【E-1-1】現し世の図書館
冒険者たちが目を覚ました場所はどこかの部屋の中だった。
漂うのは本の匂い。
部屋の内装を伺えば本棚と木製のテーブルと椅子。
ソファのようにゆったり座れるものもあるようだ。
今度こそ間違いなく"図書館"であろう。
机に突っ伏していたり、ソファで眠っていたり。
本棚に寄りかかっていたり、地べたに倒れていたり。
冒険者によって寝ていた格好は様々であっただろう。
起き上がり夢の中の声の持ち主を探すと、一人のディーラがいた。
レーヴとは少し風貌が違うようである。
例えば眼鏡をかけているところとか。
>『・・・ウム。オハヨーだゼ、レーヴ。』
『レーヴ?
どなたでしょうか?
わたしはリーブラと申しますが』
彼女の名前はレーヴではなくリーブラというらしい。
おそらく"夢"でなく"現"の図書館の住人だ。
『お休みのところ申し訳ないのですが......。
もうすぐ閉館のお時間でございます。
有り体に申しますと......霧が晴れようとしております』
この図書館は森に霧が広がるその瞬間だけあの場所に現れる。
そして霧が晴れると同時に姿を消してしまうのだ。
もしその瞬間図書館の中にいればどこへ向かうのか。
興味深いかもしれないが、何があるか分からず危険であろう。
『もし読み途中の本などございましたらお声かけください。
お一人様五冊までお借りしていただいて問題ございません。
......それと、そちらの品々はお客様のものでしょうか?
図書館で管理しているものではないようですので間違いなければお持ち帰りください』
リーブラは視線を冒険者たちの足元へと送る。
そこにあるのは料理のレシピであったり戦利品として手に入れた魔道書であったり。
――そして六色の本であったり。
七つの色を組み合わせればどんな色でも作り上げられる。
* * *
アルフェイトが手にとった藍色の本は初めて見る名の作詞家で作曲家たる人物の作品集であった。
伝統的で格式だったものではなくソウルフルでイレギュラーな楽曲群が並んでいる。
それでいて感涙必至のバラードも備えているバラエティ溢れたものだった。
あまりにもアンダーグラウンドだったためその名は現在には残っていないが、
楽曲の譜面を眺めればその才能は確かだと音楽に造詣の深いアルフェイトは感じられるだろう。
ラキアスの緑色の本は野草や花、樹木などの植物についての百科事典であった。
なかなか分厚く軽装が売りのラキアスが冒険に持ち歩くにはやや嵩張るが、
その分魔法文明時代の知者が記した解説は詳細で的確だ。
ルキスラ近くの森を散歩して気になった植物を調べるなどには使えるかもしれない。
シィノヴィアが手にしたのは、シーンに纏わる神話の綴られた紫色の本だ。
シーンを中心にティダンやアステリアら神々の作り出す物語から、
聖女の祈りの説話を始めとしてシーンに関わる様々な歴史が綴られている。
中には教訓や教義についての解説も豊富であり、シーンを信ずる者には非常に勉強になるだろう。
ラウラが手にとったの橙色の本は魔法文明時代の童話作家メルフ・グリマンデルセンの作品集だ。
冒険者たちがこの図書館へと持ち運んできた十の童話の元になった作品も入っている。
芸術的な挿絵も入っており、極めて貴重で面白いものであろう。
ダグリオンの赤い本には、魔法文明時代にその料理は魔法のようだと評された、
伝説級の料理人のレシピ集が載せられているようだ。
フルコースタイプのものもあるが、手軽に作れる軽食系もある。
様々な場面で活躍できる、かもしれない。
アリサもしくはリリの傍にあった黄色い本。
そこには魔法文明時代に生きたある人形愛好家の躁霊術師が残した衣装のデザイン集が記されていた。
伝統的なドレスタイプのものから魔導師風や踊り子風などちょっと変わったスタイルまで完備している。
生地や材料、作り方も記されているため、ものが用意できればアリサにも作れるだろう。
――そして七冊目。
図書館の木製のテーブルの上。
本来は"十の童話"であったはずのものがそこにはあった。
"七色の童話集"。
これらの存在が示すのは、冒険者たちが見たのは夢であったのかもしれない。
夢は夢だ。
しかし、夢もまた現実であったのだ、と。
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あんみつ@GMより
ここに来てようやく現実の図書館登場です(・∋・)
リーブラについて『登場人物』に登録しておきます。
次回投稿がエンディングとなりますので、その前に剣のかけらについて処理しておきましょう。
今回は剣のかけら8個になります。
上手い具合に振り分けてください。
PCそれぞれのにある本ですが、
メモリーアイテムとして差し上げます。
詳細は次回の報酬まとめにて。
他にも5冊まで本を借りて言って構いません。
こちらはメモリーアイテムとして詳細な設定は残しませんが、フレーバーとしてどうぞ。
あ、七色の童話集もちゃんと持ち帰ってくださいね!(・∋・)
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