【C-2-1】空が海で雲は波で
>『数々の力添え、痛み入る。こんなものしかないが、せめてもの感謝の印として受け取ってほしい』
ティキはラドンから古竜の牙を受け取った礼として酒の種を差し出す。
『こいつは......いいものを貰ったものだ。
この世界におる限り、外の世界にしかない酒はそうそう味わえんからな』
ティキが差し出したものをラドンは満足そうに受け取る。
少なくとも完全な社交辞令ではないだろう。
この世界はやはりラクシア自体とは違うのだ。
>『なぜ、見ず知らずの私にここまで......?』
酒の種を棚に仕舞いこんだラドンに対し、ティキはふと浮き上がってきた疑問をこぼす。
ただ道を教えるくらいなら、まあ多少の人はやるかもしれない。
だが、貴重であろう古竜の牙を初対面の人物に渡す者はそうそういまい。
――ならば、ラドンにはラドンの理由があるということだろう。
『お前のためではない......友のためだ。
偉大だが孤独な友は、少なからず刺激を求めている。
この世界が幾ら自由であっても、膨大な時間の中では飽きてしまうものだろう。
ましてあの穴の中ではな』
そう言ってラドンが目を遣った先にいるのは、描かれしドラゴン。
『これまで長い間いろいろなものを見てきた。
儂は......お前の中に可能性を見たのだ。
できれば奴を満足させてやってくれ』
ラドンはそう言って、口を開くことはなかった。
* * *
小屋を出たティキはニコデムスに跨り南下する。
進めば進むほど近づいてくるのは白。
一つ一つの綿が幾つにも合わさってまるで大きな布のように。
果てしなく果てしなく先が見えないほどにも雲海は広がっている。
ひたすら飛び続けていれば、ついに真下にあった荒地もなくなり、どこまでも雲の上だ。
青と白の交わる世界を駆け抜けてくこの爽快感。
光と風に包まれる感触。
空を飛べなければ味わうことのできないものであろう。
周囲の様子を伺えば、白い雲の海にまるでぷかぷかと浮かぶように。
宙に浮いた島がところどころに見えるだろう。
飾り気のないゴツゴツとしたもの。
一面に緑や花々が広がるもの。
まるで滝のように水が流れ落ちているもの。
島の様子については非常にバラエティー豊かである。
他にも雲海には幾つか穴開いており。
まるで渦のように巻かれた雲の先に青い空が見える。
この雲の海の向こう側にも何かがあるのだろうか。
ティキが目指していた神殿は東の方角のようだ。
石造りの荘厳な雰囲気を漂わせる建物が見える。
ちなみに南には森が広がっているようだ。
妖精たちはなんとなく懐かしさを覚えるかもしれない。
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あんみつ@GMより
ラドンからちょこっとお返しです。
大穴から離れたのでカテゴリを移動させました。
これからはこちらに投稿くださいね!
ティキは現在その【エ:久遠の雲海】に移動しています。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の5つです。
・【ア:竜の大口】に戻る
・【オ:自由の神殿】を訪れる
・【キ:風精の森】を目指す
・空に浮かぶ島々を訪ねる
・雲の下の方まで飛んでみる
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)
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