【B-2-3】彼女は優しき光の精
>「すーーはーーー、すーーーはーーー、ここは何か空気が美味いな!」
サミュエルは深く息を吸い込んで、空気をよく味わいながらラリマーに語りかける。
「そーだな!
結構いい風が吹いてるみたいで気持ちいいぞ!」
この心地よい風はラリマーににとってもやはり好ましいようだ。
――そんな二人を誘うのは小妖精。
であったはずだが、そんなことはサミュエルにラリマーにもわからず。
ちょっと奇妙な生き物としか思えなかった。
ただ見た目が可愛いからラリマーの好奇心を沸き立たせるには十分だったようで。
「な、なあ......名前なんて言うんだ?
俺はラリマーだ、よろしくな」
そうやって彼女に向けて聞いてみるも。
『何言ってるのか全然わかんない』
あえなく玉砕である。
言語とは極めて高い壁であるのだ。
それでもこの男はへこたれやしない。
>「ラリマー、この奇奇怪怪謎生物について行ってみようじゃないか、君の好きな自由な面白冒険があるかもしれんぞ♪」
「とーぜん、行くっしょ!」
サミュエルの言葉に即答したのも当然なことであった。
* * *
そんな不可思議な生き物が案内していく先をサミュエルとラリマーは追いかけていく。
途中で漂ってくるのは花の香りだろうか。
実に甘ったるく甘党の食欲をそそるものである。
『この花はね......美味しいのよ?』
そう言って目の前で謎の生物が花弁を少し喰む。
次第に表情に広がっていくのは頬がとろけそうな喜び。
再び言葉こそ分からないものの......。
その様子からなんとなく花に害はなく、そして美味そうであると察するはずだ。
サミュエルがその白と黄色の混じりあった花弁を一口入れてみれば。
ほんのりとでもしっかりとした甘さが口中に広がるのを感じるだろう。
「これ、いい感じに甘くて美味しいな!」
ちなみにラリマーは迷わず口にした。
明らかにご満悦である。
* * *
『お友達に紹介してくるね!』
また何か見知らぬ言葉を残したかと思うと、空飛ぶ小さな乙女は向こう側へ消えていく。
代わりに視界に入ってきたのは、花や木々でできた大小様々な家である。
その中の青い花びらでできた小さな家に彼女は消えたらしい。
家からは賑やかな笑い声が聞こえてくる......数人そこにはいるのではないだろうか。
「あら、可愛いお客さん。
それにかっこいいお客さん。
ようこそ、私たちの森へ......遊びに来たのかしら?」
森を訪れたサミュエルとラリマーに声をかけたのは光り輝く肌を持つ裸体の乙女。
その背中には二対の透き通るような羽根が生えている。
自然を愛する光の妖精ニンフである。
二人には都合のいいことに交易共通語を解する妖精である。
「そうさ、ここには遊びに来たんだぜ?
いいところだよな、自由な風が吹き込んできてさ」
ラリマーはサミュエルの最初の目的などつい忘れてしまったらしく。
この場所の空気を満喫しているようだ。
ニンフは二人に向けて優しくほほ笑みかけてくれる。
彼女は全ての存在に対して寛容であると言われる妖精だ。
――きっと力になってくれるだろう。
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あんみつ@GMより
まさかピクシーで自動失敗だなんて!
サミュエルも持ってやがるな!
ということでついていくとこんな感じに。
クリーム色の花びらは食べてもクリーム味です。
毒とかないのでお好きにどうぞ(*´∀`*)
ラリマー勝手に食べてるしね(・∋・)
【ニンフ】について魔物知識判定が可能です。目標値は16/20です。
この場面ではお好きな行動をどうぞ(*´∀`*)