【C-1-2】塔を降りて
>「今は確かお昼近かったようななら、急いだほうがよさそうです。ラプンツェルさん今すぐ必要なものだけを持って準備をお願いします。アルフはその手伝い。出来れば髪を結んでまとめてあげてね。
> 私はグレースさんを呼んでくるよ。下に見張りとしているから」
外へ出たいと語るラプンツェルの気持ちに応えようと。
ラキアスはラプンツェルに準備をするように言った。
「私に準備するものなんてないわ。
あるとすれば、お婆さんに置き手紙を残すことくらいかしら。
少し外を見てきます、って」
傍目から見れば監禁されているようにしか見えない彼女であるが。
その行為を行っているだろう老婆のことは強く慕っているようだ。
彼女は監禁されていると同時に大層世話を焼かれているのだろう。
――複雑な関係のようだ。
「僕も手伝いましょう。
貴女をこの様な残酷な檻から出すために」
ラプンツェルの長い髪は逃げるには邪魔だ。
切ることができないのならばせめて少しでも動きやすいように束ねるべきだろう。
王子は極めて優しくラプンツェルの髪を結っていく。
だが、勿論一人では大変な仕事だ。
手が空いているのであれば手伝ってやるのもいいだろう。
そして一方、ラキアスが下へ落とした保存食は......。
* * *
>「・・!!」
グレースの目の前に落ちてきた。
その意味を彼は悟る。
それは上にいる仲間が合図からだ。
――上まで上がってくるように、と。
>「どうやら僕は呼ばれたようです。あなたはお城のお帰りになったほうがいいでしょう。
> 王子のことはご心配なさらず。僕らがお護りしますから。」
グレースはトレビスにそう声をかける。
王子の馬らしくトレビスは極めて賢い馬だ。
グレースの言葉をよく理解し、塔へ来た道を引き返していった。
きっとあのまま城へと向かうことだろう。
トレビスの後ろ姿を見送ってから、グレースは投へと登っていく。
彼が登りきって、ラプンツェルの髪も整え終えれば......。
あとはアルフェイトの見つけた階下へ至る扉を開けるだけだ。
扉には鍵の類はつけられていないようであった。
グレースの推測した通り有事のためのものなのだろう。
開けば階段が見えた。
ここを降りていけばどこへたどり着くのだろうか。
* * *
階段は塔の壁に沿うように緩いカーブを描いている。
その輪が幾重にも螺旋状のように連なり遥か下へと続いている。
階段には手すりが備わっているものの......。
あまり十分な広さがあるわけではなくうっかりすれば転げ落ちてしまうだろう。
「歩きづらいでしょう。
どうぞ、僕の手を......貴女を支えましょう」
レタスがラプンツェルの手を取ってくれるから。
冒険者たちは逆に周囲の様子を伺うことができるだろう。
外側からはわかりにくかったが。
内側から見る限りこの塔は思ったよりも新しいものらしい。
よくて十年程前に作られたというもところだろうか。
そんな塔を下っていくうちに。
位置的には空から森へそして地下へと潜っていく。
地下へ少し潜った頃かというところで階段は終わり。
平面になった空間の上へとたどり着くことができるだろう。
特に熱心に探さなくても壁の一点に扉が見つかるだろう。
鉄製の重そうな扉だ。
こちらの扉には鍵がかけられているらしい。
「この外には何かがあるのかしら?」
「きっと貴女が思い描いている自由がありますよ」
ラプンツェルとレタスはそう言うが。
扉の向こう側には果たして何があるのだろうか。
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あんみつ@GMより
進行ですー!
今度からはグレースもこちらへどうぞ!
扉の鍵を開けるためには解除判定で10を出す必要がございます。
魔法的な手段であれば一発です!
とりあえず場所を動かしただけですが。
なにかございましたらどうぞ!