【D-1-2】出会い、強まる雨の中
>「お待ちください。嫌がっているではありませんか。」
ラキアスはそう言ってラプンツェルを庇うかのように立つ。
どことなく緊迫した空気が漂う中。
>「貴女がゴーテルさんで間違いないでしょうか?」
その間を執り成すかのようにグレースがまずは確認の言葉を入れる。
「私はお前と話す気はないよ」
老婆の方はつっけんどんな態度で返す。
だがおそらく彼女がゴーテルであるのは間違いないだろう。
そこからグレースはゴーテルに対し会話を試みる。
それに対して彼女は不快な顔をしながら答えるだろう。
「お前は自分が話していることがわかっているのかい?
呼ばれているわけでもない勝手に塔へと上がり込み。
それだけにとどまらず私の大事なラプンツェルまで勝手に連れ出した。
――お前たちがやったのは人攫いと同じだよ?
こうして話してやってるだけありがたく思うんだね」
確かに外側にいるゴーテルの視点から見ればそう感じるのもやむを得ないだろう。
多少偏執的なきらいはあるが。
「それにしても、この子に外の世界に憧れを抱かせるなんて酷いことをするもんだ。
ラプンツェルはね、森に守られてなくちゃ生きてはいけないんだ。
この子の長い髪はね森に愛され全てを包まれている証なんだ。
外に出そうなんて思ってみな、この子の命の灯火が消えるだけさ」
続いて語られるのはラプンツェルの真実。
彼女はこの森に守られて生きている。
それはつまり森の外では生きてはいけないということだ。
彼女の不思議な長い髪もまたその証だということらしい。
――少なくともゴーテルの言葉の範囲内ではそのようだ。
「まあ、お前たちがラプンツェルを返してどっかへ行ってくれれば問題ないさ。
思いなんてものはねえ、意外と簡単になんとかできるもんだ」
ラプンツェルはゴーテルの話す内容を正しくは理解していないらしい。
ただ慕っているゴーテルと冒険者たちの雰囲気が良くないことに心を痛めているだけだ。
けれど、レタスは違う。
ゴーテルの言葉の裏に潜む闇に気づき、前へ歩み出た。
「ラプンツェルさんを......彼女をどうするつもりですか?」
勢いよく投げかけられた言葉を跳ね返すように力強く腕を振って。
ゴーテルは吠える。
「......黙れ!
お前のような持てる者には私たちのことなど決してわからないんだよ!
今なら見逃してやる、さっさと城に帰るんだね!」
雨が――激しさを増していた。
* * *
一方のシィノヴィアは足跡の続く先へ駆けていった。
その果ては予想通りかそうではなかったか。
初めてシィノヴィアが訪れた野菜畑だった。
畑の奥を覗けば倉庫のような建物の前に人の姿がある。
あれはラキアスたち――ともにルキスラからこの世界を訪れた仲間だ。
彼女たちの前に立っている黒い服を着た後ろ姿は魔女ゴーテルか。
知らぬ顔もそこにはあるがあまり歓迎できる状況ではなさそうだ。
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あんみつ@GMより
とりあえずゴーテルから憎しみのこもった返しを。
今回のメインはシィノヴィアの合流ですね。
シィノヴィアは対峙している好きなタイミングで場面に登場してください。
それに伴い次回からはこちらのカテゴリに投稿いただくようお願い致します。
あとはお好きな感じにどうぞ(*´∀`*)