【F-1-2】砂漠からの手紙
ある日の火竜の手羽先亭の朝。
キリエとシオンはナゴーヤに呼び出された。
二人宛に手紙が届いているようだ。
差出人の名前は――エレミア・バルカロール。
砂漠での依頼を終えてから久しぶりに聞いたことだろう。
あの時はエレミアは砂漠の家に残ることになった。
報酬相当品として宝石類を受け取って、キリエとシオンはルキスラに帰ったのだ。
* * *
『キリエ、そしてシオンへ
元気でやってるかしら?
あたしは......元気でやっています。
あの日キリエがあたしに後悔するなって言葉をかけてくれたこと。
あの日シオンがあたしにじっくり考えるといいって教えてくれたこと。
――あたしとっても感謝しているわ。
もし二人がいなければ、いろんなものを失っていたかもしれないわね。
思い出も、あたし自身も、父さんも......それに――彼も。
ううん、他にもこうして貴方たちに笑顔で手紙を書く事なんてきっとできなかった。
......本当にありがとう。
あたしは当分の間ルキスラには戻らないでずっとこっちで暮らしていくつもりだわ。
砂漠のど真ん中なんて生きていくには大変だけど。
廃墟になっていた街を探したらまだ使える魔動機が見つかったのよ。
昔の仲間たちも顔を見せて手伝ってくれているし。
次二人が来てくれる頃にはきっといい街になっているわ。
だから絶対また会いに来てよね。
シオンとキリエと会った時、あたしは自分の目を見せたでしょう?
後でバレるよりは先に教えた方がいいかと思って言ったんだけど。
――ちょっとだけなんて言われるのか怖かったの。
でも、二人共何も言わなかったでしょう?
ちょっとだけほっとしたわ。
あたし、昔は母さんが誇りで――蛮族であることだって誇りだったわ。
だけど母さんが死んで、少しずつ心が揺らいできた。
そして、父さんからティムの死を告げられたとき、この毒々しい血を呪ったわ。
どうして人間に生まれなかったのかって――母さんのことすらあと少しで嫌いになりそうだった。
そんなあたしだったから......店に依頼を出した。
父さんを殺して欲しかった――あたしを蛮族という柱に縛り付ける最大の楔を壊して欲しかった。
......そして、貴方たちに出会ったわ。
あたしは今あたしのことを誇りに思っているわ。
蛮族とか人族とかそういったものは関係なくて......。
あたし自身のことを、誇りに思っているの。
母さんの娘であるあたしを、仕方ないから父さんの娘であるあたしをね。
勿論貴方たちもあたしにとっての誇りよ。
だからこれからも頑張ってあたしのところまで話が聞こえるくらい立派な冒険者になってちょうだい。
あたしはずっと待っているわ。
またいつか会いましょう。
――追伸
貴方たちに着せた衣装だけどせっかく似合ってるんだから自分のものにしてもいいわよ。
......愛をこめて。
エレミアより』
* * *
手紙を読み終えた後もまだ日は高い。
キリエとシオンの一日がまた始まる。
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あんみつ@GMより
こちらエピローグになっております。
実質は手紙が来ているだけのシーンですが。
砂漠からの帰還は何の問題もなく完了しております。
描写されていないところはご自由に描写されても構いません(*´∀`*)
この記事に何らかのアクションを起こす記事を投稿して頂ければ解放といたします。
投稿がない場合も1週間後に強制的に解放処理を行います。
報酬については別途冒険の募集欄にまとめておきますのでご参照ください。
この度は本セッションにご参加いただきありがとうございました!
あと一個おまけを用意します。