【C-2-2】過去の契約

 GM(あんみつ) [2016/03/01 21:11:15] 
 

仮面を外し素顔を晒したシィノヴィアに対して。
娘を取り返すために共に戦ってくれと語る男。

>「すぐには返事をしかねます。
> シィノにとってあなた方が敵でないように、シィノがゴーテル殿に剣を向ける理由もない」

けれどシィノヴィアは、是とも非とも言わなかった。
彼女には彼女なりの信念というものがあるのだ。

>「ゴーテル殿は『約束を守ってもらっただけ』と言っていました。
> あなたとゴーテル殿は何を約束しましたか」

だからこそ、シィノヴィアは知る必要がある。
己が何をすべきかを知る為に。
何が正しいのかを見極める為に。

「話はな......今から十五年くらい前のことだ」

リーダーの男はゆっくりとその口を開いた。

   *   *   *

男が話した内容はこうだ。

二人の愛の証である子供を授かって幸せになれるはずであった二人。
しかし、日に日に妻は不自然に衰えていき、親子揃って命の灯火が消えかけていた。

そんな妻が口にした言葉がこれだ。

「あのノヂシャを......あのノヂシャが食べられなければ私は死にそうだわ」

ノヂシャ――またの名をラプンツェル。
妻はいつの間にか魔女のノヂシャを口に入れてしまっていたのだ。
それ以来彼女はノヂシャの虜となり、他の食べ物では満足できなくなった。

日に日にやせ細っていく妻の姿に見兼ねた男は......。
魔女の庭からノヂシャをこっそり摘み取ろうとした。

しかし、そこを見つかってしまったのだ。
あの恐ろしき魔女ゴーテルに。

――彼女は言った。

「お前の妻のために好きなだけ摘んでいくがいいさ。
 だけど、その代わりお前たちの子供は私のものだ」

これこそが魔女と男たちとの間の――約束。

   *   *   *

「俺の行いが悪くなかったとは言わない。
 だが、あの子を失ってから俺もあいつもほとんど笑わなくなった。
 ついにあいつは心だけでなく体も重大な病に蝕まれちまった。
 俺たちはここまで虐げれられなきゃいけないのか?
 ――あの魔女によって?」

男はもう激昂したりはしない。
静かに......静かに怒っていた。

「俺はそうは思わない――思いたくなかった。
 そもそも奴は魔女なんだ。
 魔女を討ち滅ぼして何が悪い!」

わからないことへの恐怖、そして偏見。
個人的な恨みと合わさったその負の感情が村の男たちを駆り立てたのだろう。
リーダー以外の男はまだ目覚めない。
しかし彼らもゴーテルを忌んでいることは想像に難くない。

こんな彼らやゴーテルにシィノヴィアがどんな感情を抱くか。
それは彼女の自由であろう。

けれど全てのことから自由になれたわけではない。
シィノヴィアはあの野草を口にした時から。
この物語に飛び込んできた時から巻き込まれているのだ。

――突如森に響く轟音。
それはまるで神の怒りを示す雷が落ちたかのようで。
聞こえてきた方角は、塔の方であろうか。

ぽつりぽつり。
シィノヴィアの体に水滴が落ちる感覚。
一雨、いや嵐が起きるかもしれない。
やり過ごすためには動くしかないだろうか。


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あんみつ@GMより

シィノヴィア進行です!

さらに踏み込んだ話を聞けたのでTPを1点獲得できます。

あとは説明のシーンですね。

シイノヴィアは次の行動を決定してください。

具体的なものは以下の3つです。

・塔に向かう
・この場を去る
・この場に留まる

他に何かやりたいことがございましたらそちらでも(*´∀`*)