【D2-6】不死者の襲撃
フィンはカイルの私室へと赴く。
ドアをコンコンとノックすれば、
「はい?」
ミハイルがゆっくりとドア開けてくれるだろう。
「えっと、フィンさんですね?
カイルさんに御用ですか?
――それならどうぞ中へ」
タビットの短い手でフィンに手招きをする。
部屋の奥にはカイルが立っている。
先程までの貴族らしい服から鎧へと着替え直したようだ。
ミハイルの報告を聞いて、念の為に戦いの準備をしたのだろう。
「詳しいことはミハイルから聞いた。
不死者が街で召喚されるかもしれないんだろう?
――厄介だな」
カイルは窓を見ながら口を動かしているが、その言葉の向かう先はおそらくフィンであろうか。
「ただ、今大事なのはそっちじゃない。
あの子供を守ること――そうだろう?
街は他の者たちに任せて、俺たちは今この場所でやれることをするだけだ。
安心しろ、あいつは俺が守ってやる――ザイアに誓って。
だからお前の力も貸してもらうぞ」
今度の言葉はカイルはしっかりミハイルを見て話す。
彼からの気持ちの違いであろうか。
ミハイルが答えるかどうか――その瞬間であった。
街の片隅から微かに聞こえる音楽。
それは陰鬱でまるで不死者の唸り声のような。
同時にヴォルディーク邸の庭から激しい地鳴りの音。
「――来たらしいな。
俺はあの子供の傍に控えてる。
何があっても守っておいてやる。
だからお前たちは庭の様子を見てきてくれないか?
......ミハイル、お前もな」
カイルは思ったより落ち着いていた。
流石に貴族の息子でザイアの信徒というところであろうか。
彼はアポロのそばに控えているらしい。
正直――この組み合わせはあまり上手くいかなそうなビジョンはあるが。
* * *
異変はアポロと二ェストルのいる部屋の中からもわかるだろう。
「うげー、なんか嫌な音しない?
ネス兄ちゃん、これ何?」
そして大きな地響き音がすれば......。
「ネス兄ちゃん、庭に何かいるよ!
なんだろう......変な馬車みたいなのに乗ってる。
ど、どうしよう!」
アポロはいきなり窓のすぐ傍まで走っていき、そこから庭の様子を見ているようだ。
二ェストルも窓から見れば戦車に乗った騎士のような魔物が庭に現れたのが見えるだろう。
その他にも骨でできた魔物が幾体か姿を現しているようだ。
このように窓から向こう側が見えるということは――向こう側からも窓の中が見えるということだろう。
「おそらく、カイル様がここに来るはずだから......僕は下に降りるとするかな。
――君はどうする?」
* * *
クーガとプリアーシェは偶然ヴォルディーク邸の前で合流できるだろう。
そして、街に異変が起きたのはそれと同時だった。
突如響きだした謎の音楽。
――そして、悲鳴が上がった。
見れば街中にゾンビの姿が現れているではないか。
予想していたことが起きてしまったということだろうか。
――だが。
「本当にこうなるとはね。
でも、僕が来たんだから心配はないよ」
いつの間にかリオンが来ていたようだ。
彼のそばには神官らしき人物と衛兵らしき人物。
ここはもう彼らに任せて問題ないであろうか。
今クーガとプリアーシェが尽力しなければならないのは......。
ヴォルディーク邸の庭に黒い光と共に姿を現した不死者だろうか。
奴らはアポロを狙っている。
もしかしたら、クーガたちは一瞬赤い髪が消えるのを見ることができたかもしれない。
* * *
ヴォルディーク邸内にいる冒険者たちが庭の方に出てくれば、そこにはグラディウスの姿があった。
「やっと、俺の仕事が来たってところか。
思う存分暴れてやるから任せておきな。
流石にこいつもこの状況なら多少は働くだろうよ」
よく見ればグラディウスはエースを小脇に抱えている。
「わかってるよー、オレだって死にたくないもん。
その代わり絶対お酒あとでせびるからな」
エースも不承不承ながらも協力してくれそうだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
イベントフェイズです。
PCの初期位置はフィンはミハイル・カイルと共にカイルの私室。
二ェストルはエミール・アポロと共に2階の部屋。
クーガ・プリアーシェはヴォルディーク邸の外です。
フィンはミハイルとともに庭まで降りることも可能です。
カイルと共にアポロの元へ行くことも可能です。
二ェストルはエミールと共に庭まで降りることが可能です。
アポロの元にとどまることも可能です。
外から帰ってきたところなのでプリアーシェとクーガは庭までしか迎えません。
一応リオンらの援助に回ることは可能ですが、基本的に必要ないとしていただいて構いません。
不死者について魔物知識判定が可能です。
目標値は6/11と11/18ですね。それぞれスケルトンとデュラハンです。
スケルトンは2体くらいいるようです。
また召霊曲は完全に対応されたためゾンビが戦闘に参加することはございません。
クーガとプリアーシェに限り危険感知判定が可能です。目標値は15。
成功すれば、赤い髪をした男が姿を消すのが見えますね。
戦闘は普通にPCとNPCが参加すれば勝利できてしまうと思うので、
ここで大事なことは大きく2点であることを明言しておきます。
・アポロを活かすか殺すか
・赤髪の男を捕らえるか逃がすか
の2つのポイントですね。
アポロに関しては庭に窓が面した2階の部屋の中にいます。
窓があるので射撃攻撃は多少防ぐことができますね。
どのような方法でこの場を切り抜けるかだけが大事ですね。
このシーンでどのような行動をとるかだけ宣言して頂ければ構いません。
基本的に戦闘用のダイスはお振りにならなくても結構です。
直接戦闘にかかわらない位置で魔法や呪歌などを使う際はダイスをお振りください。
何か質問があればいつでもどうぞ!