【B-1-4】オアシスから街へ
キリエとシオンの先導のもと、三人と荷馬はサンディの導きを追っていく。
その風のスピードはなかなかに早く、つい砂に足元がゆらぎその距離は離されていく。
それでも、キリエたちの目はその行く手を捉えようと風向きを読む。
少しでも......少しでも視界に捉えたまま進んでくために。
――しばらくして残念ながらサンディの導きは完全に姿を消した。
「今辿ってきた道筋はあたしも初めてだわ。
でもきっと間違いなく街へと近づいている。
なんとなくわかるもの」
ふと視線をそらせば端に一瞬場違いな緑が映った。
もう一度その地点を注視すれば――。
そこに見えるのはオアシスだ。
おそらくエレミアが話していたもので間違いないであろう。
「あれは......まさか......!」
エレミアはオアシスの方へと駆け寄っていく。
シオンとキリエも向かっていけば砂漠の中でも貴重な潤いを感じられるだろう。
エレミアはその水を空き瓶で掬う。
「砂漠に残った伝説の一つにね。
砂が泥を経て水に生まれ変わるというものがあるの。
おそらくこのオアシスのことを面白おかしく語ったんだと思うわ。
でも......この水にそれなりの効能があるのは確かよ。
例えば――石像を人に戻したり」
近寄って調べてみれば、オアシスを構成するのはただの水ではないことがわかるだろう。
何らかの純粋なマナを含有しているのだ。
そのマナによって石化を治すことができる効能があるようだ。
「あたしは一つだけ貰っていくわ。
......もしかしたらってずっと用意していたから」
そう言ってエレミアは空き瓶を自らの荷物にしまいこんだ。
「あなたたちも何か持っていたら汲んでいったらどう?
父はバジリスクだから――何があるかわからないわよ」
* * *
オアシスを発って少ししたら、視界に砂漠ではない風景が見えてきた。
あれは街――の廃墟だろうか。
近づいてみても蛮族や動物の動いている様子すらない。
「着いたわね。
――サンディに」
街中に入っても他に生物の影は見当たらないだろう。
もっとも不死者の類がいるというわけでもない。
つまり――何もいないのだ。
ただただ沈黙した崩れた家や道とゴミのような残骸があるだけである。
そんな中、向こう側にひとつだけ他とは明らかに異なる建物がある。
美しく装飾され、現在でも丁寧に整備されているようだ。
あれがおそらくモノマニアの屋敷であろうか。
「少し前までは他の蛮族たちが根城にしていたんだけど。
その大半を父が追い出しちゃったのよ。
――見た目が醜いって言ってね。
まあ有事の時と定期的な巡回には来るようだけど、今はその時間じゃないわ」
つまり本命であるモノマニアの前に小競り合いをする必要はあまりなさそうだということだ。
シオンとキリエにとっては朗報であろうか。
「とりあえず綺麗そうな家を借りちゃいましょう。
そこで着替えていくわよ。
ちゃんとした格好じゃないと会ってくれないかもしれないし」
キリエとシオンたちのすぐ側には比較的状態のいい廃屋がある。
一旦ここで支度を整えてから目的地へと向かえば良いだろうか。
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あんみつ@GMより
キリエもシオンも両者ともに天候予測判定で12以上でしたので。
目標値12を達成:途中で見失ってしまうが十分な距離を終えた。追加進度1点。
となり追加は1点です。
また合計値が29でしたので、十分な手がかりを見つけ進度はさらに1点です。
エレミアの本進行分の進度4点を加えるとちょうど15点となりました。
そのためボーナスでオアシスを登場させました。
オアシスの水に対して薬品学判定が可能です。目標値は14。
成功すれば達成値を無視して石化を解除できる効能があることがわかります。
エレミアは一つ持っていきます。
シオンとキリエも持って行って構いません。
各一つだけなら荷馬の中から持ち運び用の瓶があります。
他にも入れるものがあるのでしたらそちらでも構いません。
場面の最後でサンディの街に到着しました。
次回からカテゴリが移行することになるかと思われます。