【D2-9】事件の結末は
>「アポロ 息を止めるんだ!」
襲撃者が放った激しい炎。
魔法の一撃によってアポロが火傷してしまわないように二ェストルは彼をかばう。
その爆風によって鋭く飛び出す一つの影。
>「こいつで!」
>「終いにしろや!」
それは赤毛の男に対して真っ直ぐ飛び込んでいくクーガの姿であった。
「――ぐあっ!」
>「どうだ・・・俺の閃光跳び膝。礼はいらねぇ、そのまま寝てろ。」
クーガの右膝は赤髪の男の顔面にクリーンヒットする。
男はそのまま意識を失って部屋の床へと倒れ込んだ。
「すっげえええええええ!
ね、今の何、どうやるの?
オレでもできる?」
二ェストルに守られていたアポロはその体から解かれると。
キラキラした目でまるで犬のようにクーガに擦り寄っていった。
――残念ながらフィンの目は実に正しかったようだ。
>「......カイルさん、下の階のお部屋をひとつ貸してください。テーブルと椅子があれば、どんなところ
でもかまいません。どなたかに、アポロを案内していただけないでしょうか」
フィンはアポロを誘って下の階でお茶会をするつもりのようだ。
若干場違いに見えるかもしれない。
でも、アポロのためにはとても大事なことだ。
「空いている部屋は好きに使ってくれて構わない。
ただ......なるべく壊さないように気をつけてくれ。
そうだな――ミハイル、その子を案内してやってくれないか?」
「はい、わかりました。
じゃあ行こうか......えっと、アポロくん?」
カイルは快く部屋を貸してくれるだろう。
ちなみに付け加えられた言葉の対象は勿論フィンではなく――アポロだ。
アポロはミハイルによって先に下に案内されていくようだ。
フィンと同じタビットという種族である彼にはアポロも警戒心が多少緩いらしい。
「あ、そうだ!
ネス兄ちゃん、守ってくれてありがとな!
超かっこよかったぜ、やっぱ大人は違うなー」
ミハイルに連れられて部屋を出る前に二ェストルの方を振り向いて。
アポロは去り際に言い残した。
* * *
アポロとフィン、そしてミハイルが下の階に降りていき。
男の発動体を取り上げ、縛り上げ終えた後。
プリアーシェはカイルに様々なものが用意できるかを問う。
「一応、お前が今言ったものは全部用意することはできるが......。
何をする気なんだ?」
カイルは望むもの全てを提供することができると語るが、
プリアーシェが何をしようとしているのかはよくわかっていないようだ。
正確にはあまり良いことをするわけではないことは認識してはいそうだが。
「彼女の案内は私にお任せ下さい、カイル様。
――プリアーシェさん、君もそれで構わないだろう?」
そこに助け舟を出すのはエミールだ。
彼はプリアーシェが行うことを察し、先んじて助け舟を出したのだろう。
「俺は別にそれで問題ないが――まあいい。
とにかく俺が知りたいことを伝えればいいんだろう?
......そうだな」
カイルが知りたいと挙げた内容は以下の6つだった。
セシリアは無事なのかどうか。
セシリアはどこにいるのか。
セシリアの待遇はどうなのか。
なぜこのタイミングで事件を起こしたのか。
無限の探求者の最大の狙いはなんなのか。
探求者のトップに立つのはどのような人物なのか。
またプリアーシェが赤髪の男を顔を軽く蹴ると、
虚ろな眼がゆっくりと開かれその意識が還ってきたのがわかるだろう。
>「はじめまして、名も知らぬ暗殺者さん。これからあなたにお話を伺います。
> こちらが知りたいことをすべて伺うまで、あなたはこのお屋敷から出ることはできません。
> 個人的な恨みつらみはありませんが、仕事なので最後までお付き合いいただいて、すべて済んだら衛兵
に引き渡します。
> ――ご理解いただけましたか?」
男からの返答はない。
尤もプリアーシェは返答など最初から期待していなかっただろうが。
* * *
プリアーシェはエミールによって地下室まで案内される。
赤髪の男はエミールによって逃げられないよう捕まえられたままだ。
鉄製の扉の向こうは狭く暗い圧迫感のある部屋。
「ここは......昔そういう用途で使われていたみたいだよ。
探せば君が欲しいものはいくらでもあるんじゃないかな。
ちなみに井戸は裏庭にあるからご自由に」
簡単な器具の類なら探せばあるだろう。
汚していい椅子だってここにはある。
「久しく使われてないから......ちょっと埃っぽいな。
まああの人はああ見えて純粋すぎるところもあるから。
僕はそれだけでやっていける世の中だとは思わないけれど」
赤髪の男も部屋の中の埃で咳き込んだようだ。
それは虚ろな瞳の男が――彼がまだ生きているという証。
祈りに心を明け渡し死を覚悟した者もまた人でしかないのだ。
* * *
「――とりあえず終わったようだな」
窓の外を眺めながらカイルが呟く。
気がつけば例の忌まわしき音楽も止まっている。
「......らしいな。
とりあえず俺は一旦店に帰ることにする。
どうなってるのか気になるしな」
「オレもこんな場所からはとっとと退散!
まったく酒につられて大変な目にあったぜ......」
グラディウスは七色の調べ亭に。
エースは......どこかに行くようだ。
エースの方はちゃっかりいつの間にかそこそこ値打ちのありそうな酒瓶を持っている。
そして上の部屋に残されたのはカイルと二ェストル、クーガだった。
「これで姉さんに少し近づけた......のか。
今回は助かった――礼を言う」
カイルは窓の方を見ながら口を動かす。
最後の方は若干声量が小さくなっていたが、クーガの耳にはしっかり届くだろう。
「――それにしても。
詩人っていう人種は見た目の割に誰かを守ろうとするものなのか?
それともお前たちが特別なんだろうか」
今度はカイルが二ェストルの方に目をやりながら尋ねる。
おそらく先程アポロをその身を挺して守ったことについてだろう。
勿論二ェストルはシャドウであるゆえ魔法には強い加護を受けているが。
カイルの目には――誰が映っていたのだろうか。
* * *
「ちょっと僕は庭の様子を見てきますね。
アンデッドの処理もしなければいけないし」
フィンが準備を済ませ部屋に入るとミハイルが席を立った。
アポロは陽のあたる白いテーブルの前に座っていた。
華美すぎず雰囲気の良い室内である。
>「これ、『お饅頭』っていうお菓子だよ。コンチェルティアに来る前に立ちよった、ユーレリアの名産品なんだ。ええとね、小麦粉を蒸した皮のなかにお豆のジャムがはいっててね......」
アポロに見せるのはユーレリア土産のお饅頭。
勿論アポロは見たことはないだろう。
「へー、なんだこれ。
変なの......おいしいのか?」
不思議そうなアポロも一口かじればその仄かな甘味にほっぺたが落ちる。
アイリたちにはお土産でもって帰るつもり満々のようだ。
>「アポロ、びっくりしたよね」
「ん、びっくり......?
――あ、さっきの炎のこと?
暑いし眩しいし音おっきいし、おれもびっくりしたな。
フィンは大丈夫だったか?」
アポロは確かに驚いてはいたようだが。
恐れ戦くほどの衝撃を受けていたわけではないらしい。
アポロ本来の性質もあるだろうがフィンや二ェストルなどがそばにいたのも大きかっただろう。
少なくともフィンにとっては良い結果に終わったはずだ。
――そこからフィンは少し嘘を吐く。
アポロを無駄に怖がらせないように。優しく。
>「だけど、アポロが僕たちといっしょにこのお屋敷の秘密基地に来ていい子にしててくれたから、まんまとあいつをおびき寄せてやっつけることができたんだ。冒険者のお仕事、無事に達成できたよ。ほんとにありがと、アポロ。よくがんばったね」
「へへ、ほんとか?
まあ、おれだからなとーぜんだぜ、とーぜん。
フィンとは違うもんね!」
最後の言葉についてはとっても嬉しそうに笑う。
フィンはこの笑顔を守りきった。
それは紛れもない事実である。
>「だいじょうぶ?苦くない?」
「......にがい」
緑茶を飲んで不味そうな顔をする。
まだまだ幼くて。小さくて。
見た目通りのアポロの心。
しかしフィンはアポロにはそれ以外の点があることも気づいているはずだ。
――そしてその瞬間は現れた。
「庭に......行かなきゃ」
アポロの瞳は――真紅。
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あんみつ@GMより
それぞれにお返しなりいろいろと話しかけたり(・∋・)
プリアーシェの聞き出し方は好きなようにやってください。
望むものは全てあります。
そして赤髪の男は全て話します。
しかし所詮下っ端ですのでわからないことはわかりません。
ただ本当にわからないということは理解できるとします。
お手柔らかにお願いします(・∋・)
フィンはアポロと庭に行くかどうかお決めください。アポロは勝手に向かいます。
フィンが庭に行く場合他のPCその他に声をかけることは可能です。
プリアーシェも行けるとします。
クーガと二ェストルは好きなように行動していただいて結構です。
庭に降りても好きな場所に行っても構いません。
また次回エンディング投稿となる予定です。
その際各PC毎に1シーンくらいであればもし希望があればお受けします。
最後にこのNPCと話したいとかこういうシーンが欲しいとかあれば(*´∀`*)
なければなしでもいいですぜ(・∋・)