【C-1-3】霊獣と暮らすのは
ケルブの正体を見抜いたティキたちは。
>「追ってみるぞ。穴を調べるのは後でもできる」
一度その後ろを追いかけてみることにしたようだ。
相手の実力はティキたちに比べればたいしたことはない。
もし仕掛けてきたとしても大抵の危機は乗り越えられるだろう。
* * *
ケルブはごつごつした岩場を止まることなく歩んでいく。
こっそりついて行っているわけではない場合でも決して後ろを向くことはない。
単純に気に留めていないのか。
――それともどこかへ案内しているつもりなのか。
結果はそれほど経たずに明らかとされた。
ケルブはどうやら後者であったらしい。
大穴の縁から十数分歩いたかどうかというところ。
岩場のある地点に木造りの小屋があった。
作りたてほやほやというほどではないが。
歴史を感じるというほどでもない。
適度に生活の跡が残るところだった。
小屋の傍にはまた小屋がある。
サイズはだいぶ小さく犬小屋と称されるレベルのものであろうか。
ケルブはその小屋の傍まで近づくと――中に向けて一度吠えた。
そして再度ティキたちには認識できない言葉で話しかける。
――するとどうだろうか。
小屋の窓に巨大な影が映ったかと思うと。
ドアを開いて出てきたのは巨大な姿。
立派な角。
体中を覆う真紅の鱗。
そして背中の立派な翼。
現れたのはドラゴン――ではなくリルドラケンだった。
種族的な特徴故その性や年齢はややわかりにくいところがあるが......。
その堂々たる立ち振る舞いからして――それなりの年齢の男ではないだろうか。
リルドラケンは低い芯のある声でケルブと理解不能な言語で会話した後。
ティキたちのいる場所へとドシンドシンと歩み寄ってくる。
一歩一歩の足取りは極めて力強い。
「ドラゴン......お前はそれに乗ってきたのだな」
ティキに向けて話しかけられただろうその言葉は交易共通語であった。
これならティキにも理解することができるだろう。
「ここは翼持つ者たちが住まう世界でな。
それは勿論儂やドラゴンとて例外ではないのだ」
ここまではティキに向けて。
『そう......お前のような立派な翼を持つ者は時に引き寄せられるのだ。
このグランド・フェザーが作りし世界にな』
こっちはニコデムスに向けてだ。
使われている言葉はドラゴンたちの用いるものである。
「儂は遥か昔にこの世界にやってきて以来留まり続けておるが。
――お前はこの世界の外に出ることを望んでいるか?
そうならば、ル=ロウドの神殿を訪れるとよい。
神殿にいる巫女がお前を安全に出してくれるだろう」
今度はもう一回ティキに聞こえるように。
おそらく両者の関係を察知した結果であろう。
ティキが騎手で、ニコデムスは騎獣であるのだと。
「それともお前はそんな安易な脱出法は望まぬか?
件の魔剣を作り出した者は多様な方法を用意していたという。
例えば、力を託された竜などのような」
リルドラケンの瞳は鋭い。
まるで何かを見定めようとしているようだ。
「神殿へと向かいたいというのならばケルブを使いに出してやろう。
こいつは儂の言うことならば聞くのでな。
――だがもしその謳われし竜に会いたいと願うなら」
口を動かしながらリルドラケンは小屋の方へと歩み寄り。
......扉の前に立った。
「儂の小屋に寄って行くといい。
いつまでも立ち話はなんだろう?
......尤もまだオトナにはなりきれていないとはいえドラゴンを入れる広さはないがな」
そして、その扉を開く。
まずは自分が中に入るために。
そしてもしかしたらティキが入るために。
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あんみつ@GMより
ケルブについて言ったら大穴近くの小屋まで案内されました。
まだ現時点ではリルドラケンは名前を明かしていないので登録はされません。
一応それなりに老齢で男の赤い鱗のリルドラケンです。
ティキは【分類:秘密】の【王国からの脱出法:その1】と、
【王国からの脱出法:その2】を入手します。
【分類:秘密】に【王国からの脱出法:その2】について登録しておきます。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の4つです。
・大穴の中へ入る
・小屋の中へ入る
・ル=ロウドの神殿への案内を頼む
・マップ上の別の場所(イ・エのどれか)を訪れる
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)