優しさが裏目か?
僕とラキアスは塔の周りを叩いたりして調べていると。
ラキアスがとある箇所で何かに気がついたようだ。
それは、僕にも解った。
「明らかにここは音がおかしいんですよね。お気づきになりましたか。」
この下に何かある、ということだ。
「どうやらラキアスの見立てのほうが、正しかったかもしれません。あの塔ですが、入口が上だけということになりますと、上から攻められた時に逃げる場所が無いんです。
だから、地下から通路を経由して、少し離れた場所から出られるような秘密の通路があったとしても不思議じゃないですね。」
上から攻めるというのがありえない、と思うかもしれない。
「それは人とは限りません。上で火災が起きたらという場合だってありますよ?」
* * * * * *
王子は、僕と話している分には申し分の無い好青年だ。
僕の問いかけに関しては、礼儀正しいだけではなく、爽やかで気品を伴った答えをする。
しかし、ラキアスに...いや、恐らく女性に対してはどうだろう。
>「貴女のような素敵な女性に護衛をして貰えるなんて。これほど王子に生まれてよかったと思う日はありませんでした」
何というか、最初からギアがトップに入ってしまうのだ。
こういう言葉を効果的に使えないというか、最初から必殺技を出してしまう感というか。
女性のニーズである「ソフトな対応」というのが女性にできない。
僕に対してやっていたような感じでいたほうがずっとモテるはずなのに、
何とも勿体ない。
>「美しい太陽のように艷やかで輝く髪ですね。
きっとこの髪の持ち主も朗らかで麗しい方でしょう」
「そうですね。予言者の言われていることが正しいのであれば麗しい方で間違いなさそうですし。」
容姿は裏切られないかもしれない。ただ閉鎖的な環境に閉じ込められているとすると、
朗らかかどうかは微妙だ。コミュニケーション能力的に不安なものがあるからだ。
でもまてよ。これだけポジティブで積極的な王子様なら寧ろ相性は悪くないかも。
初対面の女性には引かれる可能性すらある彼も、そういう閉鎖的な環境の女性なら話は別かもれない。
「なるほど、うまくできたものですね。」
これだけ聞いていたらきっとわからないだろうが、ぽつりと呟いた。
運命出会いとは、きっとこういうことを言うんだと思う。
* * * *
ラキアスは頭上から何かを聞きとったようだ。
残念ながら僕には風の音しか聞こえなかったが。
「アルフさんの歌なのですか?そうしますと、少なくとも危険な状態ではなさそうですね。」
髪の長い女性と、アルフさんがいる。
「では、僕は登らずに待機することにいたします。どちらにしてもそこに長居はできないでしょう?
それに上り下りをするには、髪の毛に捕まらないとけないのですし、
危険な状態でないのなら、最小限にしないと、髪の持ち主に負担になってしまいますから。」
僕は何よりも、長髪の女性の負担の軽減が第一と考えた。
そりゃあ、彼女に会った時の王子の反応はすごく見てみたい。
アルフさんとも話がしてみたい。
でも、そういう緊急性に欠ける理由で、登るべきではないと思ったのだ。
それに・・・・
たぶん、誰かのために外に垂らしてある。
つまり、その「誰か」。恐らく閉じ込めた相手が来るとなると、不法侵入している僕らは立場が悪くなるだろう。
僕は青いバンダナを広げた。
「来訪者が来たら、これを振りますから、対応してくださいね。
王子の馬は、できれば隠すか、帰還させたほうがいいでしょう。
ロープは、念のためお渡ししておきます。」
* * * * * * *
コルチョネーラです
登る前に、ラキアスさんからアルフさんの情報が得られると思うので、
そしたらグレースは登らずに待機します。
婆さんはいつも決まった時間にしか塔に登らないのかな?
食事の時間は来るんですよね? 聞いておいてくださると助かります。
誰かくるかもと予想しているので、来訪者の目につかない所で待機し、
来訪者が見えたら、裏に回って合図を送り、
さらに来訪者の来なさそうな所まで行って再待機です。
女性に優しい性格がちょっと裏目?
グレースはやっぱり「女性の髪をつかんで登る」というのに抵抗があるんですよね。
緊急性があればやむなしでしたけど、そうでないならできるだけ避けたい。
降りる時も掴まないといけないと思ったら登らない方がいいと思ったようです。
12:40:46 コルチョ@グレース ≫ 構造解析 2d6+7 <Dice:2D6[2,6]+7=15>
12:41:39 コルチョ@グレース ≫ 聞き耳 2d6+4 <Dice:2D6[3,1]+4=8>