森の小屋

 グレース(コルチョネーラ) [2016/03/08 08:17:02] 
 

ラプンツェルさんはお婆さんの名前を明かしてくれた。

「ゴーテルさん、と仰るのですね。他に肉親や親せきの方はいらっしゃいますか?
 あ、言いにくいようでしたら無理にはおたずねしませんが。」

普通に娘を持っているのなら、外の世界に触れさせないというのはかなり異常だ。
ゴーテルさんとしては理由はあるのだろうが、普通周りは賛成しないだろう。
他に肉親がいないのだろうが一応聞いてみる。
ご両親のことについては何も聞かされていないのだろうか?


* * * * *


王子は、魔法を使う者に関しては理解があるようだ。
ゴーテルさんがそうだとしても、そういった差別はしないだろう。
問題は、ゴーテルさんが話せる相手かどうか。
少なくとも、僕らは無断でラプンツェルさんを連れ出していることは否めない。

ゴーテルさんが悲しい目をするという「外」という言葉がひっかかる。
彼女の望んでいない方向に、僕らは動いているとするならば覚悟も必要になるのだろう。

それに・・・

当のゴーテルさんがそろそろ異変に気が付いていてもおかしくない頃合いだ。


* * * * *

>「レディーファーストとは言いますが。  僕個人としてはラキアスさんに危ない目に遭ってもらいたくはないですね。  
>鎧も身につけていることですし、僕に先を行かせてはいただけませんか?」

王子はラキアスが先陣でドアを開けることに関して、先に行くことを申し出た。
前に出て戦う能力が喪失している状態でなければ、僕も同じことを言っていただろう。
危険は察知できるが、避けられないのでは足で纏いになってしまう。
回復役を望まれている以上、こういったケースは今後も増えてしまうのだろう。

>「お二人ともご心配いりません。私はこういった危険には慣れております。レタス様はこれから共に歩むお姫様を何があっても守り抜いてください。」

ラキアスが絶妙なフォローを入れる。

「危険にさらされた方をサポートする者もちゃんとおりますからね。」

そういう人を技術的にも精神的にも安心させるのが僕の役目だ。

> 「ラキアスさんが任せて欲しいと仰られるのでしたら。  僕は貴女を見守りましょう」

王子はそういって下がってくれた。

ラキアスに続いて上に上がると、そこは家ではない感じだった。
人気もない。

「今回はラキアスの推理のほうが冴えてますね。僕がいなくても大丈夫な気がしてきました。」


森の中の、恐らくゴーテルさんの建物、という所までは僕も正解ではあったが
塔の内部の考察といい、今回の予想といい見事に的中している。

僕の考察もヒントにしているかもしれないが、それ以上に勘がいいのかもしれない。
それとも、僕と一緒にいる時間が多いせいで、推理のノウハウも掴んできたのだろうか。


あまりよく見えないが、慣れてくるとここが倉庫だということがわかる。
物置。といったほうがしっくりくるが。
農機具があったり、収穫物があったりする。


「ゴーテルさんは、農業で生計を立てられていたのでしょうか?」

くだらないようで、実はそれなりに重要な質問だったりする。
生計を立てるということは、売る相手がいるということになるのだから。
どの程度、社会と関わっているのだろうか。


ラプンツェルさんは、窓から眺めた景色に感動しているようだ。

>「塔の上から以外は初めて見たわ。
 森ってこんな風になっているのね!
 雨が降ってるけど――素敵!」

>「ラプンツェルさん。お気持ちはわかりますが、出来るだけお静かにお願いします。いつ敵が来るかわかりませんので」

僕も子供の頃はきったこうだったに違いない。
一つ一つのことに、新たな感動を覚える。
これだけでも、彼女のとっては幸せなのだろう。

ラキアスの忠告は、音量的な意味で言ったのではないだろう。はしゃいで隙が出来た時のリスクを考えたのだと思う。

僕は周囲を観察してみる。
窓がある、ということは当然ドアもある。
ラキアスが開けようとしているが、ダメっぽい。


>「外から鍵がけられているみたいだね。ここからでは鍵開けも無理そうだし」

「案の定ですね。床も木ですし、掘るという選択肢もなさそうです。」

こうなるとこれは強行突破しかない。

>「アルフ。ちょっといい?その銃で壊せないかな?出来れば蝶番を狙って行けそう?」

端を狙うか、鍵の周辺を狙うか、どちらかになるだろうが、
ここは力技でこじ開けるしかなさそうだ。


* * * * * * * *

コルチョネーラです。

ドアをぶち破る方向で。
グレースは何か手伝えることって・・・なさそうだようね。

探偵なので倉庫も調べますが。
なんか気になるものは見つからないかな。