永遠の竜
私の心は、どうやら伝わった。そして、ニコデムスの心も。奴は、無垢な心のままに聞いたのではない。相手の心情を理解したうえで、それでも恐れずあの言葉を口にしたのだ。
お前は強い。嬉しく思うぞ、ニコデムス。
>『人の姿を取った若き竜よ。
お前たちの心の強さ、しかと見届けたぞ。
世界と世界を超えて羽ばたくに十分すぎる力がある。
好きにこの境界の穴をくぐり抜けるがいい』
竜は私達に穴をくぐることをことを許した。つまり資格をえた、そういうことだろう。
>『ただ強き心を持つお前たちに私からひとつだけ望みがある』
『望み?』
>『私だけではない。
この世界全てを解放して欲しい。
偽りの狭い空ではなく、真実のどこまでも続く空を飛べるように』
竜の語る言葉を、ただ黙って聞いた。竜も、解き放たれたいのだ。そして竜だけでなく、この世界も―
>『それはお前と相棒だけでは叶えられぬ夢だろう。
だがお前たちには強い心を持ち自由を愛する仲間たちがいるはずだ。
自由とは独りで全てを享受できるものではない。
個々の力では必ずどこかに限界がある。
幾人かで求めることで――真の自由に到れるのだ』>『私は世界が終わるその時までこの地で待ち続けよう。
例えお前に世界の開放が果たせなくとも。
お前の志を次ぐ者が叶えてくれることを信じて。
しかし、それ以上に私はいつまでも待っている。
お前が真の自由を世界に齎す日を』
『ああ、私が成す』
聞き終えて、静かに私は返した。そして、それ以上は言う必要がない。今なら、かの竜には私がどういう人物か、わかっている気がした。
そしてついに、翼を広げる。次いでニコデムスも私にならい、羽ばたき始める。穴をくぐる直前になって、竜を振り返り声をかける。
『帰る前に、ひとつ聞いてもらおう。この世界から出ることよりも大事な、私の望みだ』
『......そして、おれの望み』
『私たちがあなたを友と呼ぶこと。そしてあなたが私たちを友と呼ぶことを許しー』
『名前。あるなら、教えてほしい』
『では。―また会おう』
穴へ飛び込むと、そこには見慣れた景色、見慣れた空が広がっている。この景色も、私は覚えている。
明日にはこの翼は、夢のごとく消えていることだろう。
だが構わない。関係ない。
これから何を失おうとも、私は誇り高き竜であり続ける。あなたがそう言ってくれたのだ。
跡も残さず消えた境界へ向かって、また会おうともう一度、今度は心の中で言う。
背中にこの翼の感覚を刻み付けるように、強く強く羽ばたく。
ルキスラへ。今の私の帰る場所へ。
王国への再突入。まだ見ぬ風景。さまざまな想像が、浮かんでは流れていく。
恐怖は無い。どこへも行ける。どこまでも行ける!
世界を巡る心の翼で!
PL
最後の投稿です!ティキの本当の望みと、ニコデムスの望みを入れました。
今回、最初っから最後までかっこつけっぱなしでした。
でもまあ相応に失敗もできてよかったです。
前半は主に妖精、後半は騎龍とのつながりをたくさんかけて大満足。とくに竜とのやりとりで、ティキの根幹をしっかり固められた気がします。
素敵なセッションをありがとうございました。
剣のかけら
23:09:09 キャスパー@ティキ 剣のかけら9個 9d
Dice:9D6[1,1,1,1,2,2,6,6,2]=22