【A-1-1】寓話世界の呼び声
暖炉で焔が揺れる。
6人の冒険者の目の前には一人の青年が座っている。
「今回は依頼を受けてくれてありがとう。
これが例の本さ」
彼が冒険者たちの前にすっと置いたのは一冊の本。
魔法の言葉で『十の童話』と記された分厚い古書。
それは、何かに反応するがごとく激しく光を放っていた。
* * *
昨日、火竜の手羽先亭で依頼を受けた6人の面々はつい先程依頼人であるエリックの家を訪ねた。
依頼内容は何かが起こる気がするから一冊の本を図書館に持って行って欲しいというものであった。
文字にしてみるとまるでただのお使いのようであるが、内実は違う。
例えば、まずこの本。
これはかつて魔法文明時代に生きていた一人の魔術師にして作家が残したものである。
『十の童話』とタイトルが付けられたこの本の中には幾つもの"世界"がある。
その世界は背景だけの世界――白紙のページ。
"物語"は世界の中で登場人物が動くことで綴られていくのだ。
――この話は手羽先亭で他の冒険者からたちから耳にしたこともあるかもしれない。
そして図書館。
ルキスラから少し進んだ先に広がる森。
その森に霧が広がった時だけ姿を現すという。
蔵書されたのは基本的には魔法文明時代の貴重な書物たち。
司書を務めるヴィーラが蔵書全てを管理している。
しかし、森に霧が広がる機会は極めて少なく。
その姿を目にした冒険者の数は多くない。
『霧の図書館は自ら見つけて向かうのではない。
自ずから招かれて訪ねることができるのだ』
これは、そんな冒険者の一言である。
* * *
そう考えると今回の6人の冒険者は――招かれているようだ。
ちょうど天候を探れば、近いうちに霧が森の中に発生するはずだ。
「この本はもともとは図書館にあったものだからね。
きっと君たちを導いてくれると思うんだ」
エリックが差し出したのは激しく光る本。
この輝きも図書館が来訪者を待っている証拠なのであろうか。
「さて、それじゃ依頼について最後の確認をするね。
報酬自体は正直僕からはあまり払えないんだ。
でもその代わり、図書館から好きな物を持って帰ってくれればいいと思うよ。
あれは、僕のずっと昔の先祖が作ったものだから」
エリックが提示した報酬は各1500ガメル。
今回の冒険者たちにとっては若干少ないとは言えなくもない。
その代わりに提示されたのは図書館の蔵書だ。
ものによっては相当の額が着くはずだ。
「僕も図書館にこの状態の本を持っていったら何が起きるかはわからないよ。
でも、たぶんきっと何かが起きる。
君たちがその何かを見届けて戻ってきてくれるのを待ってるよ――勿論無事にね」
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あんみつ@GMより
それではセッションを開始させていただきます。
依頼を受けたシーンはばっさりカットしました。
もちろんPCの側で好きに書いていただくのは構いません。
皆さんはエリックの家で依頼の確認をしているシーンです。
【エリック・ジュべ】を『登場人物』に登録しておきます。
【十の童話】について見識判定が可能です。
目標値は10。成功すれば『用語目録』に記されたことがわかります。
【霧の図書館】について見識判定が可能です。
目標値は13。成功すれば『用語目録』に記されたことがわかります。
次シーンは時間を一気に進めますので、
何か依頼に関して質問がございましたら、こちらのシーンででお願いします。
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