麗しき白百合
私の演奏を気に入って頂けたのか、エール様の頬がほころぶ。
(あぁ素晴らしいな)
私は達成感に浸り思う。
その静かな微笑みは正しく朝露が咲き誇る華の花弁から零れ落ちるが如き光を放っていた。
そして彼女は柔らかな雰囲気のまま此方に話しかける。
『グランド・フェザーと祀られし自由の神ル=ロウド様の関係についてお知りになりたいのですね。
魔剣グランド・フェザーは名の失われた魔剣を模倣して創造されたものです。
この元となった魔剣はかつてル=ロウド様が我々人の子に授けたものだと言われていますわね。
そもそもグランド・フェザー自体もル=ロウド様を祀る祭儀の道具として本来は作られたそうですわ。
それが幾度の文明の発展と衰退を減る中でザルツの地において迷宮を構成するまでに至ったのです。
今、ヴァーミリオン様がいるこの翼持てる者の王国こそ――その迷宮ですわ』
成る程、グランド・フェザーは祭具として創られたのか。
私は彼女の話しに納得する。
この世界は何処かただ敵を倒すために創られた魔剣の迷宮とは思えない優しさがあると感じていた。
元々が神への祈りを届ける祭具が創った世界だからこそ、ここは優しいのだ。
私が頷くのを見た彼女はそれを見て話しを再開する。
此方に気も配れるとは...これが大和撫子と言うものか。
『この世界についてお知りになりたいのですね?
神殿を中心として様々な方角に古き歴史を残した場所はございますわ。
例えば、山に......森に、そして谷に。
ただそうですわね、遺跡のような場所がご希望なのでしたら......。
この神殿の北東には雷雲が常に留まり続けている丘がありますの。
そこには天高く伸びる塔がありますわね。
ただ、あそこはお一人で行くには危険かしら?
他にもこの神殿の西には彼方まで続く雲海が広がっておりますが......。
そこに宙に浮かぶ遺跡を見たという方もいらっしゃいますわね』
彼女の言葉に悩みがトツトツと音をたてて私の中にやって来る。
雷の塔に行くには戦力が足りず、雲海に行くには翼がない。
現状の私ではその二つを調べることが出来ないっ!
悔しさと口惜しさに苦悶が満ち、表情が歪むのを感じた。
それを止める事が出来ない。
あぁ何と言う事だ!この様な宝を目の前にして指を咥えていろとでも言うのか神よ!
私の理不尽な怒りを感じたのか救いは直ぐにやって来た。
『それともこの神殿をお調べになりたいかしら?
この神殿の地下には当時の遺産が残されているという言い伝えがございますわ。
そう......グランド・フェザーの模造品などがですわね。
ちなみに記録に残すのはご自由にどうぞ』
電流が体を走り抜ける!
そうか!この神殿の地下にも調べるべき歴史はある!
私の悩みに答えを直ぐさま授けてくれる彼女は、ル=ロウドが私に遣わした天使の様だ。
「ありがとう!エール様、ル=ロウドが遣わした天使よ!
私は貴女の言葉に寄り迷いを断ち切り、進む事が出来る。
ところで、エール様は地下の遺跡について詳しいのだろうか?
もし宜しければ、私に貴女と共にル=ロウドの神秘に触れる栄誉を与えて欲しい。」
私は彼女の前に恭しく膝をつき、その輝かしい顔を覗き込み熱を吐く様に言った。
「貴女のお父様は悪い人だ...。
何故なら夜空から一等輝く星を盗み出し貴女の瞳にしたのだから。
エール様、貴女の瞳は星ように輝き、貴女の髪は太陽のように煌めく。
貴女の前に来てからというもの、私は空にも上がる様な気持ちだ。
だから、貴女の手で此処から飛び立たない様に捕まえて欲しい」
私は流れ出る賛辞を述べた後に一呼吸置いて、微笑み手を差し出して続けた。
「如何でしょうか?
宜しければこの手をお取り下さい」
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PLめぐりです。今回もよろしくお願いします。
さあ!かかって来いよ、あんみつ。
恥じらいなんか捨ててかかってこい!
因みに私はそんなモノ投げ捨てた!
そう!暫く私はスーパー口説きモードだ!