【A-1-2】砂漠への旅路
>「それを明かすのなら、自分も手札を見せないのは、不公平ですね」
自らがウィークリング――つまり蛮族であると明かしたエレミアに応えるように。
シオンは髪の中に隠れた角を示してみせる。
――僕も同じだ、というかのように。
「そう......貴方もそうだったの。
本当に生まれる場所も姿も選べないっていうのは――残酷よね」
その言葉は仄暗い笑い声で語られていた。
自らの忌まわしき境遇を笑い飛ばすかのように。
* * *
>「自分の親父だろ?・・・なんで人に殺してくれなんて頼むのさ。」
>「殺さないと行けない理由を聞いてもいいでしょうか? いくつか予想は出来ますが」
依頼を受ける前の最後の確認として――二人はエレミアに問いかける。
何故父を殺したいのか、と。
「大切な人を奪われたから。
――ただ、それだけよ」
その表情は歪にして陰鬱。
それだけ重い理由があるのだろうか。
「――ティム」
唇の微かな動きを読み取れば、彼女はそう漏らしていた。
>「ああ、そうだ。衣装の手配だけどさ、これ全部持って行っても違和感ないのとか頼めないかな?
>何分持ち物が多いもんでね」
去り際にキリエはエレミアに対して服装について注文をつける。
キリエの数多くの銃や短刀をその小さな体で自然に隠すのは難しいだろう。
「わかったわ、探しておくわね。
なるべく貴女に似合いそうなものを見つけられればいいけれど」
キリエの頼みは少なくとも快諾されたようだ。
* * *
それぞれの準備を終えて。
砂漠へと出発の時がやってきた。
青空の中――朝日が燦々と輝いている。
旅立つには実にいい朝だ。
「調子はどう?
準備は万端かしら?」
ルキスラから北に至る入口で彼女は二人を待ち構えていた。
エレミアの様子は実父を殺しに行くとは思えないほど朗らかだ。
そんなエレミアの背後にいるのは一頭の馬。
何やら荷物を運んでいるようだ。
「ああ......この中には水や食料が入っているの。
なんていったって砂漠越えだから。
準備はしっかりしなければいけないでしょう?
あとは貴方たちの着る衣装とか小道具とかが入っているわ」
道中の準備は万全であるらしい。
流石に一人の冒険者というところであろうか。
「砂漠に入る前に言っておくわ。
あたしも目的地は流石に知ってる。
でも、目印が何もないのが砂漠というものなの。
それに何らかのアクシデントが起こるかもしれない。
――そう簡単なことじゃない可能性があるのは覚悟しておいて。
でも、きっと上手くいくでしょ?」
眼帯に隠されていない左の瞳でウィンクする。
やはりその様子は不思議なほどに明るく見える。
もしかすると空元気なのだろうか。
「ああ、そうだ。
もし砂漠の中で......。
ううん、なんでもないわ。
行きましょう?
――忘れ物はもうないわよね」
何かを少し言いかけたのを隠すように彼女は荷馬に出立の合図を送る。
馬の嘶く声が――空を裂いた。
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あんみつ@GMより
時間を進めて出発前の最後の確認シーンです。
次からは本番の進行となります。
なのでキャラクタシートとエレミアの技能については、この期間内に決めて頂ければ、と。
道中の保存食並びに水については贅沢は言えないものの、
必要最低限は確保されております。
尤も砂漠道中での状況によって左右されることとなりますが。
次からは砂漠でのシーンとなります。
街にいるあいだにやっておきたいことがもしあれば、このタイミングまでにどうぞ!