先達の助けを受けて
ラドンと名乗ったリルドラケン。その小屋に足を踏み入れて、まず目に入ったのは巨大な竜の図だった。かなり大きい、レッサードラゴン......いや、グレータードラゴンだろうか。
>『あの大穴の最奥にはドラゴンが一匹いる。
2000年近い時を生きた巨大な竜だ。
この世界が生まれた時からいるという噂だ』
そう語るラドンの視線も、その竜の絵にあった。
話を聞けば、かの竜はあの穴の最奥に住んでおり、また穴の中には竜や、竜のような魔物がひしめいているらしい。
『私もそれなりに腕に覚えはあるが......厳しそうだな』
フィルギャのほうへ目をやると、黙って首を横に振った。
「......だが手段がないでもないか。時間はかかるが契約を組み替えて、光と風の魔法で姿と音を消して......匂いはニコデムスの唾液か何かを塗りたくれば......」
厳しい現実を言い渡されても、大人しく帰ろうなどという気は全くなかった。頭をひねりながらぶつぶつと呟く私を見てか、ラドンは言う。
>『それでもあそこへ潜ろうというのだろう?
――ああ、答えを言う必要はない。
お前の目を見ればわかるのでな』
彼は続けて穴のルールと、「竜の加護」―竜と同等の存在を得る奇跡について教えてくれた。先の話にも出てきた神殿の巫女、それを頼れば穴の奥を目指す助けになるのだ。
そこまで話すとラドンは立ち上がり、壁の袋から象牙のようなものを取り出した。私はすぐに、それが象でなく竜の者であるとわかった。しかもかなり立派で、若い竜のそれとはものが違う。
>『竜の加護を受ける儀式に必要なものだ......持っていくがいい。
巫女のいる神殿に向かうには久遠の雲海か鳥王の霊山を超えていく必要があるが......。
特に拘りがないのならば雲海を飛んでいくがいい。
――無意味に命は落としたくはないであろう?』
「......。」
彼から古龍の牙を受け取る。その後居住まいを正し、ラドンに最敬礼をした。
『数々の力添え、痛み入る。こんなものしかないが、せめてもの感謝の印として受け取ってほしい』
道具袋の中から、酒の種の詰まった袋を取り出す。本当にこんなものしかないが、これでも私の趣味で質の良いものを選りすぐって購入したものだ。
そして、一つ浮かんだ疑問を口にする。
『なぜ、見ず知らずの私にここまで......?』
* * *
小屋の前。
ニコデムスに跨り、武装を整え、出発の準備を完了させた。
フィルギャは話の間に魔法の効果時間が切れて元の場所へ帰ってしまっていたため、他の妖精に警戒に当たらせることにした。
触れた宝石は、深紅に輝くガーネット。
《―古き友よ、我が召喚に応えて出でよ。門を潜りて我に聘せよ》
他のよりも少し堅苦しく難解な詠唱ののち、その名を叫ぶ。
《来い―「イフリート!」》
開門と同時に炎と光があふれ出し、頭上を覆う。それは瞬く間に巨人の形を成し、私達へ影を落とした。
《お前も久しぶりだな。調子はどうだ?》
《......うむ、良好である。我に任せよ》
イフリート。火山に住む、炎を纏う巨人の妖精だ。
ラドンに負けず劣らず赤いその巨躯と炎のごとく揺らめく黄金の体毛は、強い熱気と圧倒的な存在感を放っている。
召喚の成功を確認して、ラドンの方へ向き直る。
『本当に、世話になった。では』
若い竜と巨大な火の精を従え、私は飛び立った。
目指すは神殿。そして竜の棲む大穴だ。
PL
ラドンさんとちょっとだけお話してから出発します。
フィルギャ引っ込めて念願のイフリート召喚。久遠の雲海を経由して中央の神殿を目指します。
23:38:09 キャスパー@ティキ 魔物知識判定 2d+14 Dice:2D6[5,1]+14=20
01:21:45 キャスパー@ティキ サモンフェアリー 行使 2d+14 Dice:2D6[2,1]+14=17
また間違えました。サモンフェアリーではなくフェアリーウィッシュです。