【B-1-3】神話再現
>「コレも童話ッポいナー。」
アリサがパラパラと童話本をめくって読んでみると書かれていたのは、
ちょうど今六人が乗っている『望見の童話集』に書かれた10人のヒロインの話であった。
魔術に長けたアリサが読めば文章から若干マナの残滓を感じ取れるかもしれない。
極めて微量なものでしかないが。
* * *
>『マスコットならモフられるベキ。ソーすベキ。』
アリサがカーバンクルに近づいていったかと思えば、そのままリリが捕まえて。
――そしてもふる。
『ちょ、ちょっと、おさわりは厳禁だよ!
ちゃんと事務所通してくれないと困っちゃう』
リリはカーバンクルの手触りを存分に楽しめるだろう。
またレシピをいっぱい集めたらおまけをくれるというカーバンクルであったが。
>『ジャー、お前持チ帰ってもイイケ?』
『ダメー!
ボクは体を安売りしないんだよ!』
カーバンクル自身をプレゼントとしてくれることはないらしい。
マスコットとしてのプライドがあるのだろうか。
>「こんにちは、赤い宝石がお似合いのうさぎさん。沢山集め終わったら触らせていただけますか?」
ラキアスの言葉は残念ながらカーバンクルには理解されなかった。
魔法文明語を解する者がもし通訳の役目を果たせば。
カーバンクルはしょうがないからそれくらいは許してくれるそうだ。
* * *
冒険者たちは求められた以上の数のレシピを集めることができた。
ついでにシィノなどはラウラとダグリオンの料理で多少腹ごしらえができたかもしれない。
カーバンクルも集まったレシピの数に大喜びだ。
『これだけあれば十分だね!
――魔法のレストランの料理をご賞味あれ!』
カーバンクルは再度厨房の中に引っ込むとレシピ通りに調理器具たちが勝手に動き出し。
生の食材を料理という芸術作品へと変化させる。
そして六人の冒険者たちに振舞われるのは各地方・各時代のフルコースである。
『おまけに秘密の調味料を足しておいたんだよ!
きっと元気が満ちてくるんじゃないかな?』
冒険者たちが食べると、単純に美味だというだけでなく、不思議な力が湧いてくる。
一度くらい本来の自分よりずっと凄い力が出せそうだ。
* * *
楽しい食事タイムを終えると約束の瞬間がやって来る。
『はい!そしてこれが約束の本だよー!』
カーバンクルが赤い本を魔法で浮かせ、ダグリオンの元へと飛ばす。
それは今までと同じ形式の書物。
再度見えない文字を読もうとすれば、そこにうっすらと記されていたのは料理のレシピだ。
また、レシピを持ち帰りたいという冒険者たちの頼みに対しては。
『うーん、なくなったらボク作れなくなっちゃうからなあ。
写していくのなら全然問題ないよ!』
――とのことである。
光の壁の窪みに再び嵌めれば、赤い輝きと共に上へと登れる道が開く。
この階段はどこまで続いているのだろうか。
* * *
階段を昇った先にあったのは澄み渡る黒い空にまんまると浮かぶ満月。
しかし、その月はどこか光が弱く翳りを見せている。
周囲を見渡せば荒れ果てた村のようである。
闇夜に建つ家は扉や窓、果てには壁や屋根が破壊されひどい有様である。
とりあえず辺りの様子から考えて、最初の森に帰ってきたわけではなさそうだ。
現に目の前に見える古びた聖堂らしき建造物の扉にはもう何度目になるだろうか――光の壁で覆われていた。
どこか陰鬱な空気が広がるこの空間に満ちているのは他にもある。
鼻を刺す不快な臭い――これは死臭だろうか。
よく見れば闇に紛れて人の死体や骨のようなものが転がっている。
そしてそれは――まるで冒険者たちの期待に応えるがごとく動き出した。
よく見れば地中から土を掘り起こして、姿を表す不死者の数もあり、徐々にその総数が増えだしてくる。
不死者たちは冒険者たちにジリジリと詰め寄ろうとしてくるが。
決して一点近づこうとしないポイントが一つある。
聖堂の目の前に存在するシーンの聖像の周囲だ。
そこだけ、唯一月明かりに照らされているようだ。
石像の近くに近づいてみると像の台座部分にシャドウ語で刻まれている。
読み解けば......。
『かつて不死者に襲われた街を一人の聖女が救済した。
彼女は心優しき月神に只管に祈りを捧げ続け。
全てを浄化する月の光が村全てを柔らかく包み、
地に満ちた全ての穢れを清め祓った』
知る人は知るかもしれない。
月神シーンに纏わる神話の一つ、『聖女の祈り』の一節である。
しかし、その下にどこか違う形式で彫られた文字はシャドウ語ではなく魔法文明語であった。
『月が村を照らすとき紫の書が聖女の手元に届くだろう』
しっぽをふりふりしながらカーバンクルは言う。
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あんみつ@GMより
まず序盤はいくつか対応をお返し。
必要以上のレシピを集めたので、おまけの調味料をかけてくれました。
本セッション中に限り任意の行為判定の達成値を1回のみボーナスで+3できます。
使う際は予め宣言した上でダイスをお振りください。
成功、失敗によらず一度しか使えませんのでご注意ください。
赤色の本を無事に入手できたため、先の場所へと進めました。
レシピは羊皮紙などに写してお持ち帰りください。
階段を上がったら寂れた村の中でした。
登場したアンデッドはスケルトンとゾンビです。
それぞれ魔物知識判定をどうぞ。目標値は6/11と7/12です。
アンデッドは幾らでも数が増えますが、聖像の周囲にいる限り攻撃を受けません。
聖像の前でお祈りをすることができます。
基準値は冒険者レベル+精神力ボーナスで目標値は14です。
他にも行うPCがシャドウであればさらに2点ボーナスが追加され、
プリースト技能があればプリースト技能レベルの半分(小数点以下切上げ)がボーナスとなります。
合計6回以上成功すれば、月の光が強まり、アンデッドは浄化され紫の本がシィノヴィアのもとに届きます。
一人3回まで判定に挑戦することができます。
また、【聖女の祈り】について見識判定が可能です。
目標値は14。成功すれば『用語目録』に記されたことがわかります。
紫の本を入手した場合特に何かなければさらに次の場所へと進行させますね!(*´∀`*)