【D-1-4】童話の夢から醒める時
白い部屋の中にある一つの本棚。
問題は手元にある七冊の本の並べ方か。
>「デ、左カラ右ヘ起こった順に並ベロって事カー?」
リリが提案するのは、冒険者たちが実際に経験した順番に。
左から右へと並べてみてはどうかというものであった。
>「いや、そのままでいいと思いますよ。レーヴさんの言葉が本当なら、私たちにここで難しいのは出さないかと。」
>「とりあえずは反対意見も無いこっちゃし前者でええんやないか?」
ラキアスとアルフェイトはリリの意見に同意する。
シイノヴィアとダグリオン、そしてラウラも特に反対意見はないようであった。
* * *
冒険者たちは各々の手にある本を適切な順番通りに嵌めて行く。
一番左に青、次に橙、そして赤。
さらに紫、並びに黄色、紫と来て――最後に藍。
上の段に十の童話を当て嵌めれば。
冒険者たちの最初の作業は完成だ。
――少し。ほんの少しの間、本棚の様子を眺めている冒険者たちに聞こえてくる声。
それは威厳のある男の声であった。
『子供心を忘れぬ素直な者たちよ。
永久に広がる童話の導きあれ......』
レーヴの言葉と同様に。
各々にとって違う言語で聞こえるその言葉。
どこから聞こえてくるのかわからないその言葉が途切れると同時に。
本棚の本が動き出して、飛び出した。
それぞれの表紙やページをまるで翼のように羽ばたかせて本たちは自在に飛ぶ。
本の尾のように後を線状に続いていくのは本と同じ色の光のライン。
まるで絵の具のように色濃い帯が、白い部屋を本棚をそして冒険者たちを染めていく。
幾らか部屋の中を彩りで包み終えた本たちはまるで役目を終えたように。
そして巣へと帰っていく鳥のようにある一点へと向かっていく。
――十の童話の嵌められたポイントへと。
七色の本は次々に童話に折り重なっていき。
その度に十の童話は飾られ、彩られていく。
最後の一冊――藍色の本が童話に重なり終えたあと。
そこにはより美しい装丁の本があった。
その名も"七色の童話集"。
七つの色を組み合わせればどんな色でも作り上げられる。
それは無限の、そして夢幻の象徴。
* * *
彩り溢れる中。
冒険者たちはその目で確かに見ただろうか。
高い塔の上からどこまでも伸びていく長い髪を。
花々や虫たちの中に見える親指ほどの姫君を。
「――て......」
見ているだけでお腹が膨れそうなお菓子の家を。
青い髭を生やした逞しく気位の高い男を。
「......みま――きてく......」
砂漠の中ランプから飛び出る魔神の姿を。
薔薇の咲く屋敷の中で暮らす美しい娘と野獣の姿を。
うさぎを追って穴の中へと落ちていく少女の姿を。
「皆さ......起きて――い」
仲の良い子豚たちを。
驢馬と犬、猫と鶏の群れを。
そして貧相な家鴨の子を。
――これは幻であろうか。
いや、幻ではないだろう。
これは......夢だ。
なぜなら冒険者たちは。
「すみません、皆様起きていただけますか?」
冒険者たちは眠りについていたのだから。
聞こえてくるのは知的な雰囲気の女性の声。
導かれるように夢は光の中に解けていく。
これは――覚醒の光。
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あんみつ@GMより
進行ですー!
順番通りに本を入れれば、無事に作動したみたいですね(*´∀`*)
あとは演出&演出&演出。
次回からエンディングへと向けて進ませていただきますので。
あと少し宜しくお願いしまーす!