腹括れ
>「父は――舐めて勝てる相手じゃないからね。
せっかくだからゴーレムでも作ろうかなって。
――不安?......まあ、そうよね。
何ら別に見張っていっても構わないわよ」
私の問いにエレミアはそう返す。
「分かった。
疑ってるようで悪いね。
ま、ゴーレム作りはおれも興味あるし、ついでに見させてもらおうかね。」
残っているコボルドは眠らせておくらしい。
壁になられても困るし、弾も無駄に使いたくないし。
仕事が終わったら自由にするなり仕事を紹介するなり、色々あると思うけど、そこはエレミアに任せておこう。
>「それじゃ、二人共よく似合ってるし行きましょう?」
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エレミアに案内され屋敷の門前にたどり着いた。
屋敷は荒廃しきったサンディの街とは対象に綺麗にされ、ここだけが別の、大きな町の高級住宅地にでもあるような雰囲気を醸し出していた。
「はー・・・こんな砂漠のど真ん中にある街で薔薇の庭園なんて見るとは思わなかった。」
門の中に見える薔薇の庭園。
覗き込んでみると男女の石像が目に留まった。
まるで生きているかのような、美しい技巧のそれは庭園の風景とも相まってこの屋敷の美しさを際立たせているように見える。
けど・・・何だか気持ちが悪い。
砂漠の中にこんな綺麗な屋敷が建っているという異質さもだけど、特に庭園の石像が。
相手はバジリスクだ。
人蛮問わず芸人やらを屋敷に呼んでいるとも言っていた。
・・・まさかな?
私の思い過ごしであってくれ。
>「......エレミア......お前か?」
>「ええ、エレミアです......お父様......」
門に取り付けられた魔動機越しにエレミアが会話を始める。
相手が父親・・・今回のターゲットか。
その会話は親子の会話というには酷く淡白で、エレミアと父親の間にある溝はとても深いものだと、そう感じた。
エレミアが会話を終えると門はひとりでに開いた。
その中から白い何かが飛び出してきて一瞬身構えるが、すぐにエレミアの言っていたコボルドだと理解して、警戒を解く。
ああ、確かにかわいい顔してるなこいつ。
人懐っこそうな感じだし、こいつは気にする必要なさそうだ。
話しかけられたら適当に応対して、もしこちらに牙を剥くなら迷わず殺す。
それでいい。
エレミアが荷物の話をするとバルレは深々と頭を下げて、私達が着替えた建物へと走って行った。
・・・なかなかいい子だな。
>「武器や道具についてはバルレにお任せして。
お父様にお会いしましょうか。
――入ってすぐの部屋よ」
さていよいよか。
覚悟位は決めておこう。
------PL
蛮族相手には非常にドライなキリエさん。
かと思いきやコボルドが思ったより可愛くて若干キャラがブレてしまったの巻き。
扉の鍵は特に手出ししません。
見識判定も技能無いのでパスでお願いします。