ブラックロイヤル~コメディへの挑戦

 グレース(コルチョネーラ) [2016/02/11 10:45:46] 
 

>「なら助けるべきかな。リーダがいるから先に潰そうか」

ラキアスが剣を抜く。

「ぜひ。そうしてください。」

>「まあいいか、僕も戦いが好きなわけではないですし。
君たちが戦ってくれるというのであれば任せます。
女性を危険な目に遭わせるのは好ましくないのですが......」

白馬にまたがった男性は、僕らに戦いの場を譲るようだ。

「では、下がってお待ちください。」

僕は、彼の前に出て、まず馬の足を狙っていた狼に松明を突きつける。
この程度なら追い払えるだろう。


>「ヒャッハー!獲物だー!!」


ラキアスは喜々として闘っている。
何かに打ち込んでいる姿は美しい。そう形容してもおかしくないほど
鮮やかに、そして容赦なくボスを屠り、統制のなくなった狼達を徐々に潰していく。
しかし、彼女はそれで満足できるだろうか?


>「素晴らしい......実に素晴らしい身のこなしでした。
 月のように美しくも強い心を持つ貴女。
 もしよければ僕の城に住みませんか?」


彼はラキアスを称賛する。
どうやらハートに火がついてしまったようだ。


>「ああ、僕としたことがついうっかりと。
 名前を明かさぬままこんな事を話すなんてあまりにも不躾でしたね。
 僕の名前はレタス・ザラート......南の城の王子です。
 美しいお嬢さん、貴女のお名前を伺ってもいいですか?」


予想通りの王子が登場。
口説きモードに突入している。
王子は一目惚れの天才か?


>「ラキアス・アルフレッドと申します。素敵なお誘い有難うございます。お気持ちだけ受け取ります。それにレタス様にはもっと綺麗な女性に訪れますよ。」


これは正論。
王子だけに縁談が来ていないはずがない。
まさか全部断っているのか?


>「レタス様見たところ護身の心得はお持ちのようですが、お手合わせ願えませんか?」


「ちょっと待った。」

戦いを好まない王子なら護衛はつけるはずだ。
要らないほどの腕前だとラキアスは思ったらしい。


まともに相手したら絵本的にまずいことに。
護衛がいないのには理由がある。


「もしかして、王宮でも人員削減をされているのでしょうか。
過剰な人員削減は組織のブラック化につながりますよ?」


・・・・すべった?・・うん。すべった。
僕にコメディ狙わせちゃダメだろう。


エリックさん、これ、削除になりますよね?

* * * * * * *


「僕らは冒険者です。グレースと申します。実は別世界から飛ばされてきました。
仲間があと二人います。」


改めて王子に自己紹介をする。

「彼女は、本質的に冒険者という職業が好きなんですよ。
常に新しいものに興味を示し、追及していくのです。
お城にも興味はあるかもしれませんが、いずれ興味は他に向いてしまいます。
彼女の好奇心は誰にも止めることができないのです。」


ラキアスの幸福のスタイルは一般女性と乖離しているのかもしれない。


「世の女性は安定を望みます。王子のような人との結婚を夢見る女性は
たくさんいらっしゃるでしょう。王子の存在は女性の幸福そのものなんです。」

読む人に夢を与えるのが絵本の役目というのなら。女性の夢は白馬に乗った王子様というのがもはや代名詞となっている。

そんな相手が自分に投影される主人公の女性をあっという間に好きになってしまうというのも、絵本の世界では仕様なのかもしれない。


「彼女から剣技を学びたい、と仰るのでしたら彼女は快く引き受けるでしょう。
しかし、女性としてお招きされるのでしたら、お勧めはいたしません。」

ここまで言えば納得されるだろう。


* * * * *


>「そういえば、貴女たちはどこへ向かっているんですか?」
王子の問いにラキアスはこう答える。

>「ええと、この先にある塔に向かおうとしています。」

ラキアスは好奇心先行でこう答えたかもしれない。
城や村に比べたら、塔のほうが好奇心を抱きやすい。


>「実は僕はあそこの塔を目指していましてね。
 城の神官にして予言者なる人物曰く――麗しい長い髪の女性が閉じ込められているとか。
 そんな可憐な乙女をこんな森の中に居させるわけにはいかないですよね?
 だから......僕は彼女を救いに来たんです」

単純に救いに来た、というのなら護衛はいた方がいいが、婚活も兼ねているのなら、連れていけないだろう。


>「監禁でしょうか?行き先が同じならご一緒にいかがですか?私達も今からその塔に向かうところでしてどうですか?」


何かが僕の中で繋がった。

「それですね。」

僕は遮るように話を続ける。

「僕らが王子の側に意図的に飛ばされた、というのであれば、姫様のもとに仲間が飛ばされた可能性は高いです。
その塔の中の女性が王子にとって理想のお相手であれば、お姫様になるわけですよね?
ぜひ救いに参りましょう。」

アルフさんとシィノさん。二人は待っているかもしれない。

「あ・・・」

そうか。僕の推理が間違っていないなら、アルフさんは彼女といい雰囲気になっている可能性もあるわけか。
でも、シィノさんが側にいたらまともには口説けないだろう。頭の中は色々な憶測が交錯する。

僕らは塔に向かって歩き出した。途中、雑談をしながら歩いていて、ふとラキアスの手を取り、眺める。

不思議に思った彼女にこう言うだろう。

「時期尚早かと思っていましたけど、やっぱり指輪の一つでもお作りするべきでした。
ピアスを片方づつでもいいですけどね。考えておきます。」

少しだけ微笑んだ。

ナンパも嬉しい反面、断るのに神経を使うと思う。
こういうのを用意しておかなかったのは僕の責任でもあると思った。

* * * *

ブラック企業に勤務しているコルチョネーラです。

内輪ネタですが、コメディ狙いしてみました。
難しいですね。テンポが重要なので描写はかなり省きましたよ。

グレースのキャラだと社会、経済、政治ネタとかを絡めないとコメディできないですw
方向性としては爆○問題系ですね。
学生さんには不評ですよね(笑)


追記でほろりとさせてみたよ。


童話の王子様って一目惚れの天才なんですよね。会ってすぐ結婚とか当たり前。
すっかり失念していましたね。ちゃんとナンパ対策してなかったなぁ。