしている。
どうやらちょっと上の部屋に上がっているようだ。
――またすぐに戻ってくることになるであろうが。
今残っているのは二ェストルだけだ。
二ェストルのシタールの弦は無事張り直された。
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あんみつ@GMより
準備フェイズ一段階目です。
それぞれをそれぞれの場所へと移しました。
ちなみにグラディウスの手が空いているので、プリアーシェが望めばついていきます。
プリアーシェは冒険者レベル+知力Bで判定を行えます。
目標値は13。成功すればフロウライトが優秀な神官戦士とわかります。
フィンとクーガは楽譜について見識判定が可能です。
目標値は15。成功すれば『出立の曲目』に記されたことがわかります。
移動の必要がない行動であれば、どのような行動でも可能です。
クーガとプリアーシェはそれぞれ親書を受け取っておりますね。
他の場所で行いたい準備があれば移動を選択してください。
眠いまま書いたので何かあったら教えてください_(:3 」∠)_