【B-1-1】童話の上に立って

 GM(あんみつ) [2015/11/07 11:10:16] 
 

>「コイツもソーだったりシネーのカナー。」

アリサがディーラの石像を眺めてみると、それは一から石を削って作られたものでないとわかる。
ただ感じるのは微かな生命力でもない、魔力だ。
少なくとも石化してしまったディーラではなさそうだ。

   *   *   *

青い本を窪みに嵌めると光の壁が青い色に染まっていく。
そしてその光は薄まり、宙に溶ける。
青色の書も虚空に消えた。
これで図書館の扉を開くことができる。
扉は銅製の重厚なものであるが、開こうと思えば誰でもできるだろう。

   *   *   *

扉の中にあるはずのもの。
本来なら図書館の内装。
無数の本棚が並び、どことなく不思議な匂いのする空間。
――しかし、実態は違った。
六6人の冒険者たちがいるのは緩やかに坂になっている白く硬い地面の上。
足元以外は基本的に漆黒である。
唯一の例外は少し向こうに見える上へと続く階段。
その階段の行く先は途中で闇にかき消され、どこへ向かっているのかはわからない。
振り向けば背後にあるはずの入ってきた図書館の入口の扉すらなくなっていた。
――この空間に存在するのは六人の存在と足元の地面、そして階段だけだ。
階段の前には再び光の壁が昇っている。

さて、この足元であるがよく見れば黒い模様が描かれている。
この黒い模様だが見る者によっては見覚えがあるであろう――魔法文明語の文字だ。
その文字が均等に白い緩やかに傾斜した地面に並んでいる。
これが意味すること――それは。
六人の冒険者たちは今ページが開かれた本の上にいる。
本が巨大なのか、それとも自分たちが小さくなったのか。
そこまでは分からないが少なくとも今大きな一冊の本の上にいるのは紛れもない事実。
――夢ではない。

視線の先を少し遠くにやると、そちらは赤、青、黄色とカラフルであった。
眺めてみるとそこにあるのは老若男女の人物像。
どうやらこの本は左ページに文章が、右ページに挿絵が描かれているようだ。
とりあえず持って帰って来れたら、自分のものにしても問題ないらしい。

   *   *   *

魔法文明語を解する者であればなんとか文章の意味を読み解けるはずだ。
詳しくはこのように記されていた。

『かつて十の童話がこの地に残された。

 始まりに赤い頭巾をかぶった少女が狼の森を訪れる。
 人魚の姫君は愛しい人を想い水面で歌う。

 後に続くは黒い髪に白い肌、赤い唇の美しい姫君。
 傍に佇むのは雪の街で暖を売る薄幸の少女。

 折り返しで眠るのは薔薇の揺籃に抱かれた姫君。
 後半に向けて赤い靴を履いた少女が踊り狂う。

 終わりに近づくと乙女が硝子の靴を落とし。
 凍った少年の心を少女の涙が温める。
 
 そして未だ語られぬ物語。
 塔の上の少女、親指大の姫君。

 十人のヒロインを舞台から見つけ出したその時。
 魔法の童話は再編纂される。

 そして求むる者の手に橙色の書物が託されるであろう』

大きくどこまでも広がるような挿絵を詳しく眺めれば、
そこには、文章で描写された十人の登場人物が見つかるかもしれない。

   *   *   *

もし、全ての童話の登場人物を見つけ出せばラウラの目の前の空間が橙色に輝き出すだろう。
そこに浮かび上がってきたのは一冊のオレンジ色をした書物だ。
中を開いてみれば、先程の青い本と同じ文字のみが記されている。


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あんみつ@GMより

ディーラの石像については構造解析判定で行いました。
魔力でできた石像らしく、石化しているわけではなさそうですね。
また、十の童話については鞄に突っ込んでもらっても大丈夫です。

青い本を入れれば成功です。
皆さんは図書館の中に入れます。

魔法文明語の文字を知っているかどうか冒険者レベル+知力Bで判定をどうぞ。
目標値は13です。成功すれば知っています(理解できるわけではない)。
魔法文明語の読文を持っているPCは自動成功です。

魔法文明語の文字だとわかったPCは再度冒険者レベル+知力Bで判定をどうぞ。
目標値は12です。成功すれば、ここは本の上ではないかと想像できます。

挿絵に対して探索判定をどうぞ。
上記の2個ずつセットで計5回行ってください。目標値は全て14
成功すれば、二人分登場人物の絵を見つけることができます。
これに関しては一人ですべて成功させる必要はなく、6人全員で全てを見つけられれば十分です。

全部成功すると橙色の本がラウラの元に現れます。
中身は先程と同じです。
光の壁については探索判定なしで窪みを発見できます。
以降も同じ状態になった場合同様の扱いとします。

判定数が若干多いですが、実際に行う判定はそれぞれ行っておいてください。
その結果先に進めるようになった場合、次進行では次に移動するシーンまで進めます。

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