悔いのない選択を
>「父さん......痛かったかしら。
当然よね、あんだけいろいろやったんだから。
もう許してなんてもらえないでしょうね」
動かないモノマニアにエレミアは語る。
さっきまで命のやり取りをしていた相手に向けるとは思えない口調でだ。
>「ねえ、キリエ......シオン。
もしあたしが父さんを殺さないって言ったら怒る?」
ゆっくりと振り返ったエレミアに問いかけられた。
まだ悩んでいるのか、それともただの冗談か、本心は分からない。
「・・・怒りゃしないよ。
さっきも言ったけど、こっから先はあんたの役目だ、生かすも殺すも、好きにすりゃあいい。
おれはそれを見届けるだけだよ。
ただな・・・」
煙草の煙を一息に吐き出し、続ける。
「あんたの大切な人・・・ティム・ルーヴルの所に行こうなんて考えるなよ?」
一言だけ、釘を刺しておく。
ここから先は少し憶測、というか完全に勘だけど。
依頼を受けたときにエレミアが口走ったティムという名前。
それとエレミアの部屋に飾ってあった、エレミア自身の肖像画に書かれていたT・ルーヴルという名前。
おそらくこいつは同一人物で、エレミアの大切な人・・・恋人か何かだったんだろう。
ティムは本名なのか愛称なのかは分からないけど、それはとりあえず置いておいて。
復讐が成されたら。
成し遂げた本人はどうするのか、考えていた。
復讐を成し遂げた先にあるのは、喜びか、満足感か、それとも別の何かなのか。
人によって違いはあるんだと思う。
けど、もし、私だったら、後に残るのは『虚無感』だ。
殺してしまいたいほどに憎んで、自分を突き動かした相手はもう居ない。
周囲の人々に褒められ、称えられるような事でもない。
ましてや、奪われた大切な人が喜んでくれるか、それとも怒るのかなんて分かるわけがない。
一時の満足感が去った後に残る埋められない虚無感。
その虚無感や寂しさに耐えかねて・・・ってヤツだ。
「おれに止める権利は無いけど、な。
まだ悩んでるなら思いっ切り悩むといいさ。
・・・一度きりの人生だ、後悔だけはしたくない、だろ?」
『その感情に身を委ねろ、お前だけの物だ。決して手放すな。人生で1度切りのチャンスだ。』
ふとそんな言葉が思い浮かんだ。
私が冒険者になるきっかけになった本。
私が憧れた、かつての英雄(自称)が遺した言葉。
少し違うような気もするけど、エレミアも今、その『人生で一度きりのチャンス』ってやつが目の前にあって、そいつをどうしたいか、身を委ねる何かを必死に探してるんじゃないかなって、そう思った。
------PL
戦闘おつかれさまでした!
いやあ一時はどうなる事かと思いました。
平山さん、壁役お疲れ様です。
おかげで安心して行動できました。本当にありがとうございます。
さて、今回のキリエの行動ですが、エレミアに任せる、もっと細かく言うと、エレミアに本当に後悔のない選択をさせる、で行こうと思います。
これ以上はこっちから手は出しません。
後追いを止めるのは本心だと思います。
あと依頼人に死なれたら報酬g(黙れ
何はともあれ、お疲れ様でした。
エンディングまであと少し、精一杯楽しんで行こうと思います。