怖いです
>「昔は建物だけでなく空気――雰囲気も立派だったのよ。
> ......人族の貴方たちにはちょっと微妙かもしれないけど。
> 今はただただ綺麗な建物があるだけ。
> なんていうか――虚しいわね」
......建物だけ、エレミアさんにはここはかつての幸せの抜け殻にしか見えないのだろう。
気持ちは分からないでも無いが、蛮族の価値観までは理解は簡単には出来ないだろう。
中もかなり綺麗だ。バレルが日頃から入念に掃除しているのだろう......広さが広さなので素直に感心した。
シャンデリアや価値のありそうな美術品には実際に興味があるが、それと同時にこの場の様子を映す魔動機が無いかを確認する。
それと、エレミアさんの言っていた『虚しさ』が、理解できた。不気味なほどの静寂、綺麗な建物だけと言うのはこの事だろう。
ついでにここまで静かでは、暗殺の選択肢は難しいだろう。
>「謁見の間、父はこの中よ。
> 扉を開けるわね......大丈夫いきなり魔法が飛んできたり睨まれたりはしないから。
> ただ、そうね......最初の挨拶については必要以上に話さないほうがいいと思うわ。
> 貴方たちには衣装を着てもらってはいるけど、変なところからボロが出るかもしれないでしょう?
> ――それに、別に父と長々と話す必要なんて更々ないわ」
そもそも、父親を殺すために僕達を雇ったのだ。仲直りをするつもりなど、エレミアさんには無いのだろう。
だからこそ、エレミアさんの母親とティムと言う人物が気になる。モノマニアかエレミアさんに聞くのが手っ取り早いだろうが、前者は危険性が高く、後者は多くは語らないだろう。
バレルにそれとなく聞いてみるか。
「お初にお目に掛かります。
シオンと申します」
モノマニアの悪寒の感じる品定めの後、自己紹介をする。
この先は問いに対して答えるつもりだが、エレミアさんから早々に話を切り上げ始めた。
>「そうだ、エレミアとご客人の方々よ。
> 去り際に申し訳ないが一つ聞いておきたいことが」
戻ろうとした際、モノマニアから声が掛かり、足を止める。
>「――私が......怖いか?」
少々意外な質問だった。
試しているのか、探りを入れているのか、単純にこちらを気遣っているのか......
「会って間もないの方に言うのは失礼とは思いますが、正直に言いますと、怖いです」
これは僕の素直な感想だが、正確には予想していたのよりは怖くは無い。
もっと高圧的な態度を予想していたが、それでも十分に怖い。
エレミアさんに続いて、謁見の間を後にして、自然と詰まっていた呼吸が楽になった。
>「あたしは"部屋で休ませてもらうこと"にするわ。
> 貴方たちはこれからどうする?
> なんならお屋敷を歩いてもいいわよ。
> ただくれぐれも"お父様に迷惑をかけない"ようにね」
「自分は少し、屋敷を見て回りたいですね。
屋敷や美術品にも興味はあります。
バレルさんをお借りしてもいいでしょうか?」
バレルさんに屋敷を案内して貰いつつ、モノマニアの背景を探ってみるか。
甘いとは思うが......出来るなら、あまり人族に干渉しないで、仲をどうにかしたい。
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平山です。
行動はバレルに屋敷を案内して貰う感じでお願いします。
駄目なら入っては行けない場所だけ聞いて、そこ意外を回る予定です。