【B-1-2】空の泳ぎ手
青空の湖に着水したサミュエルはまるで空を飛んでいるかのように騎士まで泳いでいく。
軍隊仕込みの泳法はタビットでありながら力強くスムーズである。
――ちなみにサミュエルが乗ってきた航空機は北方へと飛んでいったようだ。
少なくとも湖のそばに墜落しているということはない。
* * *
岸辺から見るとまるで上にも下にも空があるようだ。
ただ一つの違いとしては頭上には太陽が照っているのに対し、
湖に映る空にはその光源たる者が見えないことだ。
単純に空の様子を反射しているというわけではないのかもしれない。
航空機に載せていたはずのサミュエルの荷物はどこにもない。
今サミュエルのもとにあるのは、身につけていた武器などだけ。
――そんなサミュエルの耳が何かに反応した......かもしれない。
タビットに備わっている種族としての特徴――第六感。
それはちょっとした異変だって気づくことができるのだ。
もっとも軍人としての修行も積んでいるサミュエルはそんなものがなくて気づくだろうか
。
湖の水面が揺れている。
ゆらゆらと輪が広がっていく。
湖面の白雲が離れて青空が見えていく。
――その中から上がる水しぶき。
それは勢いよくサミュエルに襲いかかってくることは......なかった。
「急に上から落ちてきたからびっくりしたぞ。
――こいつはあんたのか?」
浮かび上がってきたのは金髪で黒い肌のエルフ......海エルフだろうか。
そんな彼が抱えてきたのは、サミュエルの荷物だった。
* * *
「あんたもここに迷い込んじまったのか?
俺もついひと月くらい前からここに来ちゃってさ。
まあ水も空気も風も綺麗でいいところだけどな」
エルフという種族柄もあり全体的なシルエットはすらりとしているものの。
色黒の彼の肌はなかなか鍛えられているようで逞しい。
「一応帰る方法はあるんだよ。
ここからちょうど北西の方角にあるル=ロウドの神殿。
そこにいる巫女の力を借りれば出れるんだぜ。
――この魔剣の迷宮からな」
エルフ曰くこの世界は魔剣の迷宮なのであるそうだ。
サミュエルが上空で受けた衝撃は迷宮へと入った際のものだったのかもしれない。
「でも、俺はせっかくだから俺なりの方法で脱出したいんだよね。
気楽に自由にこの世界を楽しみながらさ。
誰かに与えてもらう自由なんてごめんだね。
自由なんてさ、自分で勝ち取るもんだろ......な?
――えっと、名前わかんねえや。
あんたの名前教えてくれよ。
ちなみに俺はラリマーっつうんだ」
短い金髪をいじりながら男は自らの名を語る。
そういえば裸の上半身に首から提げられている飾りは鳥のモチーフだ。
ル=ロウドの象徴である。
「......んで、何話してたっけ。
あ、そうそう俺なりの脱出法なんだけど。
この湖の底って何かある気がしねえか?
こう、冒険者の勘ってやつが騒ぐんだよね」
そう言いながらラリマーは湖の底を覗いてみる。
覗き見れば広がっているのはどこまでも青い空だ。
そこには底はおろか果てすら見受けられない。
「ま、なんもないかもしんないけどさ。
あんたはどうすんの?
神殿に行くんなら俺がちょっと紹介してやるぜ。
二、三回顔を合わせたことはあっからな」
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あんみつ@GMより
海からなにか現れました。
危険感知判定で15以上に成功すればお先に察知することができます。
別に危険でもなんでもないですけど(・∋・)
【NPC:男性】に『ラリマー』を登録しておきます。
ラリマーからサミュエルの荷物を受け取ることができます。
水や衝撃とかダメなものもあるかもしれませんが全て奇跡的なパワーで無事です。
もちろんあえて太さんの方でいくつかのアイテムを使えないようにするのは構いません。
【分類:秘密】に【王国からの脱出法:その1】を登録しておきます。
サミュエルは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の3つです。
・ラリマーに神殿まで送ってもらう(意志を見せる)
・ラリマーと湖に挑戦する(意志を見せる)
・マップ上の別の場所(カ・クのどれか)を訪れる。
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)