冒険者の店にて:ふたたび
> 「わかりました。
> 現在非番の者も含め、不死者の襲撃に備えるように周知しましょう。
「ありがとうございます。
ザイア神殿の方々が動いてくださるのであれば心強いことです」
有難い申し出にお礼の言葉を述べる。
> 「これから私は他の神殿に赴き、僅かでも力を借りれぬか尋ねてみます。
> 不死者――不浄なる者は我ら神の信徒の共通の敵対者。
> 期待させるほどの助けを得られるかはわかりませんが、僅かながらでも神のため街のため動くでしょう」
続いた彼の言葉は更に心強いものだった。
他の神殿へも話を回してもらえるのであれば、さらに手が増える期待が持てる。
「お心遣いに感謝を」
もう一度頭を下げてお礼を言う。
不死者の話が事実であるとしても、これで最低限の備えはできたと見ていいかもしれない。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「――楽譜?呪歌?」
七色の調べ亭への道中、クーガさんからピアスを通じて届けられた話は驚くべきものだった。
アンデッドを召喚するための呪歌。その楽譜。
それが街中に複数ばら撒かれている可能性。
ザイア神殿は不死者が同時多発的に出現したとして対応可能だろうか。
戻って説明するべきかしら、と考える。
いや、ザイア神殿が総力をもって当たるということ、更には他の神殿へも協力を要請してくれるということであれば、ある程度の対処は可能だろう。
今は予定通り七色の調べ亭へ出向いて協力を依頼すべきだ。
にしても、手立てはあるのだろうか。
できることならば事前に止める手立ては。
「――ありがとう、事情は概ね解りました。
そのことも含めて、七色の調べ亭で協力を依頼します。
ザイア神殿は不死者に対して、非番の方も含めて対応に当たることを確約してくれました。
また、他の神殿へも協力を要請してくれるとのことです。
最悪の事態が生じても、ある程度の対応は可能と考えています」
ではそちらもお気をつけて、と言い、通話を切る。
あれで腕は確かな人なのだ。彼は彼で自分の役目を果たしてくれることだろう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
> 「あら、いらっしゃい?
> ――何かわかったかしら」
七色の調べ亭では、アンネさんがにこやかに迎えてくれた。
リオンさんが傍らにいる。
そういえば彼も吟遊詩人だったのでは、と思いだす。
「いろいろと、困ったことがわかりました。
3番街で不死者が出たという噂はご存知ですか?
あの一件がどうやら事実であるということ、無限の探究者が関わっているということ、それから――不死者を呼び出す手段が呪歌であるらしいこと、その呪歌の楽譜が街中にあるということ、楽譜が複製されている可能性があるということ」
一旦言葉を切り、さらに続ける。
「ザイア神殿にはすでに協力を要請しています。主に不死者への対処について。
神殿は全面的な協力と、他の神殿への協力依頼を確約してくれました」
しかしそれだけで足りるかどうか、と付け加える。
「そのようなわけで、ここへ来たのは依頼人として――正確にはその代理人として、なのです。
目的は召喚される可能性のある不死者と、可能であれば召喚の試みそのものへの対処。
前金はこちらです。
対処の方法についてですが――」
召喚の方法が呪歌であれば、より力の強い呪歌を被せてしまえば効果を失わせることは可能だということ。
腕利きの吟遊詩人がいれば、召喚そのものを妨害できる可能性があるということ。
可能であれば、七色の調べ亭を通じて、他の冒険者の店にもこの話を広げてほしいということ。
そういったことを、私は説明した。
「ですから私は、リオンさん、あなたにもご協力いただきたいと考えています。
彼らはあなたの店に汚名を着せようとしました。
そして今また、あなたの拠って立つものを、このような形で使おうとしています。
ヴォルディーク家を、あるいはカイルさんを快く思っておられないとは思いますが、それとこれとは別とお考えいただけませんか。
付け加えるならば、これは正式な依頼でもあります。
冒険者で、おそらく腕利きの吟遊詩人でもあるあなたのその手腕を、私は信頼したいと考えているのです」
■PLから
ふたたびおねがいのターン@七色の調べ亭 であります!
言いたいことはだいたい言ったのでとりあえずここまでで!(''