【C-1-1】屋敷に至る前に
キリエとシオンはオアシスで水を汲む。
石化を戻すためには十分な量がそれぞれ入っているだろう。
ちなみに......もし飲んでみたら美味しいかもしれない。
* * *
廃墟の街――サンディに到着した冒険者たち。
そこには蛮族の姿もない。
その理由が父が街から追い出したからだと語るエレミアに対し。
>「大半、と言うと、残っている少数派もいるんですか?」
シオンは尋ねる。
「いつでもあそこにいるのはコボルドが一人だけ。
屋敷の掃除や料理を仕事として任されているの。
まあそれなりに毛並みが綺麗で愛らしい顔つきなのよ。
だから父も傍に置いているんじゃないかしら」
屋敷にいる蛮族はコボルドだけだという。
戦力的に障害になりうるものはいないということだろうか。
* * *
「じゃあ、二人の分の衣装も渡すわね。
キリエはこれ、シオンにはこれね」
キリエに渡されたのは赤を基調とした派手派手な衣装。
これまた少し変わった赤色の帽子もセットになっている。
それぞれアクセントに星柄なども取り入れられており、非常に目立つ。
ジャグラー......曲芸師の格好だ。
「実はこれ、本当は子供用なのよね。
でも、キリエにはちょうどいいんじゃないかしら?」
確かにサイズ的には人間の子供用であった。
若干模様が可愛らしいのはそのせいだろうか。
つまりキリエには逆にぴったりフィットするはずだ。
一方のシオンに託されたものは男性用の踊り手の衣装だ。
上半身は肌を存分に露出させるように最低限の黒い布地しか使われていない。
まあ比較的身長が高く戦士としてそれなりに鍛えられた体のシオン故、見劣りするということはないだろう。
下半身は黒のズボンで全体的にモノトーンで落ち着いたカラーリングだ。
アクセサリーとして銀製の品々も付属している。
「とりあえず適当な場所で着替えてきてちょうだい。
武器とか鎧とかは他の荷物と纏めておいて。
あとで別便で持っていくから。
――キリエの服はゴテゴテしてるから下に隠してもバレないかもしれないけど」
そう言ってエレミアも綺麗な廃屋へと入っていく。
キリエなら一緒に入っても問題ないだろう。
流石にシオンが入っていくのは問題かもしれないが。
* * *
しばらくして着替え終えたエレミアが出てくる。
身に纏っているのは真っ赤なバラのようなドレスだ。
上半身は胸元が開いており、強くその存在をアピール。
下を見れば花弁のように赤いひらひらとしたスカートから白い足が覗いている。
髪の赤さも相まって薔薇というよりかは炎のようにすら見える。
真っ黒な装いのシオンとはいいコントラストになっているかもしれない。
「――準備できたかしら?
できたならすぐに屋敷へ向かいましょう。
まずは挨拶するだけよ、この格好で戦えだなんて言わないわ」
そう言って真っ赤な靴で砂の街の奥へと足を進めようとしたが。
「ああ、そうだ。
戦うための諸々についてはその他の荷物と一緒にバルレ――いやコボルドに運んでもらいましょう。
大丈夫、いい子だから中の荷物を検めたりしないわ。
二人は機を見て準備してくれれば構わないから。
――あたしの方もいろいろ用意しなきゃいけないことがあるしね」
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
これから屋敷に向かうにあたり、カテゴリを次に移しました。
これからはこちらのカテゴリに投稿してください。
衣装についてはこんな感じで。
振り分けについては趣味です(・∋・)
大まかに書きましたが詳細を詰めたいのであれば概略に反しない程度にお好きに(*´∀`*)
一応コボルドについて魔物知識判定が可能です。
目標値は6/11ですね。
次進行でモノマニアの屋敷に入ります。
いきなり戦闘はよっぽどでなければありませんが、
中に入るまでに行いたいことがあればどうぞ。
このカテゴリに記事を投稿する際は、
カテゴリ『C1-薔薇と家』にチェックを入れて投稿してください。