【B-1-3】岩陰で一休み
――空を飛んだことがあるのか。
エレミアの単純な興味から来る言葉に対して。
>「......飛行船に乗ったことあるんですよ。乗ってから離陸するまでは、ウキウキしていたのですが......その後に大地の素晴らしさを知りました」
>「夢を壊すようで悪いですけど、もし乗るなら酔い止めとかは用意して、事前に飲んだ方が良いですよ」
シオンが語るのは自身の苦い過去。
多くの者が夢見る空を飛ぶという経験も、彼にとっては辛い体験であったようだ。
つまるところは、人それぞれであるということであろうか。
「あたしは船とか大丈夫な質だから問題ないとは思うけど。
ありがとうシオン、参考にさせてもらうわ」
シオンの顔を見て笑みと共に頷いたあと、
「今回の戦いが終わったら――あたしも旅に出てみようかな。
だって......自由だもの」
頭を空に向けて、誰に話すでもなく言葉にした。
>「んー・・・ここが光ったから、この出っ張り・・・お、動いた動いた!」
一方のキリエは飛行船の残骸から生きた部品を見つけ出す。
どこかの動力部品であろうか。
* * *
再び砂漠の中を歩き出す冒険者たち。
少しずつその歩みは遅くなり。
体力の消費が肌でわかるように感じられる。
しかし少しずつ確実に目的地に近づいているのは事実だ。
あとは気力と体力の勝負だろう。
>「出来れば、日陰で休憩できれば有り難いのですね。ついでに探させますか」
少し歩いた先でシオンが妖精の力を借りながらあたりを見渡すと。
>「結構大きめの岩がありますね。進行方向とは別ですが」
大きな岩が見つかった。
ちょうどそのあたりは陰になっていて休みやすそうだ。
「そうね。
少しあそこで休憩しましょうか?」
エレミアはそう言って岩の元へと荷馬を引き連れていった。
* * *
日陰になっているところは幾分か過ごしやすい。
休憩するには最高とは言えないがこの環境下では最適には近いだろう。
「やっと三分の一ってところかな。
とりあえず悪いペースではないと思うわ。
貴方たちが手がかりを少しでも見つけてくれたおかげよ、ありがとう」
岩壁にもたれ掛かりながらエレミアは頭を垂れる。
彼女の真っ赤な髪が揺れた。
「ねえ、休憩がてら少しだけ聞いていいかしら?
......貴方たちにとって親ってどういう存在だった」
――親。
それは今回のエレミアの以来にも深く関わってくるキーワードである。
なにせ討伐対象は父親なのであるから。
「あたしの母さんは優しい人だったわ。
......まあ、勿論蛮族でバジリスクだったんだけどね。
強く、美しく、暖かい人だった。
病気で倒れるまでずっとずっと――誇りの母だったわ。
もし母が生きていたら、あたしはあの街で蛮族として暮らしていたかもしれないわね。
今みたいに冒険者になんてきっと......なっていなかったわ」
エレミアの母は彼女にとってとても誇らしいバジリスクであったそうだ。
勿論蛮族の世界の話ではあるが、通じるものはきっとあるだろう。
「――もし母さんがいれば、父も」
彼女の言葉から想像すれば父たるモノマニアもまた、妻を喪って何かがあったのかもしれない。
そしてその何かこそが今の確執につながっているのだろうか。
「よし、あたしの話はやめ。
貴方たちのことを聞かせて?」
エレミアと共に話す休憩時間。
シオンとキリエは感じていたかもしれない。
――風が変わっていく感覚を。
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あんみつ@GMより
合計値が26でしたので、残念ながら進度は0点です。
エレミアの各進行毎の進度も加わって現在は4点となっております。
少し進んでシオンの見つけた岩陰で休むシーンです。
天候予測判定が可能です。目標値は10/15。
結果によって進度に影響が出ます。
目標値15を達成:いい風が吹いて太陽が雲の中に隠れる。進みやすくなるため、追加進度1点。
目標値10を達成:良くない風が吹く前に出発できる。プラスマイナス0点。
目標値10を未達成:良くない風に遭遇。軽い砂嵐が起きて進度に-1点。
どちらかが目標値に達成すれば問題ありません。
もう一つ、第3回目の探索判定をお振りください。