【D-1-1】夢の使者
冒険者たちが目を開けた瞬間。
見えるのは木製の床面だっただろうか。
どことなく重い体をゆっくり持ち上げて周囲を伺えば。
あまり広くはない部屋の中にいるようだ。
確認すれば全ての冒険者が揃っていることはすぐにわかる。
壁には一面に本棚が並んでいる。
ここは......図書館の一室であろうか。
それにしてはちょっとした違和感。
なんだか書物がそして書棚が歪んで見える。
手に取ろうと腕を伸ばしても決して届かない。
何故か遠ざかっているかのような感覚。
『あら、ようこそ。
いつの間にかいらっしゃっていたのですね』
ギイギイとドアの開く音の後に姿を現したのはひとりの女性。
いや人ではない――ディーラだ。
覚えていれば入口にあったディーラの像とそっくりだとわかるだろう。
『ああ、紹介が遅れまして申し訳ございません。
わたくし......この部屋の管理人であり偉大なる主の僕。
レーヴと申しますわ』
恭しく一礼。
鳥の羽根がふわりと揺れて落ちる。
ちなみに夢だからわからないがレーヴの言葉は自分の分かる言葉に翻訳して聞こえてくる。
ある者には聞きなれた地方の、ある者には父母が話していたものに。
『皆様、ここがどこかお分かりかしら。
ここは夢の中ですのよ。
霧の中の図書館が見る夢。
図書館は生きているのです――勿論呼吸をしているわけではないですが。
皆さんが歩んできた道程も全て書物が見ていた夢』
レーヴが語るには冒険者たちは夢の中にいたのだという。
そして今も夢の中にいるのだという。
アリサたちが読み解いてきた本の内容がその際の試練と似通っていたのはそのためだったのだろうか。
『でも皆様もそしてこの図書館もそろそろ目覚めるとき。
そして目覚めるのは皆様が持っているその本も同じ。
その本は既に八つの物語を紡ぎ残りは二つの物語が完成されるのを待つのみですわ。
けれど、この世には夢や物語は無限に溢れています。
だから今こそその童話を真に目覚めさせること――それが我が主の望みなのですわ』
レーヴは彼女が出てきた扉の方に歩み寄り。
再度、その扉をゆっくりと開く。
その奥には闇が広がっていた。
『扉の奥には最後の鍵が待っています。
さあ、どうぞお進みになってください。
勿論罠などございませんわ――夢ですもの』
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あんみつ@GMより
カテゴリを少々移動させてみました。
ラストシーンまでの小休止でございますね。
レーヴについて『登場人物』に登録しておきます。
罠など探索判定を試みても構いません。
13あればなんもないことがわかります。
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